大谷選手と水原氏の件に関する個人的見解

 違法賭博関係の騒動があり色々と騒がれていた件に関して、少々思う所が有ったので久しぶりに記事を書いてみます。

 まず、私はこの件に関しては、水原氏への感情に関しては、多少情状酌量の余地があるのかもしれない(報道に載っていない事情があるのかもしれない)けれど、明らかに手を出してはまずい物に手を出した以上、正当な裁きを受けなければならないだろう、という事で最初から現在に至るまで一貫しています。
 一方、最初の報道(水原氏の借金を大谷選手が肩代わりした)が出た時点では、大谷選手に関してはそこまで感情は動きませんでした。まあ、かなり迂闊なことをやっちゃったね、位でしょうか。
 ですが、その内容を翻し、一切大谷選手は知らなかった、水原氏の窃盗であるという報道が出た時、吃驚するくらい冷めました。それこそ、軽蔑や侮蔑という感情と言っても差支えないレベルの感情すら出てきました。
 自分でもここまで強い感情を覚えた事が以外で、何故なのか理由を考えていたのですが、ある構造にそっくりだからだと気付きました。

 それは、政治家がお金絡みの疑惑が出た際に、全て会計責任者に責任を押し付け、自分は知らぬ存ぜぬを押し通す、何なら自分は被害者だと開き直るケースです。
 改めて比べてみると、本当に吃驚するくらいそのまんま同じムーブで、確かに野球選手としては凄いのかもしれないが、人間的にはそっち側のカテゴリの人間じゃないかと。
 なお、これについては大谷選手の会見で語った言葉が真実か嘘か、そのどちらであったとしても心証は変わりません。

 まず、大谷選手語った言葉が真実であった場合、自分が管理すべきことに関して極めて無関心かつ無責任な人間だという事になります。
 今日私達の様な一般人ですら、マネーロンダリング等の犯罪に関与しない事、指定暴力団等との関わりが無い事、北朝鮮の幹部等でない事等を確認し、誓約しなければ口座を持てません。
 それはお金という物が、使われ方によって多くの人を脅威に陥れることが明白だからです。つまるところ、現代において大人として生きる以上、自らのお金が犯罪に使われることの無い様に責任を持つことが求められているという事です。
 だからこそ大谷選手はきちんと管理すべきだったし、もしそれが厳しいのならば適切な人間を雇うなり、チームもしくは会社を作るなりすべきだったでしょう。
 よく大谷選手がお金にそこまで関心が無いみたいなことを言ってかばう人がいますが、少なくとも自分で稼いだお金である以上、子供じゃないんだから自分で責任を持てという話です。
 また、水原氏が口座から金を盗んだという主張に関しても、少なくとも私は水原氏がハッキング等の手段によって不正アクセスしたとは到底思えません。
 それならば銀行側が大騒ぎしているでしょうし、そんな話は一切出て来ていないので、水原氏のそちら関連の技術に関しても特に出て来ていない現状、まあ無視して良い可能性でしょう(銀行のシステムはそんな甘っちょろいものでは無いですし)。
 とするならば、突破しなければならない二つの事柄、ログイン時のID・パスワード、そして2段階認証の手段をどうにかして手に入れたという事になります。
 IDとパスワードに関してはまあ一度取得してしまえば良いので何とかなると思いますが、2段階認証の手段(最近ではワンタイムパスワードが使われることが多い)はかなり難しい様に思えます。
 もしワンタイムパスワードだった場合、送られて来る物理デバイス(大抵の場合は個人の携帯電話)が必要となり、それも取得していたと考えるのはかなり無理があるでしょう。
 一度くらいは大谷選手の目を盗んで何とかなっても、複数回にわたっては不可能に近いですし、もしその辺りも含めて水原氏に権限を渡していたとすれば、余りにがばがばなセキュリティ意識です。
 相手を信頼する事と、セキュリティ対策を取る事は全く別の話です。少なくとも、最後の決定については自分が関与する形を取るのが当たり前です。
 また、一般的な金額の送金ならいざ知らず、これだけ多額の送金が頻繁に行われていたとなれば、銀行側から確認が行われた可能性も高い筈です。
 それすらも大谷選手が確認することなく水原氏が全てOKを出せる立場だったとするならば、また事態が発覚するまでの数か月の間全く気付いていなかったとするならば、無責任や無関心に加えて無能の誹りを受けることも免れないでしょう。

 なお、最初の水原氏のインタビュー内容が事実だった場合(個人的にはこちらの方が可能性が高いと思っている)、言う事はあまり多くありません。
 大谷選手は自分の身が助かるためには、嘘をつくことも他人に罪を被せスケープゴートにすることも厭わない人間だったという事です。

 つまるところ、大谷選手が会見で語った言葉が正しかろうが嘘だろうが、私としては割とどうしようもない側の人間にしか見えません。
 そしてそれは先にも述べた通り、全く持って信頼することのできない現代の政治家と極めて似通っているように見えます。
 また、政治家が同じ事をすると疑惑の目を向け糾弾するのに、大谷選手の場合一斉に擁護に回っているようにしか見えない報道や世間が、気持ち悪くて仕方が無いです。
 ここまで見事にダブルスタンダードに振舞っておいて、それでなおかつそのことに無自覚っぽいのがまた救いが無いです。

 確かに世の中きれいごとだけで回る訳では無いですし、清濁併せ呑むことも時には必要でしょう。
 ですけど、今回のこれはそういうレベルじゃなくて、どう考えてもアウトだろうとしか私には思えないのです。

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