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クォータービューのドット絵を描こう

この記事は、「ドット絵 Advent Calendar 2023」の16日目の記事です。
並走企画の裏ドット絵 Advent Calendar 2023端ドット絵Advent Calendar 2023も併せてご覧下さい。

こんにちは、しろねぎと申します。
普段はXにて以下のようなドット絵アニメーションを中心に作品を制作しています。

クォータービューとは

絵を立体的に描く図法の種類の一つで、以下のように体系的に分類することができます。

立体図法
 ├ 平行投影
 │ └ (略)
 │  └ クォータービュー
 └ 透視投影
   ├ 一点透視図法
   ├ 二点透視図法
   └ 三点透視図法

パース、消失点という概念がある透視投影とは異なり、遠近感のない平行投影の中の図法の一つです。
実際にはクォータービューはゲームの表現方法に関して使われる用語であり、建築や英語の文脈ではIsometric(アイソメトリック)と言われています。
参考資料を探す時は「Isometric(アイソメトリック)」で検索するといいかもしれません。
今回は「クォータービュー」で統一して呼ぶことにします。


クォータービューのコンシューマーゲームの中で特に自分に馴染み深いのは、カービィボウル・スーパーマリオRPG・ロックマンエグゼなどです。
どれもジオラマ感・箱庭感があって、それがクォータービューの魅力だと考えています。

これもクォータービュー

小さな箱を描いてみる


クォータービューは下図のように定められた図法です。

この性質はドット絵と相性がよく、30°の斜めの線は横2縦1の直線で表すことができます。
これをドット絵にすると下のような感じになります。

すこし丸みもつけました

大体の光源を仮定して面に陰影をつける+輪郭を残すと一気にそれっぽくなります。

右手前の上方向からの光源を仮定

この光源を考慮しつつ、固有色を考慮しながら木箱のテクスチャを追加しました。

ちなみにこの絵を描くためのソフトはAsepriteを使用しています。
このくらいのサイズでは簡単ですが、フリーハンドで大きいサイズの横2縦1の直線を引くのは苦行なので、基本的にはクォータービューのドット絵を作る時はドット絵専用作成ソフトを使用することを強くお勧めします。

人を描いてみる

次に、クォータービューにおけるキャラクターを描いてみます。
せっかく箱を作ったので、この上に座らせてみます。

実際の制作フローではこんな感じに素体を作ることはなくすぐに詳細なキャラクターを描き始めるのですが、わかりやすさのためにこうしてみました。
このくらいのサイズであれば、現実的な時間で手や足の形・目の位置などを何度も試行錯誤を重ねることができます。


うちのこアルフィーネ

こちらが完成品です(唐突)。
今回はキャラの描き方はメインでないので多くは語りませんが、(クォータービューに限らず)小さくキャラを描く時は最初に目を決めることをお勧めします。
通常のイラストと違って、顔サイズを決めた後に目を描くとどう頑張ってもうまくまとまらず、「顔のサイズが不正解でした」が起きることがあります。
また、箱同様にこのサイズであれば外側の輪郭をはっきりさせておくとうまくまとまります。

世界を描いてみる

最後に、地面とオブジェクトが存在する世界を作ってみます。
この世界の作り方は2種類あると考えています。

作り方①

1つ目の世界の作り方は、既存の世界をそのまま流用することです。
具体的な手順としては、写真やストリートビューをもとに再現したい題材を選び、クォータービューに落とし込むというものです。

クォータービューは高い視点から見下ろす構図なので、人の目線からみた地形をクォータービューに起こすのは空間的な想像力を要します。頑張りましょう。

また、有名な場所を題材にするのであれば動画サイトにドローン撮影動画があるかもしれません。書き起こしたいアングルを探して参考にしてみましょう。

描き方を紹介するのは大変なので割愛させていただきます。

作り方②

2つ目の世界の作り方は、0から作り上げることです。自分の世界を作り上げたい!と思う人はこちらの方法です。
複雑な地形を0から考えるのはとても大変で難しい作業なので、まずは全てを単純化させて積み木を組み立てるような意識を持つと楽になります。

スケッチブックに描いた地形・オブジェクトたち

頭の中で組み立てるのが難しい時はこんな感じで書き出すのが良いと思います。
0から作るとはいえ完全オリジナルは大変な上に合理性に欠けることがあるデメリットもあるので、資料の地形を単純化してみるという手法も有効です。
もちろんゲームを参考にして地形を作るのもありです。

今回は以下のような構造をもとに絵を完成させていきます。

まずはこれをドット絵に落としこみます。

既に記しましたが、このレベルの解像度(480×270)で直線を引くのは苦行です。専用ツールを使いましょう。
pinterestで参考画像を探し、家のディテールを見よう見まねでデフォルメしつつ詰めていきます。
必須ではありませんが、建築様式に関する知識があるとよりスムーズに描き進めることができるかもしれません。
自分はドイツの郊外によく見られる、家の外に木組みが突出したハーフティンバーという建築様式が大好きなので、これを再現していきます。
以下は参考画像の一例です。

次に周りの情報量を増やします。
クォータービューのいい所として、パースが存在しないので素材を変形せずそのまま使いまわせるというものがあります。
先ほど描いた箱を配置します。

木などもついでに追加しました

光源を仮定しているのでただ配置するだけでなく、箱が地面に落とす影も忘れずにつけておきましょう。

最後に、キャラクターを追加して完成となります。

家の煙突から出る煙をアニメーションさせたりキャラクターを動かしたりすると、更に作った世界の没入感が増します。
アニメーションにもぜひ挑戦してみて下さい。
(作るつもりでしたが時間がありませんでした🙏🏻)

以上が自分のクォータービューのドット絵の制作フローとなります。
キャラだけでも、オブジェクトだけでも、世界を作っちゃうのも気軽にやってみてください。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
以降公開されるアドベントカレンダーの記事もお楽しみに!

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