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介護をしている全ての人へ#80 ~ 囲碁大会

2019年3月21日(木) 母の日記

彼岸中日
 夫、囲碁の大会があるといって出かけるが、勘違い。昨日、囲碁大会で出かけたのに、参加して二勝一敗の戦績も忘れていた様子。
 朝から次男と一緒にセブンイレブンに行って、お昼ご飯用のサンドイッチや飲み物を買いに行って準備していたのに、落ち込んで帰ってきた。かわいそう。
 認知症は楽しい思い出から先に忘れていってしまうのか…不幸な病気。
 死ぬとき、私は楽しい思い出だけを思い出しながら逝きたい。でもまだまだ生きて、息子たちやお友達や時々夫と思い出を増やしていきたい。
 明日は、Q兄さんと母の墓参り、マックスバリューでお弁当の材料や、おはぎやポテトチップスやポッキーを買い込んで備える。
 マックスバリューから帰ると、夫が家の前で待っていた。ラーメンを食べに行きたいという。夫が囲碁大会の参加費として使う予定だった1,000円をカンパしてくれた。二人で醤油ラーメン。美味しいねというと、夫もうれしそうに笑う。その笑顔に押しつぶされてしまいそう。
 すい臓がんの確定診断の後から、夫の様子がおかしいというか、まともになった。
 自分以外の人を顧みない、自己中心的な夫のままだったら、こんなに心苦しい気持ちにならないのに。

2019年3月21日(木) 私の日記

 朝、父を公民館まで送る。囲碁大会があると言っていたが勘違いだったよう。「おれはこんな事も分らなくなった、もうだめだ」を連発して落ち込んでいた。歳をとると、みんなそうらしいよと慰めるも効果なし。
 時間ができたんだから、お母さん孝行でもしてあげなよ、というと一緒にラーメンを食べに行くと言い出した。胸ポケットにはいっていた1,000円札を父に手渡すと、にこりと笑った。笑うとかわいい顔したおじいちゃんだ。
 もう少しだけ家族に対する配慮があって、父を騙そうと悪いニンゲンモドキがいなかったら、我が家はこんな事にならなかったかもしれない。
 もう、父に対する恨み言は言うまいとは思ってはいるが、口惜しい想いは尽きない。
 夕方、弟に囲碁大会の顛末を話すと、父と弟は、囲碁ならぬ五目並べをして遊んでいた。結果は父の4連勝。弟がわざと負けたのか、父の実力が優っていたのかはわからなが、弟はかなり悔しそうだった。
 母も、父も笑っていた。
 夜、弟とスーパー銭湯へ、サウナの中で父の治療方針を決める時、同席しなかったことを詫びた。
 「もういいよ」、と言ってくれたが、辛い思いをさせてしまった。

 

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