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新型コロナの影響に伴う 経済支援制度等の収集や発信について実施したこと

この度の新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の感染拡大により、治療中の方にお見舞い申し上げるとともに、お亡くなりになられた方のご冥福をお祈りいたします。また、今も治療の最前線でご対応くださっている医療関係者のみなさまに心より感謝申し上げます。

また、自治体による自粛要請などに伴う企業等の業績悪化に伴う失業、離職、所得の減少などにより、経済的な困りごとを抱える方が増えておられます。それに伴い、生活上の困難を抱えた人への支援策が打ち出されています。省庁や自治体はさまざま広報はしていますが、「こんな制度があるよ!あなたはこんな制度が使えるよ!」とプッシュでお知らせがくることはありません。(詳しくは以下をご参照ください)

申請主義をとり、「こんな制度があるよ!あなたはこんな制度が使えるよ!」とプッシュ通知で知らせてくれない以上、必要な方に必要な情報が届くような施策を行政が広報として実施していく必要がありますが、現状、行政機関の広報・教示義務(市民への情報提供)として、市民が申請権を行使できるよう、どのような制度があり、条件はどのようなもので、どのような時に、どこで、どのような手続きをとればよいのかを周知する、行政機関の義務が明確になっていません。

昨今の新型コロナウイルスの感染拡大を防止するための外出自粛要請により、経済的問題について吐露する方たちの言葉を聞く中で、

省庁横断、官民主体の入り混じった支援情報を1箇所にまとめ、情報を必要としている方の「自分の状況にあった情報を、いろんなところをみて探すコストを情報を集約することで下げる」ことが必要だと考えました。また、ソーシャルワーカーの集団で形成される自法人がまとまった情報を欲していたという理由もありました。

本エントリでは、記録と共有を目的に、支援情報の収集や発信について、弊法人で取り組んだこと(時系列)、取り組もうと思っていること、それに関連して考えていることについて記します。


取り組んだこと(情報集約/発信)

【20200328】

新型コロナウィルス対策として実施されている「個人向けの」経済支援制度等について,社会福祉士らのチームで、スプレッドシートにまとめ発信するというプロジェクトを開始.

更新情報をLINEアカウント(以下リンクより)で配信し、開始5日間で200名の方に登録をいただき、中には、LINEアカウントを通じての問い合わせや相談もあり。

発信方法はSNSでスタート(オンラインに限定されますが、SNSは費用がかからない広報の手段として容易に活用ができます)



【20200404】

スプレッドシートの一覧は「集約」という意味ではよかったのですが、情報を得る方の立場に立ったとき、見辛さがありました。デザインの力を借りるべく、デザインファームのMaslow株式会社にご相談し、記事化して視認性を向上いただきました。相談してから数時間での対応。感謝です。

【20200407】

相談を受ける窓口で、相談に来た方に説明する、お渡しするにはチラシがよいのでは、ということで、シートを元に、東京都各区/神奈川県などの各地域ごとの支援策チラシを有志の方に作成いただきました。 作成者の某社会福祉協議会Nさんのご厚意で以下フォルダの雛形は自由にお使いいただけます。(Nさん、ありがとうございます)

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【20200406】

シートと記事とチラシを経て、より広範囲の方に情報を届けるために、どんな方の力を借りれるかを考えていました。IT企業等の力を借りて、検索のできるデータベース化を検討しました.が、しかし費用はないため、どうしようかと思っていたところ、すでに法人向け支援情報サイトを作成されていたマネーフォワード社様の取り組みを発見し、メールでご相談。2日後にオンラインでの打ち合わせを行い、個人向け支援情報を元にサイト公開に向けて協力させていただくことになりました。


【20200414】

株式会社マネーフォワード様の「新型コロナウイルス 支援情報まとめサイト(個人向け)」をリリースいただく。検索もでき、見やすいので必要な方に情報を共有いただけると幸いです。

<個人向けページ>

<LINE Bot>


【20200413】

有志のソーシャルワーカー10名ほどで、code for Japanさんのプロジェクトに合流. 全国の自治体のホームページから支援情報を自動収集して、それを目視で確認し、オープンデータ化していくプロジェクトです。

【20200420】

全国の生活保護の相談窓口のマップを作成しました。
(エンジニアの方に技術協力をいただきました。感謝)

【20200420】厚生労働省からわかりやすいリーフレットが公開

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2.情報選択支援

情報集約/発信により、「自分の状況にあった情報を、いろんなところをみて探すコストを情報を集約することで下げる」の次にできる可能性のあることとしては、「どれが自分に該当する制度なのかを判別するコストを下げる」かと思います。これは今般の新型コロナウイルスに関連した支援制度のみならず、社会保障制度全般に言えることです。

オフラインであれば、支援を行う方が対面で一緒に説明するなどして選択をされることをサポートすることができます。ですが、オンラインの場合、情報の羅列だけでは、「自分に該当する制度は何か」という選択を支えるには力不足です。

さまざまな図解などの試みも行われていますが、ここは、個々の支援制度を構造化して整理し、それをチャットボットなどのテクノロジーを活用した上で「YES」「NO」、または、複数の質問から該当するものを選んでもらうことで、「どれが自分に該当する制度なのかを判別するコストを下げる」助けになれるものが作れると考えています。

ですが、テクノロジーの活用以前に、以下の整理が必要になります。

①支援制度系全体の中で、「自分が利用できる可能性のある制度」にたどり着くことを助けるチャート

②上記を通して、利用できる可能性のある制度各々について、詳細条件分岐から、読み手自身が自身の利用可否について厳密に判断することを助けるチャート

上記が材料として整理できれば、チャットボットなどのテクノロジーを活用が見えてくるため、次はここに焦点を当てていけたらと思っています。

人手、技術、資金など、サポートいただける方は以下よりご連絡ください。

info@social-change-agency.com

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3.申請手続における課題と可能性

情報の取得と選択をオンラインで支えることができても、「紙の書類での申請」が残る以上、制度申請のラストワンマイルは遠い状況です。

一律10万円の給付金については、申請はオンラインと郵送で行われる予定との発表がありました。

今回の給付金だけでなく、諸外国のように、既存の社会保障制度全般についても、早急なオンライン申請への移行が望まれます。(以下、大阪市立大学の五石 敬路氏の講演スライドです)

以下、「デジタル・ガバメント推進方針」の基本的考え方に沿った方向に進んでいくよう私たちも注視していく必要があると思っています。

スクリーンショット 2020-04-21 17.09.59

出典:https://cio.go.jp/sites/default/files/uploads/documents/densei_houshingaiyou.pdf

また、当座、紙の申請必要書類を無くすことができないならば、各種書類フォーマットさえデジタル化し、「記載/作成過程」をスマホ等でオンライン上で行い、印刷し、書類を完成させることが現時点でも可能(以下、ベンチャー企業グラファー社のサービス)なので、自治体はぜひ取り組んでほしいと思います。


制度の運用における使いづらさ/不具合に対して声を上げていくことも必要です。


また、相談や給付を担う窓口負担の軽減も急務であるように思います。


まとまりませんが、本エントリでは、支援情報の収集や発信について、弊法人で取り組んだこと(時系列)、取り組もうと思っていること、それに関連して考えていることについて記しました。

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制度は活用されるためにあります。

社会保障制度を利用するのは、この社会で暮らす人の権利です。だから「支援を受ける」とか「頼る」というのではなく、「うまく活用しよう」という風に考えてほしいのです。自分がよりよく生きていくために必要な制度を利用する、そんな気持ちで、ぜひ支援機関や相談窓口にアクセスしていただきたいです。

必要な人に必要な情報が届くよう、情報と出会うことをサポートするための情報集約と情報選択の段階だけでも、まだまだできることはあるはずだと思っています。

そのように思うに至った経緯を過去、以下のように記しています。

引き続き、できることを行なっていきたいと考えています。

(今後、随時追記更新していきます)




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