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【孤児】バングラディシュと教育制度⑥

バングラディシュ編をサボり倒していたので2カ月ぶりに再開します。
前回の記事はこちら↓

途上国の旅ではリスク回避を大切に
まずはじめに、発展途上国の旅では判断を誤ると取り返しのつかない事態に見舞われる可能性が控え目に言って日本の87倍位はある。

これから旅人になりたいと思うそこのあなた。
一度日本を出たらあなたを守ってくれる人はもういない。
まずは危機察知能力と守備力を高めよう。

ABBはこれまでたくさんの国を旅してきて、ある特殊技能を習得することに成功している。
それは衛生的な面で食うたらあかんかったものを食後5分程度で判断できるスキルだ。
今日はその時の話から始めるとする。

クミッラ市内を闊歩するABBとガイドのイクラム。
ABB「ねぇイクラム。あの屋台みたいなのはなんなん」
イクラム「さとうきびジュースだよちょっと待っててね!」
ABB(え、飲みたいとか言うてないねんけど…)
イクラム「お待たせ!どうぞ。」
ABB「お、おう…」(ごくごく。んー美味しくは無いな。いや、むしろ不味いな。)

見るからにヤバそうなさとうきびジュース屋の外観
そのぶら下がっているペットボトルはちゃんと
ミネラルなやつなのか?小一時間問い詰めたい。

実はこのさとうきびジュース。
どうやら沖縄でも飲めるらしい。
だがここはバングラディシュ。
衛生的な意味でわけが違う。

案の定習得した特殊能力のお陰でものの5分もしない内にABBの腸内センサーが異常を知らせる。

ABB(…あ、これやばいかもわからんやつだわ…。)「イクラム、近くにトイレある?」
イクラム「近くに大学があるよ。」

近くの大学のトイレに急行するABB。
一刻も早く体内に入ってしまったこのヤヴァイ液体成分を体外に排出しなければならない。
1秒でも早くだ。
ダッシュでトイレに書き込み指を喉奥に突っ込む。

~以下自主規制~



ABB「ふう…、危なかった…。」

今回は特殊能力のお陰で間一髪自身を守ることができたABB。
なんと帰国後に調べたら沖縄でもさとうきびジュースの食中毒事件が起こってた。

さとうきびは糖分が多いからすぐにカビが発生してしまうらしい。
O157なので下手すると帰らぬ人になる可能性もあるらしい。
もし時あの判断をしていなかったら…。
旅にリスクは付き物だ。
発展途上国の旅では安易に屋台の火を通さない食べ物を摂取するのはやめておいた方が良い。

チャイ

バングラディシュの教育制度
さて、本題です。
バングラディシュの教育制度は、
就学前教育(3歳~5歳) ※日本で言う幼稚園・保育園
初等教育(5歳~11歳) ※小学校
中等教育(11~18歳) ※中学・高校
高等教育(18歳~22歳)※大学
と4段階となっている。

日本だと中学校までが義務教育とされているけれども、バングラディシュでは初等教育(~11歳)までが義務教育だ。
ちょっと驚いたのがこの初等教育への進学率が97.85%なこと。
2.15%の子供達は義務教育である初等教育にアクセスすることができない。
※これは推察の域を出ないけれども戸籍が無い子がいるので実際にはもっと多いんだと思う。

そんで興味深いのが義務教育なのにも関らず、進級試験があってそれをパスしないと次の学年に上がることができない。
よって全学年の5.4%が留年してしまう。
そして最終的には11歳の卒業を迎える前に18.6%が退学してしまう。
これは40人学級だと仮定すると7人が義務教育を修了できない、卒業できないという話になる。

日本であれば不登校であっても中学校は卒業できる。
だけどこの国では家庭の貧困であったり、児童労働などの要因によって2割弱の子供達が義務教育未修了の状態で社会に放り出されてしまう。

流石に小学校の勉強もままならないまま社会の適応していくのは子供達にとってかなり厳しい状態なのは言うまでも無い。

バングラデシュの識字率は77%程と言われており、概ね退学率とのシンクロが見られる。

※参考にさせていただいた資料

そしてこのバングラデシュ旅ではこの取り残された2割弱の子供達を信心深いイスラム教徒有志達で支援する学校に潜入してきた。
その様子をお伝えしようと思う。

バングラデシュとモンテディオ山形サポーター
後ろのおっちゃんが「なんやこいつ」って感じで見てる。

バングラディシュの孤児達が通う学校に潜入してみた。
その学校はダッカ市内の中心部からほど近くのローカルエリアに位置している。
観光客は絶対に来ないような場所(そもそもこの国には観光客はほとんどいないんだけど)。
ありがたいことにイクラムのおじさんのツテて訪問が実現した。
車は入ることができないであろう小道を進むとその学校はあった。
多分ここに来る日本人は私が初めてであろう。

ベンガル語全く読めないので↓に翻訳
その学校の名はムクティジョダヴィラ
翻訳↓
路地裏にひっそりとたたずむ。

このムクティジョダヴィラはPoribeshb Unnayan O janakallan Somity(PUJS)が学校教育にアクセスすることが困難な子供達を支援するために2008年に設立された有志による民間の学校だ。

ネパールで訪れた孤児院とは違い、バングラデシュの社会福祉部門から認可を受けて運営されているが、その運営費はこの国の全額富裕層からの寄付によってまかなわれている。
よって子供達は置かれている状況に応じてお腹いっぱいご飯(カレー)を食べることができる。

孤児院とフリースクールを合わせたような施設と言えばわかりやすいかもしれない。

左のカラフルな人がイクラムのおじさん。
小さい女の子がブルカ(ムスリムの女性が被る布)
着ていると皆カオナシみたいでかわいかった。

イスラム教の教えには弱者救済、喜捨(貧しい人に施しを行う)という考え方があり、この学校は全て人間が本来持つ弱者に対する優しさで成り立っていると言って差し支えない。
ここに通っている子供達は孤児であったり、親と住んではいるけど事情により普通の学校に通うことができなくなった子供達。
年齢によるクラス分けは無く、大きく小さい子(低学年)と大きい子(高学年)に分かれている。

この子はイクラムのおじさんの孫。

子供達は恐らく初めて目の前に現れた日本人を目にキョトンとした様子。
なんだこの人間は…。
って雰囲気が明確に伝わってきます笑
バングラデシュは本当に外国人がほとんどいない国です。

授業は午前中に2時間と午後に2時間。
多分普通の初等学校よりも短いカリキュラムなんだと思う。
親の事情と折り合いをつける為だそうだ。
授業は全てベンガル語で行われ、基礎的な国語や数学を習う。
ここにいる子供達は英語を習ってはいないのでお話ができない。
よってイクラムに通訳をしてもらってのコミュニケーション。

この国では子供は労働力。
学校に行かせるよりも家業や家事を手伝って欲しいと思う親は現実として多い。
なぜなら親もまともな教育を受けた機会が無く、その重要性を理解できていないからだ。
教育の大切さを親に理解してもらいことに苦労していてなんとか学校に通ってもらっていると話すスタッフ達。

学校内のミシン
次の記事ではバングラデシュの繊維産業に
ついて触れたいと思う。

この国では女性の就職先は繊維産業関連が多い。
そのため高学年の女の子達はこの学校で縫製技術を習得する。
そのため校内にはミシンが数台配置されてある。
この学校に通う子供達は日本で言う中学校に進学することは現実的に難しい。
少しでも卒業した後のことを考えて手に職を。
と言うのがこの学校の方針。
男の子は何を習得するのと聞くと
「特に無いよ」
と一言。
この男の子達も将来リクシャーを引くことになるのかな。

通訳を介してのコミュニケーションで
子供達の緊張は溶け、
最後には笑顔を見ることができた。
この画像はnoteのサムネにしている。

この国は毎年7%の経済成長を続けていて、
識字率もここ10年で20%も向上したらしい。
この子達が大人になる頃にはもっと良い国になっているはずだ。

ここにいる子供達は決して不幸な訳では無い。

でも自分はこの子供達と同じ年齢の時何をしていただろうか。
学校が終わったらダッシュで家に帰ってランドセルを玄関に放り投げてゲームボーイを片手に友達の家に行って通信ケーブルを繋いでポケモンの交換をしていたな。
家に帰ったら当たり前のように家族がいて暖かいご飯があって、暖かい布団で寝る。
まだこの世界では日本では当たり前のことが当たり前じゃない社会がたくさんある。
好きな時にコンビニに行って好きなアイスを食べれるこの日常に感謝しなければならないと改めて思った。

私は人より多少旅慣れているだけの住所不定無職のただのおっさん。
特に何かできるわけではない。
だけれどもこの記事をご覧になって「こういう世界があるんだ」と知ってもらえたら私の目的は達成されたと言える。

そして日本と言う国も最近色んな所が壊れはじめてきている。
これからも自分の片腕半径1メートルの手の届く範囲にいる困っている人達が「また楽しい明日が来る」と考え毎日を楽しく過ごせるような社会の為に自分にできることをやって行きたい。

バングラデシュの人達、子供達に幸あれ。

次回!
バングラデシュ編最終回!
バングラデシュの富裕層の生活と産業と就職事情についてフォーカスします。
乞うご期待!

最後に
私はこの旅をスポンサーや国の支援を受けることなく、好奇心のみによって動かされ、自費で旅しています。
そしてこのnoteで収益を得ようとは1ミリも考えていません。
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今後共どうぞ宜しくお願いします(^^)/

☆ABBのインスタグラム☆
https://www.instagram.com/stories/abb_kids_wills/








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