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「7つの習慣」と「フランクリン・プランナー」と「ベンジャミン・フランクリン」の関係は? 優れた人格の養成が成功への道となる

「7つの習慣」を実践したい。システム手帳で習慣化できないだろうか。7つの習慣といえば「フランクリン・プランナー」ですが、バイブルサイズではない独自規格なので導入するつもりはありません。

ところで、「7つの習慣」の文中には、フランクリン・プランナーは出てこなかったはず。両者はどういう関係なのでしょうか。そして、フランクリン・プランナーの「フランクリン」は、アメリカの偉人「ベンジャミン・フランクリン」のこと。

  1. 自己啓発書のベストセラー「7つの習慣」

  2. アメリカの偉人「ベンジャミン・フランクリン」

  3. 手帳術の一種である「フランクリン・プランナー」

この3つ、なにがどうつながっているのでしょうか。

ベンジャミン・フランクリンが道徳的な人格の完成をめざした

まずは時系列で3つの要素をならべてみましょう。最も古いのはベンジャミン・フランクリンです。

日本では「雷落ちてるときにタコ上げしてなにかをアレした人」ぐらいの認識ですが、アメリカではスーパーヒーローみたいな存在です。

印刷業で成功し、政界に進出してアメリカ独立のために働きました。政治家のみならず、外交官、著述家、物理学者、気象学者でもあります。

アメリカ人にとっては「合衆国建国の父」というポジションだとか。

ベンジャミン・フランクリンが生まれたのは1706年。1728年、22歳のとき「道徳的完成に到達しよう」と思いつき、人生にとって最も大切なものを考えはじめました。

3年後、フランクリンは人生にとって最も大切なものを、13の価値観にまとめました。フランクリン・プランナーの解説書にも書いてある、あれです。

  1. 節制……飽くほど食うなかれ。酔うまで飲むなかれ。

  2. 沈黙……自他に益なきことを語るなかれ。駄弁を弄するなかれ。

  3. 規律……物はすべて所を定めて置くべし。仕事はすべて時を定めてなすべし。

  4. 決断……なすべきをなさんと決心すべし。決心したることは必ず実行すべし。

  5. 節約……自他に益なきことに金銭を費やすなかれ。すなわち、浪費するなかれ。

  6. 勤勉……時間を空費するなかれ。つねに何か益あることに従うべし。無用の行いはすべて断つべし。

  7. 誠実……詐りを用いて人を害するなかれ。心事は無邪気に公正に保つべし。口に出だすこともまた然るべし。

  8. 正義……他人の利益を傷つけ、あるいは与うべきを与えずして人に損害を及ぼすべからず。

  9. 中庸……極端を避くべし。たとえ不法を受け、憤りに値すと思うとも、激怒を慎むべし。

  10. 清潔……身体、衣服、住居に不潔を黙認すべからず。

  11. 平静……小事、日常茶飯事、または避けがたき出来事に平静を失うなかれ。

  12. 純潔……性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、これにふけりて頭脳を鈍らせ、身体を弱め、または自他の平安ないし信用を傷つけるがごときことあるべからず。

  13. 謙譲……イエスおよびソクラテスに見習うべし。

フランクリンは、この13の価値観を管理するため、手帳を活用しました。

まずは、1週間に1つの価値観を徹底的に実践するようにしました。それ以外の12の価値観は、手帳に表を作り、実践できなかった日は「●」を書き入れ、黒丸を減らす努力を重ねました。

20代のころにこういったことを考え、習慣といえるほど徹底的に実践したからこそ、ベンジャミン・フランクリンの成功と偉業があったのかもしれませんね。

1790年、ベンジャミン・フランクリンは84歳で死去します。

フランクリン・クエスト社がフランクリン・プランナーの元を作った

ベンジャミン・フランクリンはその功績により、建国の父としてたたえられ、その自伝はロングベストセラーとなりました。

古い本と思いきや、アマゾンレビューの評価も高く、おもしろそう。

時代は下って1981年。ハイラム・スミスがフランクリン・クエスト社を設立しました。「フランクリンを探求する」という意味の社名です。

ハイラムは、ベンジャミン・フランクリンが自己の価値観を定め、日々の実践にまで落とし込んだ手帳に注目しました。そこから開発したのが、フランクリン・プランナーの元となった「デイ・プランナー」です。

ハイラム・スミスは、名著「タイムクエスト」の著者です。

アマゾンレビューの評価が高く、何度も読みこんでいる人が多いですね。

「7つの習慣」が人格主義の回復を宣言した

1989年、アメリカで「7つの習慣」が発刊されました。

著者のスティーブン・R・コヴィーは、この本を書くにあたり、アメリカ建国以来200年分の「成功」にかかわる文献を調査しました。それでわかったことは。

現代から50年までは、コミュニケーションスキルやポジティブシンキングなど、応急処置的なテクニックを解説するものがほとんど。

いっぽう、その前の150年間は、誠意、謙虚、勇気、正義、忍耐、勤勉、節制、黄金律といった、不変の「原則」に基づく優れた人格の養成を重視していたそうです。

コヴィーは、前の150年の成功にかかわる要素を「人格主義」と呼び、そこから成功にいたる法則を「7つの習慣」として提示しました。昔のアメリカ人は、優れた人格の養成こそが成功に結びつく、と認識していたのでしょう。

時代が下るにつれ、成功に「時短」が求められるようになりました。長期的な取り組みが必要な「優れた人格の養成」は敬遠されました。代わりに、短時間で成功できそうな応急処置のニーズが増えたのです。

そして現代。書店をのぞけば、「10分で」「3分で」「秒速で」みたいなタイトルが並びます。しかし、たとえ遠回りに感じるとしても、成功するには人格を磨くしかないのではないでしょうか。

7つの習慣のサブタイトル「人格主義の回復」という言葉に、そんなことを思います。

「フランクリン・クエスト」と「7つの習慣」が出会ってフランクリン・プランナーが誕生した

「7つの習慣」はもともと、ベンジャミン・フランクリンや、フランクリン・プランナーの前身であるデイ・プランナーとは、直接の関連はなかったようです。

「7つの習慣」を書くときの文献調査でコヴィーは、「フランクリン自伝」を読んでいるはずで、そういう意味では影響はゼロではないはずですが。

コヴィーは1985年に「コヴィー・リーダーシップ・センター」を設立しており、そこで手帳を作っていました。「7つの習慣」の第3の習慣、「最優先事項を優先する」ための、時間管理のための手帳です。

1997年、フランクリン・クエストと、コヴィー・リーダーシップ・センターが合併し、フランクリン・コヴィー社となりました。このとき、デイ・プランナーにコヴィーの手帳の時間管理のプロセスを取り入れ、フランクリン・プランナーとなったのです。

現在、日本では「フランクリン・プランナー・ジャパン」がフランクリン・プランナーを発売しています。

道のりが遠くても「人格を磨くこと」が成功への鉄則か

「ベンジャミン・フランクリン」「7つの習慣」「フランクリン・プランナー」がどう関連しているのか、まとめてみました。

ベンジャミン・フランクリンは13の価値観を実践し続け、人格を磨き、その後の成功を得ました。

フランクリン・プランナーは、ベンジャミン・フランクリンの価値観養成と実践のための「デイ・プランナー」から誕生しました。

「7つの習慣」は、アメリカ合衆国200年におよぶ「成功」の文献をひもとき、人格主義を回復し、世界的なベストセラーとなりました。

この3者はそれぞれ「人格を磨く」ことが、成功への道となることを指し示しています。時間はかかりますが、近道はないのです。

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