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【ネタバレ注意!】マダミス「イケニエ」制作ノート その一

はじめに

この記事は、マーダーミステリー「イケニエ」の制作過程について書かれているため、ネタバレの内容を多く含みます。
マーダーミステリー「イケニエ」をプレイしてから、記事をお読みください。
また記事の特性上、フィクションとして人の死に関することをゲーム感覚で記載しています。
実際の殺人や、傷害、事件とは一切関係ありません。また被害に遭われた方を不快にさせる目的もありません。その点をご了承いただき、記事をお読みください。

マーダーミステリーとは

ネタバレ回避のために、簡単にマーダーミステリーについて説明します。
プレイしていない方は、ここから先は読まないでくださいね~

一般的な「マーダーミステリー」とは、殺人事件を題材にした推理ゲームです。
プレイヤーは、事件の容疑者としてゲームをプレイします。
犯人を見つけることができるのか、犯人は逃げ切ることができるのか。
関係性や、秘密を暴くことができるのか、どんな結末にたどり着くのか…
を楽しむゲームです。
「人狼」と違うところは、各プレイヤーに担当するキャラクターの設定書が配られることでしょう。

マーダーミステリーのシナリオは一生に一回しか遊べないのも最大の特徴の一つ。
それもまたゲームの緊張感に良いスパイスなんですけどね。


だって聞きたいんだもん

こんにちは!とら吉です。
マーダーミステリー「イケニエ」は、ドロドロの恋愛泥沼劇を聞きたい!
という邪な気持ちでで作成しました。
もともと恋愛話はそんなに得意ではないので、敬遠していました。

が。

それが最近、娘から聞く同級生たちのヘビーな色恋沙汰の話が結構楽しかったんです。
これは、いつも同卓してくれている人たちのごちゃごちゃ聞いたら楽しそうだ!と、思い制作に着手しました。

シナリオは3回書き直した

お互い足を引っ張り合ってほしい。表には出さなくても、裏切る気満々で進行してほしい。気軽にできる時間で楽しんで欲しい。何度もまわしたくなるシナリオにしたい。

これがシナリオの骨子。短時間で議論を集中するには、三角関係になれば面白そう。キャラクターの設定もしやすいですしね。
プレイ時間は、一時間~一時間半を目標にしました。
本当は、手軽にオフラインでも遊べるようにしたかったのですが、議論のしやすさから、ココフォリアでカードをめくるタイプを選択しました。

当初のタイトルは「雪山の遭難」

そのまんまですね。
ちょうどこの頃は、雪山での遭難事故を特集したYouTubeの番組にはまっていたので、ほとんど迷うことなく舞台は決まりました。

■基本的な流れ
3人で遭難→脱出できるのは一人だけ→誰が脱出して救援を呼びに行くかを相談する
ここまでは、かなり簡単に決めることができました。

が、考えないといけないのが、
・なぜ遭難したのか
・なぜ脱出できるのは一人だけなのか
・どうして脱出したいのか
・救援を呼びに行く必然性
・遭難場所に残りたがる納得できる理由
(裏切者視点)

物語として具体化していくために必要なことばかりですが…まぁ、細かいことを考えていても先に進みません。

細かい問題はいったん放っておいて、「なぜ遭難したか」「脱出したい理由」を理由付けで来そうな、舞台設定を考えることにしました。

「人類滅亡後の最後の3人」

タイトルだけ見たら、面白そうですよねぇ。
これはいける!と、最初は思いました。
が、物語の背景とキャラクターの心情を書き進めると、なんだかイマイチ。

別のアプローチから制作したらいい物ができるかもしれないですが、今回作りたい話からすると、「3人だけしかいない」はクリアできても、「脱出したい」理由や、「裏切り合う」理由が当てはまらず。
タイトルもSFチックで、舞台が雪山である必要も感じられず。この案は、没になりました。

「雪山の選択」

原点回帰だ。と思い直し、まずは3人の関係性を整理することに。
できたら3人が3人、主人公としてプレイして欲しい。
カフェに行って、過去のマダミス作品(すべて没)の裏に、思いついたものをそのまま書きだします。

関係性メモ。現在の形にずいぶんと近づいた

平仮名ばっかりですね…
頭に浮かんだものをその場で書き出しているので、仕方ないです。はい。仕方ない!笑

その結果、登場人物は次の3人が現れました。
A:Bと別れたいお金にだらしない人物
B:Aが好きで、Cのストーカーに困っている
C:Bのストーカーで、顔のいいAを殺したいと思っている

比較的まともなのは、Bですね。
ストーリーの中心人物は、Bになりそうかな?

関係性が明瞭になると、3人が置かれている環境も見えてきました

舞台設定メモ

雪山のクレバス(雪山や氷河の氷床に突如出現する裂け目)に落ちた。という設定であれば
・3人しかいない
・脱出を目指す理由

が、無理なく説明できそうです。

当初は死人はいなかった

3人でいざこざしながら、脱出を目指す。というコンセプトのため、この時点では「マーダー」を全く考えていませんでした。
タイトルの「雪山の選択」からも、それが分かりますね。

「マーダー」をどうするか…
…悩みました…

でも仮にも「マーダーミステリー」。やっぱり、殺人が起こっていないと始まらない!
とはいえ、議論の比重は、脱出方法や誰が脱出すべきかのドロドロ議論に置きたい。でも、おざなり過ぎる殺人は面白くない。
うーん。どうしようか。

マーダー!

そこで、新たな4人目。NPC(被害者)の登場です。
でもどこで殺された?誰に?なぜ?

まぁ、3人の関係性から推測すると、Bの兄弟だと面白そうです。
すると、Cから逆恨みで殺された。というのが一番自然ですかね。

Cのストーカーから、逆恨みで殺されたNPC。
どんな人物なんでしょうか。

全員悪い奴にしてしまえ

一般的なマーダーミステリーの被害者の傾向として「死んで当然」な被害者が多いようです。メタ的な見地から、犯人役の罪悪感を軽くするために採られがちな措置なのかもしれません。または、殺される理由もない人物が殺されるのは、動機として設定しにくいというのもあります。

今回は「ストーカーからの逆恨み」がNPCの死因なので、動機としては無理がない。とはいえそれだけでは、何か物足りない。

みんなが「まじかぁ…」と笑ってくれるような死因…

考えた末、思いついたのは…
そもそも、NPC自身が一番悪い奴だった。というのはどうだろう?

全員が殺し、殺されてもおかしくないような人物たちにしてしまおう。
きっとその方が、プレイヤーが思いっきりRPできるに違いない!

てなわけで、全体的なコンセプトが仕上がった

・プレイヤーは3人+NPC
・全員悪い奴
・4人は雪山登山中に、クレバスに滑落した
・3人が目覚める前に、NPCは殺されている
・3人は、NPCの死の真相と脱出方法を話し合う
・最終的には自由RPで、泥沼劇を楽しんでもらう

ここまで出来たら、次はキャラクターの解像度上げと、証拠カードの内容、ゲームの時間配分や、証拠投下のタイミングなどを具体的に考えるフェーズに移行です。

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