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米国系インター校での、ちょっと笑える宗教のお話

 米国系のインターナショナルスクールの中には、キリスト教系の学校もあり、うちの子供たちもそういう環境に置かれた。

もちろん信条の自由は保証されているので、キリスト教系の授業を強いられることはなく、その代わりとなる授業を受けることになる。World Religions(世界の宗教)という科目がそれに当たり、世界の色々な宗教について学んでいく。

こういう環境では、西側諸国からの駐在員子女たちは高確率でキリスト教の授業を受ける。韓国のインター校だと、韓国人の子達も高確率でキリスト教の授業を受ける。めっちゃキリスト教徒が多いお土地柄である。

さてさて。

うちの末っ子のバク(麦)は、昔っから「学校のお勉強はやる気がないのでパッとしないがが、典型的な地頭が良いタイプ」であり、瞬間的な機転が効いたりする。

そんなバクが、新しいバイオリンを学校に持っていく日の朝のことであった。

インター校では学校の授業でオーケストラ等の授業をとると、何らかの楽器を担当せざるを得ず、彼は、前の学校からやっていたバイオリンを選択した。そして子供の成長は早く、バイオリンのサイズは定期的に変わり、最終的な大人サイズのバイオリンを購入して、初めてそれを学校に持っていくことになった。

我が家には子供が4人いて、朝は全員がバタバタと準備に追われている。私は皆に「お弁当入れたー?忘れ物なぁい?」と大声を張り上げていたりするのだが、そういう時に限って、誰かがイレギュラーなことを言い出す。

「あ、レポートの印刷忘れてた!」「ママさん、このドキュメントにサインして!」などである。それに最速で対応して、なんとか登校時間に間に合わせるのである。

その日は、出かける直前にバクのバイオリンを見て私が絶叫してしまった。

「ぎゃあああああ!!!!!名前つけてない!!!」

私物には名前をつけておかないと、意外と高確率で紛失する。その多くは盗難である。

お金持ちが多い学校なのにと思うのだが、実はめちゃくちゃ盗難が多い。彼らの経済観念はバグっているので、人のモノを盗んでも大したことじゃない(大した価値じゃない)と思うのだ。つまり「また買えばいいじゃん」くらいのもんである。

だから自衛するしかない。

バイオリンの場合は、本体だけではなく、ケースや弓にも名前を書く。もしくは名前シールを貼るのである。それでも盗られる時には盗られる。えげつない世界である。

時間のない中、とりあえず油性ペンを手に持ち、本体に名前を書き殴る勢いでテンパっていた私を尻目に、バクがある行動にでた。

「ママさん、これで大丈夫だから。」

彼は、自分のカバンにつけていた日本のお守りを、バイオリンケースの持ち手にくくりつけたのだ!

その姿を見て余りにも面白すぎて、足腰立たなくなるほど笑い転げてしまったのだが、結果的にバクはその後、そのバイオリンに名前を書くことなく、盗難にも遭わなかった。

キリスト教徒が多数在籍するその学校の生徒にとっては、他宗教(仏教)の札(お守り)なんて、怖くて触れなかったと思われ(汗)。

そのあたりを瞬時に判断するバクの機転よw

ちなみに私もバッグに日本のお守りをつけていて、それは見る人が見れば「日本のモノだ」ということが瞬時に分かるらしい。

東日本大震災があった一週間後ぐらいにも、韓国の某バス停でバス待ちをしていたところ、私のバッグについたお守りを見かけて「もしや日本の方?ご家族の方は皆さんご無事で?」と話しかけられたことがあった。

あの当時は、友人にもお店でも習い事の先生にも、皆さんに心配して頂いて、優しい温かい言葉をかけてもらった。寄付もいっぱいして頂いたよ。だから多くの韓国の人は日本に同情的であった。

その状況が少しずつ変わっていったのは、原発事故のリアルが少しずつ報道されるようになった以降のことだ。この話は別noteで。

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