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花粉と精油、アトピーとアレルギーと化学物質過敏症と その2

精油に反応した原因を調べてわかったこと。

花粉の場合は、花粉に含まれるスギやヒノキのタンパク質(スギのCry j 1または2、ヒノキのCha o 1または2)に反応して花粉症の症状が起こる。これはIgEの免疫反応。

例えば、これらと似た形のタンパク質を持つトマトを花粉シーズンに食べると、交差反応を起こし花粉症の症状が出る。このような交差反応の場合、基本的にタンパク質は熱を加えると変性するので熱を加えると良い場合もある。

一方で、ヒノキ系の精油、サイプレスやジュニパーに多く含まれている精油成分はαピネン。スギをはじめ針葉樹に多く含まれる精油成分だ。おそらく今回αピネンに反応して皮膚全体が一瞬で赤く腫れた。

αピネンはテルペン類でもモノテルペンという分子の小さいものなので揮発性が高い。αピネンは他の精油にも含まれているけれども、他の精油だと含有量が少なくて今まで気づかなかったのだろう。

どうしてもヒノキの花粉と精油成分の両方に反応するのが偶然とは思えない。花粉シーズンには同時に精油成分にも暴露しているのではないかと考えた。

花粉の中に精油成分があるのではと思い調べると、ヒノキの花粉にもαピネンなどの精油成分が含まれていることがわかった。

ただ、精油成分は揮発性成分なので、花粉が空中を舞うときに揮発して花粉の中からはなくなることが多いようだ。しかし、揮発したら成分そのものの存在が消滅するわけではなく、当然別の物質、ピノンアルデヒド、に変わって空気中に存在している。

実際に神奈川県の空気中にピノンアルデヒドが結合したPM2.5が神奈川県全域で検出されている。スギとヒノキの花粉のシーズンは空気中に花粉以外にも、揮発したピノンアルデヒドが濃度濃く存在していると思われる。花粉が収まる5月にもある程度検出されているので、その点は「5月半ばは花粉はほぼないはずなのに完全にはスッキリしない」体感と一致している。

PM2.5自体、皮膚炎を起こすが、そのほかも当然排気ガスなどから出る様々な汚染物質がくっついているので、都会の花粉やPM2.5などは相当な刺激物になる。

はるか彼方の大陸から中国の大気汚染物質を結合させた黄砂が一番怖い。黄砂が直で皮膚に触れようものなら酷く腫れ、痛い。即喘息になる。花粉シーズンに起こると、黄砂&大量のPM2.5&それ以外の化学物質&花粉&ピノンアルデヒドなどの揮発性有機化合物の大爆弾となり、たーいへんなことになるわけだ。なので、黄砂の害も時期により何がくっついているかが異なるので、反応もだいぶ異なる。

私は、前述した通り、昔は花粉にここまで反応はしていなかった。精油も皮膚に直接つけるとかぶれることも多かったが、芳香浴は基本的に問題がなかった。どちらも8年前オーストラリアから帰国後に悪化している症状だ。寛解状態だったアトピーが明らかに日本に帰国して急激にぶり返したのと同時に起こっている。

アトピーは32歳の頃に発症したが、初めてIgE抗体のアレルギー検査をしたのは帰国後の40代後半。それまでは花粉症の症状もなく、自分のアトピーとアレルギーの関連性にも気づかなかったくらいだ。

帰国後、特に初めての春の花粉の反応はそれはそれはひどかった。1日外で過ごしたあと、頭が朦朧とし、脳も全身もビリビリ痺れ、その数日後から瞼も顔面も腫れ上がった。

その時にIgEのアレルギー検査をしたら、スギ、ヒノキ、カビ、ハウスダストに強い陽性反応が出て、自分がそれら物質にアレルギーがあることを初めて知った。

アレルギーは、前述した通り、特定の物質に暴露した後に、免疫細胞が抗体を作り、2回目以降にその物質が体内に入ってきた時に反応を起こす。なので、「え、前は(最初は)大丈夫だったのに」となる。

そして、化学物質過敏症も発症プロセスはよく似ている。一度大量に化学物質に暴露すると、その後、再度似た構造を持つ化学物質に触れたときに不定愁訴始め様々な症状が起こる

様々な症状が起こりうるわけだが、アレルギーに似ている症状だとアレルギーと間違われることもある。ただ、アレルギー素因がない場合、アレルギー様症状を起こしているのに、血液反応にアレルギー反応特有の好酸球の増加などは見られない。なのでアレルギーではない。

一方で、化学物質過敏症自体、アレルギーや喘息を持っている人が発症しやすい(化学物質過敏症の7割はアレルギー疾患がある)ので、その場合は化学物質に対する反応と同時にアレルギー反応も起こす。この場合は私の場合のようにアレルギーに隠れて気づかないままになることもあるだろう。

化学物質過敏症は誰でもなり得る疾患で、家の建て替えなどで大量の化学物質に暴露した際などに発症する。家のリフォーム時、新築への引越し、近所の工場などからの暴露でよく起こる。

わかりやすい例はシックハウス症候群だろう。おそらく、一般の人が思い浮かべるのは、ホルモアルデヒドなどの建材に使われる化学物質だと思うが、それ以外にもカビやダニ、ガスや洗剤や、様々な物質も原因となり得る。

化学物質過敏症では特に揮発性有機化合物に反応しやすい。合成洗剤・香料・柔軟剤・防虫剤・消臭剤・合成界面活性剤を使用した製品・塩素系漂白剤・整髪剤や化粧品・アルコール消毒剤・添加剤・新しい家電などのプラスチックから揮発する可塑剤・新しい合板の家具・建材などに反応する。

また、食品の添加物、酸化防止剤、農薬。物質そのものに反応するのか、または解毒機能が落ちた肝臓の負担になるのかわからないが、摂り続けると症状が悪化する。

症状が悪化すると、食材に含まれる自然の化学物質にも反応し始める。サリチル酸、ヒスタミン、ナス科の食品。腸内細菌叢のバランスも徐々に崩れ、ヒスタミンを増加させる日和見菌などが増えると、発酵食品を食べた際にヒスタミンが増加し、症状が悪化する。

そして、人工の揮発性の化学物質、特に香料と似た構造の、植物の香りの成分にも反応することになる。

シックハウス症候群対策をして建てた家でも急性の化学物質過敏症が起こることがある。木材に含まれるαピネンだ。いくつかの症例により、αピネンによって化学物質過敏症の症状を起こすことがわかっている。

木材に含まれるαピネンは時間の経過とともに揮発して減っていく。そのため、古い木材だと揮発成分は少ない。また、ホルモアルデヒドなどの成分は炭などに吸着するので除去することが可能だが、どうやら樹木の精油の揮発性分は結合しないため、よく換気をしたり空気清浄機で空気を綺麗にしながら、自然となくなっていくのを待つしかないようだ。

今回、「ヒノキ」というキーワードでしつこく調べ、スギ・ヒノキの花粉シーズンに両方の成分に同時に暴露していることがわかった。

そして「大量の化学物質に暴露したことがあったか?」と記憶を辿ると、あった。帰国後すぐに住んだ家の一階が食品の香料加工の工場だった。

そこはオーストラリア留学に向けてそれまで広い賃貸の部屋で一緒に住んでいた母を一時住まわせるために借りた小さい部屋。その場所に記憶を辿ると、一階の小さい工場から様々な甘い香りがしていたのを思い出す。二階に住んでいたので香りは直撃だ。

オーストラリア留学の半年ほど前にそこに引っ越して出発まで私もそこに住んでいた。おそらくその時に最初に大量の香料に初暴露をしたのだと思う。

ただ、当時、私はタバコを吸っていた。企業勤めのストレス対策で、お酒も小麦も砂糖も何もかもやめて残った最後の悪習慣だった。

会社を辞めたら禁煙しようと、実際、オーストラリア1年目で完全に禁煙した。どうやらタバコなどの有害物質を摂り続けていると化学物質過敏症がマスキングされ、辞めると一気に出てくるらしい。そして、帰国後、香料に再度大量に暴露して発症したのだと思う。

マスキングはタバコ、飲酒、コーヒー、香水、殺虫剤、防カビ剤、柔軟剤、医薬品などで起こりうる。これらに毎日暴露しているとその間は隠れているが、やめた時に化学物質過敏症の症状が現れる。「体に悪いことをやめたのに体調が悪くなった」というのがまさにこれに当たる。

実際に、帰国後、一階の香料に暴露し1週間で指にアトピーが出て、みるみるうちに広がっていき、なかなか治らなくなった。

オーストラリアではものすごくハードな勉強のストレスの中でも寛解した状態で生活できていた。バイトで埃に触れると指にアトピーが出たこともあったが、埃に触れない様にしていたらすぐに治っていた。それが日本では治らなくなった。

そしてその春の花粉皮膚炎の爆発以降、何度か引っ越しを重ね、アトピーが出たり引っ込んだりを繰り返しながら、都内のある場所に引っ越した。そこで治りかけていたアトピーがものすごく酷くなった。この時も全身が赤く腫れ上がっていた。

そこは大通りに面した古いライオンズマンションで内装がとても綺麗にリフォームされた部屋だった。

徐々に体調が悪くなった。ちょうどその頃はフルタイムの仕事のストレスがあり、それが原因かと考えていた。

そんな折に、今となってはわかるが、αピネンが多いフランキンセンスの精油やその他の自然の成分が入ったクリームで腕が腫れ、そのまま全身が腫れ上がるまで坂道を転がるように悪化した。昔はフランキンセンスは全く問題がなかったので、当時はどうしてそこまで反応したのかわからなかった。

その場所は、車の排気ガス、都会の汚染物質、リフォーム後の塗料などの揮発性物質、浴室が外に面していないためカビが溜まりやすい構造、住宅が密集した場所の電磁波。そこですでに化学物質にバンバン反応し始めていた時に、αピネンが最後の一滴になったのだろう。豊富温泉に行くまで治らなかった。

化学物質過敏症になると解毒が基本できていないので重金属なども体に溜まりやすく電磁波過敏症にもなりやすくなる。その頃は、身体中ビリビリしていたので、スマホも触るのが嫌だった。

バイオレゾナンスも一度計測してもらったことがあるが、ほぼ全ての皮膚疾患が全て出ていて、ウイルス、カビ、物質、ほとんど全てのものに反応していた。それも今なら納得できる。

東京から離れれば離れるほど体調は良くなった。緑の多い仲町台に住んでいたときは体調は断然良くなったのだが、喘息が出てきた。「なんでだろう?」と思っていたが、公園の隣に住んでいたので樹木の揮発成分や木の香りがしていた部屋の押入れの木材に反応していたのかもしれない。

今住んでいる茅ヶ崎の家は周りに何もなく、四方に窓がある戸建だ。カビに弱いのはわかっていたのでとにかく通気性の良い家が良かった。それが正解だったようで、茅ヶ崎に引っ越し、掃除をすればするほど体調がゆっくり良くなった。仕事柄他にも色々なことをしたが、難治化していた両手も治った。

原因がわかると全てが説明がつく。気持ち良いくらいに全てに説明がつく。

ひ弱な肝臓なのに、肝臓の機能を亢進するものを摂ると悪化するのも納得。精密検査をしても肝臓の専門医もわからない、ちょっとの刺激で爆上がりのγGTP値にも納得。

実はこういう仕事をしていながらあまりサプリメントは得意ではなく、合わないものが多い。以前は飲めていたサプリで飲めなくなっているものもあるのも説明がつく。

クリアになると、「こんなに明らかなのに今までなぜわからなかった?」と思うけど、自分のことは本当にわからないもの。客観的に診て、本気で考えて取り組むのが難しい。

クライアントさんもアトピーの方はどんどん治っていくのに、自分はなかなか難しく「なんだか難しいケースなんだな」と思っていた。

対策については、もう免疫のことも皮膚のこともとりあえず考えなくていい。とにかくまずは解毒。グルタチオンを飲んで打って、ビタミンCをとって、とにかく生活の中から化学物質と汚れを取り除いていく。

人と一緒に暮らしていくのにも、化学物質に耐性をつけなくてはいけないと考えていたので、調子が良くなってきたらある程度普通の歯磨き粉や食品なども使うようにしていた。だが、これはもう完全に皮膚が良くなるまでは、クリーンな生活に戻さないといけない。

でも、先が明るいので今の気持ちは意気揚々としてる。

私の周りは過敏な人も多いし、自然派の人も多いし、それが故に精油を取り扱う人も多いので、細かく話を書いた。自然のものだから優しいわけではなく、敏感肌の人には自然の成分も強いことがあるから注意というのは講座でもしっかり話しているつもりだ。

ただ、芳香浴での精油の揮発成分そのものが与える影響もあるということや、過敏な人やアトピーの人にはαピネンや他にも刺激が強いとされるリモネンなどは要注意、ということは念頭においておいた方が良い。「柔軟剤の香りが苦手」というお客様にはαピネンの精油は避けたら良い。

今の所、αピネンが多い精油以外は私は問題がない(あったとしてもQOLに影響しするほどではない)ので、様子を見ながら使っている。

重度の化学物質過敏症の人には一般の人は出合うことは少ないと思うが、その場合は当然如何なる精油も避けた方が良い。

一般的な化学物質過敏症の症状は:頭痛、倦怠感・疲労感、筋肉や関節の痛みや不快感、めまい、ふらつき、手足の冷え、動悸、皮膚炎、筋肉痛、関節炎、吐き気、下痢、便秘など。今は化学物質過敏症の情報がたくさんネットにも掲載されているので気になる人は参考に。

ただ、過敏な状態は、身体の解毒機能が追いつかず弱まっている間だけなので、いつか治る時が来る。αピネンを嗅いでも大丈夫になる時が来る。いつか食品の自然の成分にも反応しなくなる。

化学物質をできる限る除去し、体内に入れる化学物質の絶対量を減らし、体力が戻ってきたら、栄養を摂って運動をする。森林浴(針葉樹でも)も問題ない。

動いて汗をかいて、汗・尿・便でどんどん化学物質を出していく。まずは、解毒に専念すること。身体が楽になったら、また精油を楽しめる時が来る。

今回は、勢いで「だ・である」調で書いちゃった!

精油成分はたくさんの種類があり、それぞれがさまざまな研究がされていて、αピネンは優れた鎮静作用、リモネンも血行促進作用があり、他にもさまざまな成分が自律神経を整えたり、抗がん作用があったり、たくさんの恩恵を我々に与えてくれる。気をつけるところは気をつける、でもそこまでビクビクせず使える時は上手に使っていこうね!

今回調べた際に見つけた文献類(一部のみ):

化学物質過敏症患者の症状に関与する室内空気中化学物質の検索 道衛研所報 Rep.HokkaidoInst.Pub.Health,55,7-14(2005):https://sapmed.repo.nii.ac.jp/record/11381/files/n04410793557.pdf

花粉飛散マーカの探索を目的とした加圧脱着-GC/MSによる花粉由来揮発性有機化合物の同定:https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/67/6/67_323/_pdf

神奈川県内で採取されたPM2.5に含まれる有機化合物の同定:https://www.pref.kanagawa.jp/documents/71574/gyouseki2019-05.pdf


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