日本ワイナリー巡り 高畠ワイナリー【山形県高畠町】
山形県のワイナリーを巡る旅の続き。
▼前回の記事はこちら
かみのやま温泉駅から高畠駅に到着。
今回の目的地は、駅から徒歩10分余のところにある「高畠ワイナリー」。
高畠ワイナリーは、年間の生産量80万本以上という大規模ワイナリー。
1990年にオープンして34年になる。
かみのやまのタクシー運転手さんによると、当時、南九州コカ・コーラが出資した大きなワイナリーができて驚いたとのことだった。
noteでは、高畠ワイナリーのスパークリングワインを何度か紹介している。
GWに「高畠ワイナリー 春祭り」が開催されると知って、初訪問することにした。
駅から歩いていくと、川の向こうにワイナリーらしい建物が見え、橋の途中から楽しそうな音楽が聞こえてくる。
隣の広い駐車場には、次々と車が入っていく。
ワイナリーでランチ
高畠ワイナリーに到着。
すでに多くの人が訪れており、ワイングラスを片手にしている方や、家族連れ、ペット連れも。
更に奥に進んで、イベント会場へ。
ステージでは音楽の演奏がされ、山形県内を中心としたフードを提供する店が出ている。
準備されたテーブルと椅子は、ほぼ満席。
お昼時だったので、芋煮と山形牛串を購入して、いただく。
牛串は香ばしく、でも柔らかく焼かれていて、芋煮はコンニャクも入っていて優しい味。(手がふさがっていて撮影せず)
人心地つくと、ソフトクリーム店が目に付く。
やっぱり、高畠ワイナリー限定、大人のワインソフト「貴婦人白」を注文。
通常のソフトクリームよりもシャリっとしていて、ややシャーベットっぽく、ほのかにワインの風味を感じる。
ベンチに座り、日傘をさしながら、ソフトクリームを堪能。
食べ終わってから、日陰を求めて建物の中へ。
ショップではワインやジュースの無料試飲も行われていて、ワインだけでなく山形牛の加工品やスイーツなどもあり、土産品を購入する人が多くいた。
少し涼んだので、再び外に出て、建物に近いブドウ畑を見る。
品種はピノ・ノワールで、前日のウッディファームより低く腰に近い高さに整えられている。
高畠ワイナリーは、シャルドネなどからつくられるスパークリングワインが多く出回っていて、ピノ・ノワールなど黒ブドウによる赤ワインは少ない印象。
だが、案内マップを見ると、建物の周りの畑はピノ・ノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フランといった黒ブドウが多く見受けられる。
ここまで予習して、事前予約してあったワイナリー見学の受付へ。
ブドウ畑見学&テイスティング
「自社圃場 探訪」というテーマのブドウ畑見学&テイスティングの参加費を支払うと、資料などが手渡された。
参加者十数人に対して、ワイナリーの社長、広報担当者、栽培担当者、醸造責任者など10人近い方々が挨拶&歓迎してくれて、賑やかにワイナリー見学がスタート。
*以降、記憶に残っている範囲で記載しているので、思い違いや聞き違いがあるかもしれません。ご了承下さい。
まずは、ブドウ畑見学から。
栽培担当者の方の後をついて、圃場へと向かう。
最初のカベルネ・ソーヴィニョンの樹は、ほぼ芽がでていない。
夏になると1番上のワイヤーのところまで枝が伸びるという説明があり、参加者からその様子を「見てみたい」と声があがる。
高畠ワイナリーで最も早く収穫されるというピノ・ノワールよりも、芽吹くのが明らかに遅い。
次いで、シャルドネ、ピノ・グリの列に向かうと、少し新芽がでている。
更に、カベルネ・フランの樹まで行くと、かなり芽吹いていた。
カベルネ系の近い品種でも違いがあるのを感じる。
ピノ・ノワールの畑まで戻ってきて、栽培の難しさなどについて聞く。
日本はフランスなどに比べると雨が多く、収穫前に雨が降ると実が水分を吸って膨張して割れてしまうことがある。
一昨年はピノ・ノワールが実割れしてしまい、ほとんどダメになってしまったとのこと。
一方で、昨年は順調に収穫できたそう。
ここから、一般客は立ち入り禁止のエリアに案内される。
ワインを醸造をするエリアで、醸造責任者の方から説明が始まる。
収穫時期には、1回あたり10トンのブドウが繰り返し運ばれてきて、分単位のスケジュールで醸造部は大忙しになるとのこと。
除梗する設備なども見てから、醸造所の中に入れてもらう。
施設内は15℃に設定されていて、暑い屋外から入るとひんやり涼しい。
中には大きなタンクが並んでいたり、樽が積んであったり。
周りの設備について説明があり、例えば、近年は大きなタンクよりも小さなタンクで選りすぐったブドウを醸造することが増えてきたことなどの話があった。
その後、席に座ってテイスティング開始。
写真の左端の白がシャルドネ。
赤は左からピノ・ノワール、メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニヨンの5種類。
ここで、今回の「自社圃場 探訪」の主目的が明らかにされる。
それは、新シリーズ赤ワインのプレ御披露目。
まず、状況説明から。
近年、契約農家が減っていること。
特に赤ワインの原料となる黒ブドウはリスクなどもあり、なかなか栽培してもらえないこと。
そのため、自社圃場で黒ブドウを栽培することに決めたとのこと。
今回のテイスティングのなかで、メルロー、カベルネ・フラン、カベルネ・ソーヴィニョンは未発売とのことで、ワインボトルにもラベルがない。
今後、これらのワインを新しいシリーズとして発売することを予定しており、ロゴも制作中とのこと。
この数年間が、高畠ワイナリーが自社圃場の赤ワインに力を入れていくターニングポイントとなる。
今回試飲した2020年ヴィンテージでは、メルローがいいと思った。
更に、2021年のカベルネ・ソーヴィニョンがよい状態で醸造できているとのことで、追加で提供いただいた。確かに、これが一番いいと思った。
2020年と2021年の大きな違いは「除梗」とのこと。
「除梗」とは、ブドウから果汁を絞る前に、いい果実と枝や葉などを選り分けること。
2021年は設備を新しくして、より細かな枝も取り除けるようになったそう。
先ほど、屋外で見せてもらった機械である。
1回10トンのブドウをスムーズに絞るためには、手作業では追いつかず、設備が必要になる。
このワイナリーでは、タンクの温度管理なども含め、年々機能性を高めて、品質のよいワインを作れるように改善をしているとのこと。
いいブドウを作るために自分達で栽培し、機械設備にも投資をして、品質のよい赤ワインを作ろうとしている。
日本では欧米のような凝縮感のある赤ワインを作るのが難しいと言われているが、彼らのような努力によって、赤ワインがより美味しくなっていく可能性を感じた。
ワイナリーのある高畠町。
隣は米沢市である。
数年後、米沢牛と美味しくなった赤ワインのペアリングが楽しめるはず。
▼例えばこんなイメージ
山形のお土産
テイスティングを終えた後、高畠駅に戻り、新幹線「つばさ」に乗って帰宅。
ちなみに、往路は「つばさ」の新型車両で、帰路は旧型車両だった。
新型車両はサイドのラインが黄色で、座席も黄色。
そして、今回購入した山形土産がこちら。
さくらんぼゼリーの大きいサイズが可愛かったけど、ちょっと重いかなと断念。
銀座の山形アンテナショップにもあるだろうか。
他に、つや姫、漬物、鯉、チーズなどの土産品もあった。
ワインはウッディファームのを1本連れて帰った。
後日、ウッディファームのコテージからの景色を思い起こしつつ、このシャルドネを自宅で楽しんだ。
樽香が控えめに効いていて美味しかった。
🍒 🍒 🍒
山形県のワイナリー巡りいかがでしたか?
今回感じたのは「フルーツ王国」である山形県の底力。
そして、品質のよいブドウからワインをつくるワイナリーの可能性。
ウッディファームのようなドメーヌ型の小規模ワイナリーも、高畠ワイナリーのような大規模ワイナリーも、どちらもそれぞれに個性があります。
今後も、山形県のワイナリーを注目していきたいと思います!
<日本ワイナリー巡りnote記録済 9都県+ワイン経験済 19道府県=28都道府県>
さあ、日本ワイナリー巡りは9県まできました。
次で2桁です。記念すべき10県目はどこに行こうかな?!
今回もお読みいただきありがとうございました🍷
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