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ナラティブアプローチへの傾倒と個人的価値観

10代から20代への移行時に生じた、経験至上主義から社会構成主義へという個人の価値の変化は、その後、現場に出たのち、ソーシャルワークの技法の一つであるナラティブアプローチへの傾倒を引き起こした。

オルタナティブストーリーに「人間の強さ」のようなものをみて、過去の自己のリカバリーのプロセスと重ね合わせたのだろう。自己のリカバリーのために他者のストーリーを摂取していることに気づくまでに、時間を要した。

個人として相容れない価値を有するクライアントと出会った際に知覚した怒りの感情、自分が期待するストーリーをクライアントに押し付けた(ことに気づいた)経験などを通して自己矯正していったけれども、今でも残渣が目に付く。自己覚知を構成するパーツの多くは仮止めで、終わりがない。

ソーシャルワークの技法の一つであるナラティブアプローチに傾倒した背景には、「経験に対する意味づけこそが大事」という自身が大切にする価値があり、その価値を強化するために、経験を意味づける豊富な言葉を渇望していた。その調達先として、クライアントが語るストーリーを選んだ。

上記欲求を有していた自分は、急性期の医療機関というクライアントと関わる時間的制約がある機関において、クライアントの生活課題の解決・軽減に直接的に関係のない、クライアントの今までの人生に関する質問を”不必要”に”無根拠”に行うようになっていった。

これは、倫理綱領における「クライエントに対する倫理責任」違反なのだが、問題が顕在化しない(クレイムを向けられるなどがないため)ため、直面化するまでに時間を要した。

この続きは次回書いていきたい。

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