介護をしている全ての人へ#77 ~ 急転
母と弟が昨日の話し合いとは全く逆の結論を出した。父の運命を決めた日だった。苦い思い出。
2019年3月18日(月)母の日記
先生に夫の治療方針を伝える。
積極的な治療はしないことにした。今朝早く、次男ともう一度夫の治療について話し合う機会があった。弟もお兄ちゃんと夫のことを考え直した様子。恐ろしい形相で出て行ったお兄ちゃんのことが心配で眠れなかったという。
長男が言う通り、治療の意味も理解できないかもしれない夫に手術をして、辛い抗がん剤の副作用に耐えろと言うのは無理かもしれない。
私も、無駄な治療はしない方がいいと思っていたのに、もっともらしいことを言って、罪の意識から遠ざかろうとしていただけだった。
8:40頃、夫はデイサービスへ。出かけている間に、夫の主治医と話すために市立中央病院へ。
面談室に3人、先生は術式のこと、日程のことを当然のように話し出した。しばらく黙って聞いていた次男が、先生に手術をしたとして父はどれくらい生きられるのかと尋ねた。先生は何も言えない。
そして、父のことをぽつりぽつり話し始めた。家族を顧みずダメな夫で父親だったけど、最後は家族に囲まれて逝かせてあげたいと言ってくれた。
そして、積極的な治療は求めていないと言った。私も小さくうなずくしかなかった。1時間ほど、つらい時間だった。
次男が兄ちゃんは、僕たちに代わってこれをやってくれるつもりだったんだねと言った。それを聞いて、長男の優しさを知ったような気がした。
夕方、次男がお兄ちゃんのラインで顛末を伝えると、”ごめんね”と返信があった。
夫には手術しなくていいと伝えると、すごくうれしそうだった。笑顔を見るのがこれほど辛いことがあるなんて思いもしなかった。
2019年3月18日(月) 私の日記
体が重い、会社に電話をして休みを取る旨伝えた。Kさんが、がんばってねと声をかけてくれたのに、これ以上何を頑張ればいいのだ?と考えてしまう。心が病んでいるのが、自分でもわかる。
食事もとらず、テレビを見て過ごす。母からの電話も取らなかった。
夕方、弟からライン。父に積極的な治療はしないことにした旨の連絡があった。
とんでもない事をしてしまった。少しでも長く生きてほしいと考えていた母にも弟にもつらい思いをしたに違いない。
ここから先は、自分が父と父のがんに立ち向かわなければ。
これからは母にも弟にも父にもなるべく優しく接するようにしよう。
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