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雑記)2023年度を迎えて

2023年度になりましたね。はや2ヶ月経ってしまいましたが、今年度の取り組みなどについての雑記を通して近況を報告させていただきます。

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1.法人事業

1)経済制度の自動応答チャットボットの運用+オンライン相談

離職者票がない場合どうしたらいい?、明日食べるものがない、借金を返せない、保険証がない、家賃が払えない、医療費が払えないなど、全国各地の相談者の方とのやり取りを通して、役所や相談機関に直接足を運ぶことの障壁について、改めて考えさせられています。

同時に、適切な制度情報の提供程度であれば、AIに自動応答させることができる可能性が高まったこの数ヶ月の社会の変化をどう捉え、ソーシャルワークにおいて、人というインターフェイスが担うべきところと、そうでなくともよい/そうでない方がいいところをどう考えるべきなのか、という問いについて思考することを迫られているように思います。

という哲学的な問いや倫理的問題を内包する論点は横に置きつつ、この間、NPO法人OVAさんが知識創造したリスティング広告のアウトリーチにおける活用の手段を使わせていただいたり、つくろい東京ファンドさんが開発されたオンラインでの生活保護申請書作成システムを活用させていただく中で、テクノロジーによって人権を守る/人を支えるという行為の変化がこの10年間で確実に起きたこともまた事実であることに気づきます。

本事業は8月で開始1年になりますので、具体的な数字などの事実は、もちろんのこと、先述した論点も含めた、事業報告/ディスカッションの機会をどこかのタイミングで持たせていただきたいと思っています。

また、本事業においては、NPO法人ETICさんが運営されている「社会起業塾」において、NECさん、他NPOの先輩方に多くのアドバイスや機会をいただき、多くの同期とも出会うことができました。大変感謝しております。

社会起業塾はこちら:

オンライン生活保護申請書作成システム フミダンはこちら

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2)自治体とのお仕事

昨年度、岡山県の某市の福祉関連部門の方々と一緒に仕事をさせていただきました。アウトプットが一般公開されていませんので、詳細は書けませんが、アンケート、ヒアリング、分析、方針提案を行う過程で、多くの学びを得ることができました。何より熱くて素敵な自治体の方達、一緒にチームを組ませていただいた方達との出会いも財産になりました。感謝です。

本年度も関わらせていただく場合は、方針で定めた事項の具体的な実装段階になりますので、公開されたアウトプットをご紹介できるのではないかと思っています。

申請主義の問題の多くは、制度の実施主体である自治体と市民との接点をなめらかにしていくことで変えられ得るものが多くあると考えていますので、自治体の福祉部門への提案機会を探っていきたいと考えています。

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3)研修事業

ソーシャルアクションを試行する方々を対象とした研修プログラムの第6期が先月終了しました。本プログラムに参加された方たちのネットワークもできてきており、修了後に取り組まれた実践をお話を伺うに、ミクロからマクロを架橋しようとするソーシャルワーカーの方たちにある一定の寄与ができているのではないかと感じています。

反面、この6年間で、日本社会福祉士会でもマクロソーシャルワーク研修を実施する/テキストも出版されるなど、ソーシャルワーカーを取り巻く(主にマクロ実践に関する)学びの環境も変化してきましたので、本プログラムの今後について再考していく必要があるとも思っています。

日本社会福祉士会発刊の書籍は以下

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2.教育

今期も武蔵野大学でソーシャルワーク演習1-5(5は本年度はじめて)を担当させていただきます。

昨年は初年度で準備が大変でしたが、1年間を通して学生の方の変化を間近で見ることができるというこれ以上ない楽しさを与えてもらいました。

昨年度の最後の授業で、「一つ下の後輩に演習内で扱ったテーマについてプチ授業をする」という設定で、学生の方皆さんに授業をしていただいたのですが、それがめちゃくちゃ素晴らしくて、人ってやはりすごいな!と思わされました(という自己満足です)

本年度も、学生の皆さんがすでに持っているものを信じて、敬意を持って座学と実習を架橋する時間を作ることに寄与したいと思います。

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3.委員など

・孤独・孤立対策担当室が運営するウェブサイト「あなたはひとりじゃない」の委員

昨年度に引き続き継続させていただきます。

今期はチャットボットから直接、ご自身が住んでいる自治体の該当情報に接続するための手段としてぴったりサービスとの接続がなされます。そのために、新たにぴったりサービスに登録される制度群が増えました。

これは2年前の提案時から訴えていきたことでした。当初は郵便番号等の情報入力に応じて、当該地域の制度管轄課の電話番号やページが自動表示されることを志向しましたが、それを可能にする「整理されたデータ」が存在せず、実装には至りませんでした。

とはいえ、基礎自治体が当該制度の情報登録をぴったりサービスにしていただかないと意味がありません。この点についても委員としてでき得ることを引き続き行っていきたいと思います。

「あなたはひとりじゃない」はこちら:

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・こども家庭庁の審議会の臨時委員

昨年度、未就園児等の把握、支援のためのアウトリーチの在り方に関する調査研究 検討委員会に委員として関与させていただきました。

準備室の方やNTTデータの方のご尽力で、未就園状態にある子ども(世帯)の把握、アウトリーチ、関係づくり、必要時の支援の接続に関するポイントや具体的事例、これら一連をプロセスを支える人と環境に関する論点など、総合的かつ実用的(自治体の施策立案をされる方、現場の対人支援職の方双方にとって)な内容になっていますので、是非ご一読ください。

報告書はこちら:

本年度は、上記を引き継ぐ形で、こども家庭審議会の幼児期までのこどもの育ち部会の委員として、関与させていただきます。以下を調査審議することが目的です。

・幼児期までのこどもの育ちに係る基本的な指針(仮称)の策定に関する事項
・保育所保育指針、認定こども園教育・保育要領に関する事項
・その他、こどもの育ちのサービスに関する調査審議等(こどもの預かりサービスの在り方に関する議論を含む。)

初回は、委員の方々各々の立場から、上記についての意見が出されました。

自身は、昨年度関わらせていただいた、「未就園児等の把握、支援のためのアウトリーチの在り方に関する調査研究」についての概要と、こどもデータ連携、プッシュ型支援、オンライン相談の推進、伴走支援の充実、支援制度における説明文書の平易化などについて意見させていただきました。

部会は、動画公開されています。近々議事録も公開されると思います

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4.地元での仕事

地元で、知的障害や精神障害のある方の1人暮らしを自宅に訪問してお手伝いをしています。

オンライン相談などで出会うことが難しい方との関わりを通して、公助との接続を支える共助や地域システムについて考える機会が多々あり、これらは、さまざまな提案機会に活きていると感じています。

そのような話を関わっている相手の方にすると、”おべっかを使うんじゃねえ”と怒られる(笑)のですが、日々実践している各々についての限界を知るには、さまざまな場でさまざまな人と関わるほかないという思いを強くしています。

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5.書籍関連

刊行半年でおかげさまで多くの方の手に取っていただき、4刷13000部になりました。拙著を活用しつつ、法人として2024年度より学校に社会保障制度を学ぶコンテンツを届けることができるよう準備していきたいと思っています。

すでに動き出しており、教育系NPOの方にアドバイスをいただきながら、まずは東京でできたらと思っています。中高の授業で出前授業をさせていただけそうな機会がありましたら、お声かけいただけると嬉しいです。そして、中高生に社会保障制度を学ぶ機会を届けたい!とお考えの方からのご連絡もお待ちしています。

拙著はAmazonで試し読みもできますので、よろしければぜひ。

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先日誕生日を迎え、30代も後半戦に入りましたので、惑わない40に向けて、粛々と生きていきたいと思います。

法人事業や研究に関する資金として大切に活用させていただきます!