介護をしている全ての人へ#57 ~ ”Brothers”母の功績

 この日、母の日記には、病気の進行を敏感に感じ取って、不安に襲われる感情が赤裸々につづられている。あの頃、母の成してきたことを讃える言葉を素直に伝えることができていたら、母の人生はもっと自信と誇りに彩られていたのかもしれない。
 言葉を紡ぎだす仕事に就いていながら、それが出来なかったことが残念でならない。三流だ。

2019年2月26日(火) 母の日記

 長男と次男は朝早く出かけて行った。見送れなくて申し訳ない。
 夫、8:40にデイサービスへ。

 体が重い、立っていると左の膝が痛む。今までこんな感覚を得たことは一度もない。がんが進んでしまったのか? 不安。あとどれくらいの時間が残されているのだろう。
 昨日まで、息子二人がいてくれたから、楽しかった。彼らが小さい時、思春期の時は苦労ばかりが多いと感じていたけど、今になってあの頃を振り返ると全部が楽しい思い出。私たちは息子たちにいい思い出を残してあげられているのだろうか。
 いつか、病気が進んで、最後の時が近づいたら、息子たちに聞いてみたい。でもその時が来たら聞けないかもしれない。
 結婚して、こちらに出てきて、気が弱くて、学問もなくて、剤をなしたわけでもなく、なにもやり遂げられなかったけど、二人の息子は、立派に育って誰かの助けになってくれていると思いたい。

2019年2月26日(火) 私の日記

 記述なし

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