4月のおすすめワイン
春です。花見です。ワインです。
先日Twitterでとったアンケートでおすすめのワインについての情報が求められているということで(ほんとうに?)、普段店でソムリエのロールを担当している店員がこの記事を書いています。
ワインと鍋で仕入れるワインは試飲会で口にして気に入ったものばかりですが、ラインナップにマンネリを感じた時、事前情報なしで一本だけ仕入れてみることがあります。今回ご紹介するのは数百種のワインからランダムで仕入れた一本でした。セレンディピティ。
TAM-TAM
セルビア、BONGIRAUDという生産者のTAM-TAMというワインです。Tamjanika(タムヤニカ|タマヤニカ)という土着の品種からつくられるロゼ泡です。
ピンクというかオレンジというか、とても不思議な外観。ボトルによってはやや還元的な香りがありますが、時間が経つととてもアロマティックなワイン。ザクロとほんのりアセロラ、味はブラッドオレンジ。柑橘のワタのようなほろ苦い余韻が長く続く、かなり洒落た味のワインです。TwitterというよりはInstagramっぽいワイン。
あたたかくも寒くもない時期に外で飲んだら絶対に気持ち良い味、初めて飲んだ時「今年の花見にはこれを持っていく!」と決めました。
なんとワインと鍋は屋内のお店なので、この紹介になんの意味があるのかはわかりませんが、店員イチオシのワインであることには変わりありません。
本格的に暑くなるまでは少し多めに仕入れておくので、お店に来たらぜひ飲んでみてください。基本的にはボトルで提供しています。
これ以下は多くの人が求めていないであろう情報です。
品種
Tamjanika、日本語では表記揺れがあり、タムヤニカかタマヤニカのように書かれていることが多いです。確かにYouTubeでネイティブの発音を聞いてみると、どちらにも聴こえます。
もちろんセルビアの土着の品種です。白ぶどうのTamjanikaと、黒ブドウのRed Tamjanikaが存在するようです。黒の方はCrna Tamjanika,Tamjanika Black,Tamjanika Noirとの表記も見られます。
生産者がフランス人なのでこのワインの品種はTamjanika Noirと公表されています。
生産者
BONGIRAUD夫妻はフランスのブルゴーニュとアルザスでワインを作っていたようで、セルビアの土壌に惚れ込み移住、ワインづくりをしているそうです。夫Cyrille Bongiraud氏の設立したブルゴーニュのテロワールを研究する団体のwebサイトを見るとどうやら地学系の人っぽいことが分かります。
ワイナリーの名前は"Francuska Vinarija Rogljevo"、セルビア語で”フランス人のワイナリー”。あのRomanée-Contiにも居たとのこと。
GoogleMapでワイナリーの場所を見ると、セルビア、ルーマニア、ブルガリア国境のあたりにあります。この土地では1700年代からワインが作られていた記録が残っているそう。世界屈指の銘醸地ブルゴーニュから、理想の土地を求めてこの場所にたどり着くというのが面白いですね。
この記事を書くに当たって読んだセルビア語やフランス語のサイトの中に「ボンジローのpoemaというワインは、ブルゴーニュの高級ワイン、ムルソーっぽい」という情報を得たので検証のために1本仕入れてみることにしました。poemaはリースリングから作られるワインで、ムルソーに似るの?と思いましたが、セルビアのリースリングはリースリングではない土着のリースリングらしいです。は?
有料のコンテンツを用意していますが購入する意味は特にありません。
入荷予定の地味にレアなワインの情報を書いておきます。
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