しろいとり

はじめまして。皆様とこうしてお会いできたご縁に感謝を。 趣味でぽつりぽつりと文字を綴り…

しろいとり

はじめまして。皆様とこうしてお会いできたご縁に感謝を。 趣味でぽつりぽつりと文字を綴り、いつの間にか人生の三分の二を小説と共に過ごしてきたしがない文字書きです。三分~五分で読める短編小説を不定期に更新します。

記事一覧

【小説】あまおと

 僕は冬が好きだ。  分厚いマフラーに手袋、そして合法的にマスクがつけられる。凍てつくような寒さ、そして猛威を振るう病原菌から身を守るため、という嘘偽りない純度…

【小説】夢を願うか、死を願うか

 紅茶には、L- テアニンやカフェイン、ポリフェノールといった成分が含まれている。だから、紅茶を飲むと、血糖値をコントロールできたり、脂質の吸収を抑えやすかったり…

しろいとり
10日前
1

【小説】「青空」

 白が二百色あるというのなら、青は一体何百色この世に存在しているのだろうか。  そんな疑問が頭に浮かんだ時、部屋をぐるりと見渡した私の視界には既に幾つかの「青」…

しろいとり
2週間前
1

【小説】幽明境にて、一杯

 おに様はおっしゃいました。 「下手なことをしてみろ、…すぐにでも噛み砕いてやるからな。」  そう告げたおに様は、声色こそ氷のように冷たく、稲妻のように鋭い…

しろいとり
3週間前
6

【小説】他山乃石

 労いの言葉も、心配の言葉も、応援の言葉も、全部、全部、全部、あまりに重くて仕方がなかった。まるで私の心はぬかるんだ土壌。そして言葉はやまない雨のように私に容赦…

しろいとり
1か月前
15

【小説】ごちそうさまでした!

 残酷なまでに過ぎていく時間も、いつまでも変わらない自分のこの泥のような醜い姿も、 そんな俺を嘲笑うかのように、美しく、雄大に咲き誇る桃色の世界も、全て、全て、…

しろいとり
1か月前
26

「はじめまして」な、自己紹介。

はじめまして。 幾万という記事の中で、皆様とお会いできたご縁に感謝を。 私は「しろいとり」と申します。 初投稿なので、軽い自己紹介がてら、自分がどのような人間だっ…

しろいとり
1か月前
41
【小説】あまおと

【小説】あまおと

 僕は冬が好きだ。
 分厚いマフラーに手袋、そして合法的にマスクがつけられる。凍てつくような寒さ、そして猛威を振るう病原菌から身を守るため、という嘘偽りない純度百パーセントの言い訳によって得られるもの
 
 ―それが堂々の肌面積十パーセント!素晴らしい!本当に素晴らしい!この世界に存在するありとあらゆる防寒具及びマスクを編み出してくれた名前も知らない発明家に感謝!

 …… と、心の中で、僕はぼん

もっとみる
【小説】夢を願うか、死を願うか

【小説】夢を願うか、死を願うか

 紅茶には、L- テアニンやカフェイン、ポリフェノールといった成分が含まれている。だから、紅茶を飲むと、血糖値をコントロールできたり、脂質の吸収を抑えやすかったり、自律神経に作用したり、風邪やインフルエンザの予防にもなるそうだ。

「そんなことを信じるより、キチンと手洗いうがいを徹底した方がよっぽど効果があるのではなくて?」
「随分と現実主義ですね」
「当たり前よ。夢見心地に生きているといえば多

もっとみる
【小説】「青空」

【小説】「青空」

 白が二百色あるというのなら、青は一体何百色この世に存在しているのだろうか。

 そんな疑問が頭に浮かんだ時、部屋をぐるりと見渡した私の視界には既に幾つかの「青」が映りこ んでいた。ティッシュの箱に、本の表紙に印刷されたタイトル。カーテンやグラスや、ロッカー上にひっそりと置かれたぬいぐるみの飾りにも「青」はいる。

 それらの「青」が、全て同じ「青色」か、と言われたら、…… うーん。

「どう思い

もっとみる
【小説】幽明境にて、一杯

【小説】幽明境にて、一杯

 おに様はおっしゃいました。



「下手なことをしてみろ、…すぐにでも噛み砕いてやるからな。」

 そう告げたおに様は、声色こそ氷のように冷たく、稲妻のように鋭いものでございましたが、でもどこか、悲しそうなお顔をされているように感じました。
 わたくしが素直におに様にこのことをお伝えすると、どうやらおに様を怒らせてしまったようでした。わたくしは、おに様のそのようなお顔を見とうありません。

 

もっとみる
【小説】他山乃石

【小説】他山乃石

 労いの言葉も、心配の言葉も、応援の言葉も、全部、全部、全部、あまりに重くて仕方がなかった。まるで私の心はぬかるんだ土壌。そして言葉はやまない雨のように私に容赦なく降り注いで、乾く暇すら与えてくれない。

  いたいよ、やめてよ、もう私にかかわらないでよ…

 そんな叫びは喉まで出かかるくせに声にはならない。ううん、しない。できない。どれだけ目尻から大粒の涙を流しても、喉を震わせて弱音を吐くことだ

もっとみる
【小説】ごちそうさまでした!

【小説】ごちそうさまでした!

 残酷なまでに過ぎていく時間も、いつまでも変わらない自分のこの泥のような醜い姿も、 そんな俺を嘲笑うかのように、美しく、雄大に咲き誇る桃色の世界も、全て、全て、大嫌い で仕方なかった。

 … ああ、大嫌いで仕方ないはずなのに、地面が桃色に染まるこの時期はい つもこの場所に来てしまうのだ。

 楽し気に笑い、会話を楽しみながら次々と食べ物を口に運ぶ、能天気で幸せそうな人間達。 同じくらいの大きさの

もっとみる
「はじめまして」な、自己紹介。

「はじめまして」な、自己紹介。

はじめまして。
幾万という記事の中で、皆様とお会いできたご縁に感謝を。

私は「しろいとり」と申します。
初投稿なので、軽い自己紹介がてら、自分がどのような人間だったか書きだしてみようかと思います。ゆったり見ていっていただけると嬉しいです!

”しろいとり”って誰?改めまして、私の名前は「しろいとり」と申します。
現在、文系学部に通う大学生です。

クリエイターとして活動することが夢で、将来は小説

もっとみる