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読書日記#30 「気になる」に埋もれる「気にしい」と爆発する「好き」


2月〇日

私のKindleの最下層にある本はなんだろう?
休眠中ともいえるその本を発掘して読んでみるのはどうだろう?
ふと思い調べてみると、夢野久作の「ドグラ・マグラ」だった。青空文庫。

そういえばKindleを使い始めた頃は青空文庫が小説みたいに読めることに感動していた。青空文庫にはとてもお世話になった。本への投資を惜しまない私にとっても無料で読める本はうれしい。

「蒲団」「学問のすゝめ」「真珠夫人」「少女地獄」「私の個人主義」「茶の本」など。名作たちが全部無料!すばらしい取り組み。

まだまだある。最下層の未読の青空文庫たち。

また、ちょうど最近、中学の時に「悪徳の栄え」と「ドグラ・マグラ」などを読んでハマっていたという厨二病話を友人から聞いて、俄然その2冊に興味が湧いたばかりのところだった。

これは良い機会かもと読んでみることにする。長いから果たして読み終えられるのかわからないけれど。

今日は病院行脚で午前休。
婦人科2つをハシゴする。

1つに絞れば効率いいのではとは思うのだけど、それぞれに果たす役割が異なり、また、セカンドオピニオン的にも複数の婦人科にかかるのは大事だと思っている。

待合室では本が読みたい。

死ぬまで読みたい本が山積みなのにまだまだ新しい本を大量に紹介されたい私は、今日は本の雑誌の2023年度ベスト10を持ってきていた。

本の雑誌は特に投票もなく多少強引な話し合い(誌面上では)でベスト10決めていくスタイルが特徴。公平性も何もない。
だけど読書体験なんて個人的なものだし、逆に選定者の候補に出した本への情熱が感じられるのと、普通のベスト10に出てこない本がランクインするのが好きで、昔からこのランキングは好き。

そのランキングで1位を獲得、ミステリーベスト10でも紹介されていたのが、「存在のすべてを」だった。本屋大賞ノミネート本でもあり、ノーマークだったけれど途端に気になってくる。

大好きな作家津村記久子さんの「水車小屋のネネ」も上半期ベストで谷崎潤一郎賞も獲っているということで、殿堂入り故に今回のベスト10からは外されたらしい。
気になる。

やめとけばいいのに、婦人科をハシゴする合間に大きめの本屋を通りがかり、ちょっとだけ…と入店。

燃え殻さんの最新のエッセイ「夢に迷ってタクシーを呼んだ」がまず目につく。燃え殻さん、最近売れっ子なイメージなのでどんな文章をかいて、どんな創作をされる方なのか気になる。サクッと読めそうなので今度一冊買ってみよう。

さらにその近くにあった「2020年の恋人たち」は島本理生さんの小説だ。「第一回本屋が選ぶ大人の恋愛小説大賞」受賞作らしい。そんな賞いつの間にできてたんだ。

気になって調べてみると、第2回は「求めよ、さらば」、第3回は「今日の花を摘む」が大賞をとっていた。恋愛小説ってそれを目当てに普段あまり読まないから全然知らなかったけど、こういう切り口も興味深い。自分がこの手のジャンルの作品の面白さをどのくらい感じられるかも気になるところ。

個人的な「大人の恋愛小説大賞」は数少ない既読の恋愛小説から選ぶなら江國香織さんの「ウエハースの椅子」。
こんなにうまく大人の恋愛の美しさと絶望感を描いた作品は他にないのではないかと思う。ここにかいてあることが染みる心のしわ、のようなものが得られるなら大人になるのも、恋愛に傷つくのも、悪くない、と思えるような本。

島本理生さんは数少ない、恋愛小説だけど読んでみたいといつも思う作家さんの1人。これも気になる。

何もかも気になるなぁ。目先の未読本に埋もれる日々。

雨が降ってきたので、あまり荷物を増やせず、購入は断念(できてよかった)。

夜のお風呂のお供は引き続き「ハウルの動く城1」。ようやく半分くらい。

おばあちゃんになると体の節々が痛いし、こっちはドキドキしてしまうハウルに女性として意識してもらえないのは少し悲しい。一方、守られ敬われるべき存在だからなのか、とても厚かましくなれて、生きたい道を自分で選び取りやすくなる。

現実はそんなに甘くないのはわかっているけれど、失うものもあれば得られるものもあるということに、少し希望が持てた。
私の気にしいな性格も、歳をとるごとにだんだん改善されるのかな。

2月⭐︎日

台湾旅行を終わらせたい。
行く前に1本、帰ってきてから1本noteを書いたのだけど、あとは実際にインプットしたものたちから得た気付きをまとめておきたいと思っていて。

でも文学部出身でもないし読んだものから得た何かをまとめるための道具をこれといって持ってない感。

台湾コンテンツをまとめる上で大切な要素になってるなぁというのが「アイデンティティ」だったのだけど、そもそもアイデンティティという言葉の使い方はこれで良いのかな?と迷う。

そういえば、アイデンティティの本、持っていた気がする、と思って積読の森を探索する。

あったあった。

アイデンティティが人を殺す、だった。

これは作家さんのことを全く知らない状態で本屋で見て衝動買いした一冊。意外とめずらしい。

この本のテーマは文字通り、アイデンティティの自覚から争いが生まれて人が殺されることについて。
そのプロセスやそれを食い止めるための新しいアイデンティティのあり方を模索するような内容になっているよう。

各人のアイデンティティを構成する諸要素のあいだにはつねにある種の上下関係が存在します。しかしそれは不変ではなく、時とともに変化し、人のふるまいを根底から変えるのです。

私のアイデンティティとは、私がほかの誰とも同じにはならないようにしてくれるものです。

文章はこんな感じでとても読みやすく、なおかつ箴言にあふれている感じがすばらしい。
まさに求めていた文章だったので、今読むべきタイミングがきたように感じる。

今日は寒すぎて布団から出たくなくて朝からこの本をずっと読んでいた。そんなに分厚くないから今月中に読めるかな。

アイデンティティの説明のインプットがよかったおかげで、台湾のコンテンツレポート記事がけっこう進む。

アップしても少なくとも自分なら楽しく読めるかなーくらいのクオリティにはなっているかな。

ただし、そんなことより仕事をすべきなのはわかっている。

仕事モードに入れずに1日が始まったからなのか、会社ついてからのミスがひどい。

  • 請求書の添付を間違えて、再申請しようとしたら、そもそも送られてきていた請求書が見積りだったのに今更気づく。

  • 日程調整で「⚪︎日以外」って言われたのに読み間違え、嬉々として⚪︎日で設定して、さらにやり直そうと提案した日程が祝日で驚くほど日程が定まらない。

  • 来訪のためにお見せするものを準備しようとして、備品の段ボール倒れてきて埋もれそうになり、結局来訪までに間に合わない。

はぁぁぁあ。

でもなんとか終わらせて、会社を出る。実は今日は脱出ゲームを友人とする約束をしていた。
私が友達を誘えるわけないし、やりたいとも言い出せないし、友達と協力して脱出ゲームをやりたい人生だった…と諦めていたのに友人がチラシをもらって興味を持ってといういい流れがきてなんと6人も集まれた。

しかも6人もいると無理かも、と心折れて日程調整を放り投げたのを受け取ってくれた方のおかげで開催できて本当に感謝だ。

すごい楽しいけど単価安くはないので、リベンジしたいとか思ってるとするするとお金が吸い込まれていく。危ない。

私が活躍できたのは、クロスワードパズルで暗号を解くパートくらいだった。

でも、失敗だらけの1日がふっとぶような楽しさだった。

今日のお風呂読書はあまり時間がなかったのでストーリーものじゃなくてエッセイにしようと、最果タヒさんの「『好き』の因数分解」を読む。
移動中の読書用に持ち歩いてるのになかなか読み始められずにいた。

最果タヒさんが好きなもの・コトについての感情や思い出などをまとめたコラム集。

たぶんキーワードは「爆発」。冒頭にも出てくるし、少し読んだだけで既に2回爆発している。

のっけからミッフィーの無表情さに安心する話がいいし、対象そのものがどのようなものかということは一切触れずに、主観的なことだけが書いてあるのも、一周回っていい。

楽しく読めそうな感触だけ得て、お風呂から上がる。

本来眠ることとお風呂に入ることはトレードオフではないんだけど、お風呂に入ると寝るのは確実に遅くなる。

寝る前に書きかけの台湾のコンテンツレポートを読み直したらまだまだだなぁと思い直し、もう少し中身をねりねりする日々が続きそうだ。

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