【社員インタビュー】ユーザと家族がつながる”WHLL Family Service"の裏側 vol.1
2023年1月末から提供開始された「WHILL Family Service」は、ユーザー本人とそのご家族の外出情報共有サービスです。
従来の保険やロードサービスを提供していた「WHILL Smart Care」に、新たにリリースした「WHILL Family Service」を含んだプレミアムなサービス「WHILL Premium Care」を提供しています。
また、同日に配信開始された専用アプリ「WHILL Family App」から、ユーザーと家族がアプリ上で機体の居場所や状態、お出かけ記録などの外出情報を共有できるもので、安心感につながる快適な移動体験を提供しています。
2022年に設立10周年を迎えたWHILLが掲げる、「ハードとソフト・サービスの両輪による事業展開」を象徴するこのサービスの提供には、多くのメンバーが携わりました。
WHILL Family Service提供までの裏側に迫るため、WHILLメンバーへのインタビューを全二回に渡ってお届けします。
第一弾となる今回の記事では「WHILL Family Service」の企画を務めた廣瀨さんとIoTモジュール開発を担当した小林さんに話を伺いました。
<プロフィール>
廣瀨 日本事業本部 マーケティング・コミュニケーション部所属。主にD2C事業を担当。”WHILL Family Service”の提供に伴い、日本市場への展開の担当者して企画などをリード。
ー”WHILL Family Service”はどのような経緯で始まったのでしょうか?
廣瀨:「2022年5月に創業10周年を迎えた際、WHILLは『ハードとソフト・サービスの両輪による事業展開」という方針を掲げました。メーカーから近距離移動サービスのプラットフォーマーとして成長していくために、日本国内のハードウェア販売事業もサービスの強化を図っており、今回のサービスの企画へとつながっていきました。
また、WHILLの製品ラインアップの拡大とともに、WHILLの製品を購入する際、実際のユーザーのご家族が購入を検討しているケースが増えてきたことも大きな要因の1つです。実際、WHILLを購入されるお客様の約3割はお子様世代からのおすすめというデータもあります。
WHILLのユーザーとそのご家族の多くは『そろそろ車の運転は危ない。でも、電動アシスト自転車ではふらつきや転倒が心配だ』といってWHILLの製品を選んでくれているので、ハードウェアとしての性能はもちろんですが、心理的に『安心・安全』を提供することがとても大切です。
特に2022年に発売されたModel SはWHILLは免許返納した後も心地よく走れるモビリティとして、自転車の代わりとして、長距離を歩くとなると疲れてしまう方の快適な移動手段として、さまざまなシーン、幅広い層に選んでいただけるモビリティです。より幅広く多くの方に移動の選択肢として検討いただくため、一層の安全性が必要になると考えています。
これまでも保険・ロードサービス・メディカルアシストのサービスをWHILL Smart Careとして提供していましたが、ご家族の方に安心していただくため、ご家族がWHILLをユーザーに進める時の最後の一押しとして、もっと家族とユーザー双方に安心感を提供できるサービスを提供したいと考え、WHILL Family Serviceが検討されていきました。」
ーどのように業務を進められてきましたか?
廣瀨:「私たちがマーケティング部としてプロジェクトを進める際、いつもWho/Whatという考え方で誰に、なんの価値を届けるサービスなのかを考えます。
実はプロジェクトが始まったばかりの頃はこのサービスを”見守りサービス”と呼んでいました。ですが、実際にターゲットを想像する中で、まだまだアクティブ、楽しく移動したいユーザーの方をご家族が”見守る”というのはどうしても違和感があるなと。ユーザーもそのご家族も安心して日常的に使っていただけるように、そして”見守り”ではなく”つながる”という対等な関係を目指した時に、ターゲットはユーザーとご家族の双方であり、価値は双方へ安心を届けるというコンセプトが決まりました。また、WHILL Family Serviceというネーミングにも繋がっていきました。
その後はサービス方針を決めるということで、それまで提供していたWHILL Smart CareにWHILL Family Serviceを上乗せする形で、さらに価値の高いWHILL Premium Careを提供することを決めました。
またそれをどのように届けるか、規約をどのような内容にするか、IoTモジュールの取り付けをどこでやるかなど、さまざまな部署と協力してオペレーションを設計していきました。1人ではできないことや初めてのことも各部署のメンバーと一緒だったので乗り越えられたと思います。」
ー複数の部署と進めるプロジェクト。大変なことはありましたか?
廣瀨:「WHILLはこれまでModel AからSまで複数のモデルを発売してきたので、ハードウェアの販売には一定の知識や経験があります。
ただ、ハードウェアと連携したサービスはこれまで自動運転サービス以外にはあまりなかったので、新しいチャレンジの連続でした。
私自身がすごく大変だったというよりは、どこの部署も悩みを抱えている状態というか。プロジェクトを管理する立場としては、そういった課題をいかに各部署から丁寧に吸い上げて解決していくかという点も大事にしていました。
大変なこともある一方、こうした仕組み作りから細かな施策まで自分の手でできたことはとても嬉しいです。”近距離モビリティ”という新たな市場を作ることにチャレンジしている以上、今後も前例がない・新しいことにチャレンジしていく機会は多いと思うので、今回の経験は自分にとって大きな糧になったと思います。」
ー2023年2月3日、無事にリリースを迎えました。各所からはどのような反応がありましたか?
廣瀨:「WHILL Premium CareはD2Cのチャネルだけでなく、販売店である自動車ディーラーなどからもユーザーへ提案を進めています。
ディーラーの方からすると、『WHILLの特徴はなんですか?』とお客様から聞かれた際に、WHILL Family Serviceの内容を話すことで、購入の意思決定につながった・紹介しやすくなったという声をいただいています。
もともと『購入を迷っている方の後押しになれば』という思いもあったので、このようなお声をいただけて本当に嬉しかったです。
今後もより多くの方に移動がより快適になるようなサービスを届けられるよう、サービスの内容はもちろん、どのように届けるかにこだわり抜いていきたいと思います。
そして、ユーザーご本人はもちろんですが、周りのご家族も含めて安心・安全で快適なWHILLのある生活を作っていければと思います。」
<プロフィール>
小林 WHILL Family ServiceのIoT開発では、IoTモジュールの電気回路設計を担当した他、現在も多数のモデルの電気回路設計を担当している。
ーWHILL Family Serviceでは、IoTモジュールの開発を担当していた小林さん。詳しい業務内容を教えてください。
小林:「私は前任の担当者からIoT開発を引き継いで、実際の基板の電気回路設計や、それを生産するためのパートナー企業のマネジメントを担当していました。
WHILL Family Serviceについてはこのサービスでユーザーが何を実現したいのかといったユーザーストーリーを、企画メンバーが考えてくれており、『描いたストーリーをModel Sの機体を使って実現させる』ということが私たちのミッションでした。
例えば、『家族として機体が転倒した際に通知を受けたい』ということがユーザーストーリーで決まった際、私たちはModel Sが元々持っている機能と新たに必要になる機能を考えIoT基板の役割を整理し、WHILL Family Serviceを実現できるようにしていきました。
また、機体が転倒してしまった時にブザーを鳴らして周囲の方に知らせる・ご家族に通知する機能など、私たちエンジニア側から提案した機能も実装されています。
今回のWHILL Family Serviceについては、ハードウェア側の私たちはユーザーから直接見えることのない縁の下の力持ちのような存在だと考えています。だからこそ、『ユーザーとその家族がつながる』というサービスのコンセプトについては何度も自分で考えをめぐらせ、ユーザーとそのご家族にとって『これがあったら安心だな』『安全に楽しくでかけられるな』と思っていただけるサービスにしたいと常に意識していました。」
ーWHILL独自のIoT開発環境はどんなところでしょうか?
小林:「一番はビジネス、アプリ開発など各チームと距離が近いことだと思います。新しい取り組みに開発が中々進まない時も、文字通り実際に顔を付き合わせて、機体をさわりながらアプリ、サーバーチームのメンバーと課題に向き合っていくことができました。
スマート家電などが台頭しており、IoTについて身近な存在になっている方も多いと思いますが、ハードウェアとそれに付随するサービスを一緒に開発するということは、ハードウェア開発、アプリ、サーバー開発チームのどちらにとっても非常に難易度が高いことです。
また、ハードウェアとアプリを繋ぐサーバーとの通信や、そのセキュリティ体制の構築など、同時並行で様々な工程をクリアしていかなければなりません。これらは同僚のソフトウェアエンジニアのロイさんやファームウェアエンジニアの三原さんがリードしてくれて、とても頼もしかったです。
このように、ハードウェアとソフトウェアの開発は大変なこともたくさんあるのですが、複数の部署と関わりながら一つの目標に向かっていけるのは、少数精鋭で距離が近いWHILLの開発体制の面白いところだと思います。私や私の家族が体調を崩して思うように働けない時期もありましたが、たくさんのメンバーがフォローをしてくれて、チームのあたたかさを感じました。」
ー開発で大変だったことはありますか?
小林:「様々な外部要因で開発が思い通りに進められなかった時期があったことでしょうか。特に、近年は新型コロナウイルスの流行、半導体不足などで多くの企業が大変だったと思いますが、WHILLも少なからず影響はうけました。ただ、調達や他部門なども一丸となって予定通り発表することができました。
また、社内ではハードウェアとアプリの開発を同時進行で行う中で、企画側から求められる要件と、機体で実現できることの間に生まれるギャップや、それぞれの解釈の違いなどを擦り合わせることは難しいポイントでした。綿密なコミュニケーションを取り認識を合わせることは常に心がけていました。」
ー無事にリリースを迎えた現在のお気持ちを教えてください。
小林:「開発はひと段落したところではありますが、今後はIoTモジュールを安定的に供給するため、生産体制を整えていくフェーズに入っていくのでまだまだこれからが勝負だと思っています。また、『ハード、ソフトの両輪による事業展開』という会社の方針もあり、今後もIoT開発を強化していく予定です。
今回のWHILL Family Serviceを新たなスタート地点として、ユーザーやその周りの方々が安心・安全で快適な移動ができるよう、IoTを活用したさまざまなサービスを提供していきたいです。
WHILLが多くの方々の手に届き、長く利用していただくことで、”すべての人の移動を楽しくスマートにする”というWHILLのミッション達成に貢献できたら嬉しいです。」
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