見出し画像

「志村けんのバカ殿様」について

「志村けんのバカ殿様」とは、
元々は「8時だョ!全員集合」のコントの一つで1986年に独立した番組となり、いかりや仲本の代わりに東八郎と田代まさしをレギュラーにスタートした。レギュラーバラエティ版は1992年から放送が開始、国民的番組となった。番組の全盛期は主に1986年~1993年頃である。

志村けんのバカ殿様 志村藩でのコントシーン

志村けん演じる通称「バカ殿」は、歌舞伎「一条大蔵譚」のパロディ。名前通りバカで、破天荒な性格の殿様。殿の幼少時代から志村藩に仕える家老役は東八郎さんが初代、2代目は桑野信義が務めた。家臣やお付の者へ仕掛ける無理難題、予想外の逆切れ、シュールないたずらの連続から笑いを届けるお笑い番組である。放送開始から30年以上続く人気長寿番組である一方、お色気や下ネタの多い番組内容も多く放送され、2012年度まで日本PTA全国協議会が主催していた「子供とメディアに関する意識調査」・「親が子どもに見せたくない番組」では常に上位常連となっていた。

自主規制の厳しかった80年代~90年代、ゴールデンタイムにお色気ネタも放送された

特に“お色気ネタ”は初期の頃に顕著に見られ、当時数多く放送されていた志村のコント番組の中では最もお色気要素の強い内容だったと言われている。この番組の勢いがあった1980年代後半から1990年代前半はビデオデッキが既に普及しており、地上波のお色気→アダルトビデオへの転換期だった頃なので、"テレビでのお色気"は飽きられていた時代でした。そのような状況の中で安易に視聴率が稼げるという意向で毎回必ず女性の裸体のあるコントを放送し、人気を得ていた。ゴールデンタイムの放送時間だったこともあり、児童層や未成年者も多く視聴する可能性も高いため、放送当時から主婦層や父兄などから「下品・低俗・不快」といった番組に対する批判が殺到していた。

志村けんのバカ殿様の中で最も有名な「人間神経衰弱」のコント

このような影響を受け、かつての様な胸の露出を含むお色気ネタは廃止され、末期は露出が最小限に抑えられたお色気シーンが時折見られる程度であった。番組内で放送されていたお色気ネタが批判を浴びたのは女性の裸が出ているからではなく、「女性の体を道具のように扱っている」・「女性を笑い者にしている(直接的ではなくても、間接的に女性差別に繋がる可能性が高い)」・「女の裸で笑いを取る」など視聴者側の立場から見るとどうしてもそのような演出に捉えられてしまうことが多かったことが批判の対象となった理由でした。ただし、地上波で女性の裸を放送することは原則禁止ではないため、お色気コント自体は現在でも放送することは可能である。

「志村けんのバカ殿様」- 批判を浴びた2019年のコント

全盛期が過ぎた1990年代中盤以降も、表現が最小限に抑えられた形でお色気コントは放送されており、女性の裸が出ていない場合でも批判されることは多々ある。2019年の放送では「眠れないバカ殿が水着女性の“肉布団”を味わう」というコントを放送し、物議を晒した。2020年に志村けん、2022年に上島竜兵が死去した後も傑作選という形で本番組の放送は継続され、バカ殿以外の志村やドリフターズによるコントも合わせて再放送されている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?