ゆきのり

文章と映画とボードゲームが好きです。 創作大賞2024に応募中です🔥 応援よろしくお…

ゆきのり

文章と映画とボードゲームが好きです。 創作大賞2024に応募中です🔥 応援よろしくお願いします! ボードゲームも制作中🎮

最近の記事

  • 固定された記事

【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人①

【あらすじ】  転売が問題視される現代社会。  三十代半ばで平凡なサラリーマンとして過ごしていた男性は、自宅近くの大型商業施設でグレーのパーカーを着た人物に声をかけられる。 「お一人様一点の商品を買ってほしいんです」卵だろうか。ラップやトイレットペーパーのような消費財だろうか。 「ウィスキーを買ってきて欲しいんです」 グレーパーカーは高級なジャパニーズウィスキーを求めてきた。  突然の非日常体験が”稼ぐ”ことについて考えさせる。  お金を稼ぐ手段としての”転売”に向けられ

    • 複利を感じる読書

      毎年同じ時期に読む本があります。 誕生日の前後になると手にとるのですが、同じことやっている人いますよね。あんまり多くないですか? 読み返しているのはこちら…… 吉田修一さんの「パークライフ」 日常ってほんの少しずつ変わっているんでしょうね。 ちょっとしたことがキッカケで、ちょっとした変化が続いているようです。 その場にいながら、意識は遠くの国に移動してる感覚にも大いに共感。 日常の中に、ちょろちょろと別の世界が入り込んでたんだ!と気づいた時にすごい発見!!と思ったこともあ

      • どうしても存在する「どうしようもない」

        ボクシングの元世界チャンピオンが再びタイトルを獲るために動き出す。 その結果がどうなったのか。 沢木耕太郎さんの「一瞬の夏」を読んでいただければ、一つの事例を知ることができます。  *** 同時に別の年代、別の世界、別の競技、スポーツに限らず様々な挑戦者が存在している。 もちろん、会社の命運をかけたプレゼンに脈が早くなることを自覚しつつ、恐怖に打ち勝とうとしているあなたも含まれる。 巨大な樹木に感じる畏怖の正体が、その内側に刻まれている円の数であるならば、そのような人間

        • 【君の視点を疑うキッカケの物語】完  売る人・買う人・作る人・楽しむ人⑤

          五人目 三十四歳 会社員  年賀状は今年で卒業しよう。そう思っていても何通か届いてしまう。  会社では年賀状・お中元・お歳暮など贈答品は全て禁止にされている。そのため、送り主は親戚の叔父叔母や地元の友人からだ。結婚式を行った年に御礼を兼ねて参列者宛てに、こちらから出した。その返事を送ってくれた時に、送信先リストに組み込まれたのだろう。毎年の年賀状作成用に宛先がまとまった一覧があり、そのデータで宛名印刷を一括でしている人は多い。宛先の一覧から自分の住所だけが自然と外れることは

        • 固定された記事

        【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人①

          【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人④

          四人目 五十歳 パートタイマー 「こういうね、小銭稼ぐためにね、転売するような奴らは命の回転が悪くなるんですよ。絶対にそう。ろくな人生が送れるはずないから」  深夜のラジオ番組で人気お笑い芸人が尖った声で言っていた。年間のテレビ出演本数で一位の座を争うそのお笑いコンビは翌年に東京ドームでのライブを予定しており、グッズ販売を開始していたところだ。数量が限られるグッズにはプレミアがつきやすい。  深夜のテンションで話す芸人の言葉を朝の通勤時間にYouTubeで聞く。無料でア

          【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人④

          【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人③

          三人目 三十五歳 男性 公務員  甘酸辛苦渋。  人間の味覚が発達する順番だと言われている。自分はどこまで味わえているのだろうか。食事も酒も、仕事への向き合い方から人付き合いまで、甘くて渋い世界を十分に味わえているだろうか。  時々想像してみては、その途方もなさに無力感を味わう。同じことをもう何度繰り返しただろうか。自分の知らない世界はいくらでもあって、全てを知ることは叶わないのだと。知ることができるのは世界の一面であり、藪の中に隠れている他の面は理解できない。想像するこ

          【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人③

          【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人②

          二人目 三十一歳 会社員(事務職)  加藤優花が子どもの頃にお寿司といえば、プラスチックトレーに並べられたものをテイクアウトして、自宅で食べることだった。初めて回転寿司を食べたのは、大学に進学して出来た彼氏と一緒にチェーンの回転寿司店に行った時だった。  優花は最初の一皿を、回っているレーンから取って食べた。しかし、当時の彼氏は回っている寿司に一切手をつけず、注文したものしか食べなかった。それがとても印象に残っている。    その後も何度か友人達と回転寿司を食べに行くことが

          【君の視点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・作る人・楽しむ人②