海外のアイドルに影響を受けた日本のアイドル
以前、韓国のアイドルは海外の影響を受けたという記事を紹介しました。
韓国のアイドルは、マイケル・ジャクソン、ボビー・ブラウン、ニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックなどのアメリカの歌手やボーイバンドから影響を受け発展していきました。
一方で日本のアイドルはアメリカではなく、もともとはフランスのアイドル文化から影響を受けました。1950年代~60年代に「アイドルを探せ」のような映画や歌手たちがyé-yé girlsと呼ばれ、日本で大人気を集めた。当時、日本の女性歌手、演歌歌手を除いたLP版のフォント、デザイン、ファッションなどの多くもyé-yé girlsのLP版デザインコンセプトと似ていた。
また1970年代に日本テレビで放送された「スター誕生」はフランスの音楽コンテスト番組である「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」を参考に制作されたもので、山口百恵や松田聖子のような当時のソロの女性アイドルたちもフランスのアイドルスタイルの典型である。
フランスのアイドル歌手がロリータコンセプトで若い女の子ばかりだったので、日本でもアイドル = 10代の若い少女(ロリータコンセプトの歌手)と定義されました。日本で男性アイドルよりも女性アイドルの数が圧倒的に多いのはフランスのアイドル文化に影響を受けたことが関係しています。
一方で、男性側ではエルヴィス・プレスリーなどから影響を受けた平尾昌晃、ミッキー・カーチス、山下敬二郎などが戦後最初期の男性アイドルとして活躍し、1960年代半ばごろからは欧米におけるベンチャーズやビートルズ、ローリング・ストーンズなどの影響を受けたグループ・サウンズブームが起こった。女性アイドルとは異なり、男性歌手はフランスではなくアメリカやイギリスなどのバンドから多くの影響を受けました。そのため日本の音楽界では、女性 = アイドル、男性 = バンド、というように棲み分けが出来るようになったのです。
●海外のアイドル・アーティストをベンチマークした日本のアイドル
★フィンガー5
主に1970年代に活動した男女混成のアイドルグループ。
踊りながら歌い、歌唱力やルックスなどが人気を博してミリオンセラーとなった。「5人組のアイドルグループ」・「メンバーが兄弟で構成されている」・「メインボーカルの歌唱力(ハイトーンボイス)が特徴」といった点でアメリカの¨The Jackson5¨をベンチマークしたと言われている。
★キャンディーズ
1970年代に活躍した女性アイドルグループ
「The Supremes」や「The Three Degrees」といったアメリカの3人組のガールズグループから影響を受けたとされている。メンバーは、もともと東京音楽学院のスクールメイツ出身で3人のスタイルの良さも注目され、男性層だけでなく髪型やメイクを真似る女性ファンも多かった。「8時だョ!全員集合」や「みごろ!たべごろ!笑いごろ!」などのバラエティ番組への出演するなど音楽活動だけでなく、コントもこなす親しみやすさで幅広い人気を獲得した。
★C-C-B
1983年、イギリスのアイドルバンド¨Kajagoogoo¨を意識したイメージでデビューした。カラフルな髪色や当時は珍しかった電子ドラムのシモンズがステージのセンターに据えられ、ヘッドセットを装着したドラマーがリードボーカルを取るスタイルも話題となりブレイクした。本来はバンドであるが、アイドル的な人気を得ていたため、アイドルとして扱われる場合も多い。
★チェッカーズ
1983年にデビューしたアイドルバンド。
チェック柄の衣装を着用していたことも特徴であり、イギリスの¨Bay City Rollers¨をベンチマークした。1980年代から1990年代前半にかけて活動し、「オリジナル曲が作れるアイドルグループ」の先駆者として人気を博した。
★プリンセスプリンセス
1986年にデビューしたガールズバンドで商業的に日本で最も成功したグループ。バンドとしてデビューしたが、アイドルとして扱われる(分類される)場合が多い。「メンバーが女性のみで構成されている」・「5人組のガールズバンド」・「楽曲」など含め、アメリカのガールズバンド¨The Go-Go's¨に影響を受けたとされている。
★光GENJI
1987年にジャニーズ事務所からデビューした男性アイドルグループ
ローラースケート履いて歌って踊るパフォーマンスで人気を集め、社会現象を起こした。アイドルではないがイギリスのミュージカル¨Starlight Express(スターライトエクスプレス)¨から着想を得て企画されたグループなのでデビュー曲のタイトルもそのまんま「STAR LIGHT」である。
★田原俊彦
デビューは1980年で野村義男、近藤真彦と共に「たのきんトリオ」と称され、正式なユニット名ではないものの、アイドル雑誌ではスーパースリーとの名称が用いられたこともあった。最も尊敬するアーティストとしてマイケル・ジャクソンを挙げている。また32枚目のシングル「抱きしめてTONIGHT」ではアメリカのR&B歌手¨Bobby Brown¨をベンチマークして、ボーカル+ダンサー2人の3角形パフォーマンスを披露していた。
★杉本 彩
1987年に東レキャンペンガールとしてデビュー。
日本人離れしたプロポーションで、大胆なハイレグ水着を着こなし話題を呼んだ。1988年には歌手デビューもしており、イタリアの女性歌手¨SABRINA¨をベンチマークしていた。実際に彼女のデビュー曲は、SABRINAのカバー曲「BOYS」で、6枚目のシングル「ゴージャス」でも衣装やパフォーマンスを含めロールモデルとしていることが分かる。
★男闘呼組
1988年にジャニーズ事務所からデビューしたアイドルバンド。
アメリカのロックバンド¨Bon Jovi¨をベンチマークしたグループであり、音楽も骨太なロック路線の楽曲を発表した。光GENJIや忍者と共に「少年御三家」と呼ばれ人気を得た。
★Wink
1988年にデビュー。従来の女性アイドル歌手とは異なる控えめなキャラクターで無表情に歌い、オルゴール人形のような衣裳を纏ったパフォーマンスで人気を博した。「2人組のアイドルデュオ」・「衣装」・「無表情での歌唱」・「80年代に活動」といった点で、スコットランドのアイドルデュオ¨Strawberry Switchblade¨をベンチマークしたとされている。
★SMAP
1991年にデビューした日本を代表する国民的アイドルグループ
大衆が好む簡単なメロディーに乗せて歌われる楽曲と親しみやすいキャラクターで国民的な人気を獲得。彼らの活躍によって、30代~40代でもアイドルとして活躍できるようになり、男性アイドルの寿命が伸びた。アメリカの¨New Kids On The Block¨やイギリスの¨TAKE THAT¨から多くの影響を受けたグループであり、デビュー前後の時期にはNKOTBのダンス、TAKE THATの楽曲をテレビ番組・音楽番組・コンサートなどでよく披露(カバー)していた。
★SPEED
1996年にライジングプロダクションからデビューした女性アイドルグループ
沖縄アクターズスクール出身の4人組で結成され、アメリカの¨TLC¨をベンチマークした。当初は、事務所の先輩である安室奈美恵やMAXの成功をもとに、ユーロビートポップにカウボーイハット・スカートの衣装を着てデビューする予定だった。デビュー前に日本テレビの「夜もヒッパレ」に出演した際にメンバー4人が「TLCみたいなグループになりたい!」と言ってストリートファッションを纏いダンスグループとしてデビューする事が決まった。実際にプロデューサーを務めていた伊秩弘将は「彼女たちを初めて見たときは、ユーロビートで踊っていました」と語っている。
★DA PUMP
1997年、ライジングプロダクションから男性版SPEEDとしてデビュー
「ヒップホップコンセプトのアイドルグループ」・「ストリートダンスを取り入れたパフォーマンス」・「R&Bやダンスミュージックを取り入れ、キャッチーなメロディーにラップを織り交ぜて歌うスタイル」でジャニーズ系との差別化に成功し、大人気を得た。1990年後半の全盛期当時、彼らは同じ4人組ということでアメリカのボーカル・グループ¨Boyz II Men¨をお手本にしていたという。
ファースト・ライヴである「DA PUMP 1ST STAGE“EXPRESSION”」で着用していた衣装は、実際にボーイズⅡメンが「End Of The Road」のPVで着ていた衣装を参考にしたものである。
★モーニング娘。
1998年にアップフロントプロモーションからデビュー
AKB48、おにゃん子クラブ等と並んで日本を代表する女性アイドルグループである。プエルトリコのボーイ・バンド¨MENUDO¨をベンチマークした。メヌードは5人組から始まり、メンバーが16歳になるとグループを脱退しなければならず、メンバーチェンジを繰り返しながらグループを存続させるというグループだった。モーニング娘。も最初は5人組からスタートしてメンバーチェンジを繰り返しながら活動を継続させる卒業システムを導入し、成功を収めた。
★推定少女
2001年にパーフィットプロダクションからデビュー
デビュー当時、中学生+露出度の高い独特のファッション+超ミニスカ制服といったコンセプトが話題となり、発表した楽曲は主にアニメのタイアップとなっていた。1998年にロシアで結成された同じ2人組の女性アイドルデュオであるt.A.T.u.をベンチマークしたとされている。
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