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CRMで目指すべき「ロイヤリティ醸成」①

みなさんこんにちは。
マーケティングディレクター兼データサイエンティストのtohari.です。

最近CRMのお仕事で「カスタマーロイヤリティ」という言葉を聞くことがかなり少なくなったように思います。
おそらくテクノロジーの発達によりMAがクローズアップされるようになり、CRMの機能的側面だけが先行しているからかなぁと思っていたりします。

ですが、CRMが目指す理想の形は安定的売り上げを支えてくれるブランドファン、言い換えればロイヤルカスマターの育成と維持にあります。それにはMAだけの施策では不十分ですし、CRMの重要なKPIとしてロイヤリティに関する指標を持つべきだと思っています。

そこで今回は改めて「カスタマーロイヤリティ」とは何かについて考えていきたいとおもいます。
CRMを担当されている方の業務に少しでもお役に立てば幸いです。

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ロイヤリティとは?


直訳すると「忠誠心」。
でもブランドと顧客との間のことなので、違和感ありますね。
「好意」や「コミットメント(関わり合い・関与度)」と理解した方がしっくりくると思います。

それではロイヤリティの形成要因とはどのように考えられるでしょうか?

筆者はこの図のように理解していますが、顧客がブランドに対して感じる価値には2つあると思います。

1つは、プロダクトバリューです。
これは商品・サービスそのものから受ける直接的な価値といえます。
さらにこのプロダクトバリューは、機能的価値と知覚的価値に大別されます。

もう1つは、リレーションシップバリューです。
リレーションシップバリューとは、購入や利用経験のプロセスを通じて顧客が受ける価値のことです。
この中には例えばカスタマーサービスであったり、店頭で店員から受けるホスピタリティであったり、そうしたサービスを含めた価値になります。

顧客が感じるブランドへの好意は、商品・サービスによる提供価値だけでなく、購入や利用経験などのプロセスを通じて変化していきます。
つまりロイヤリティは、Product valueとRelationship valueの双方によって形成されると言えます。
ただし、CRMとして展開されるのはRelationship valueの向上・維持に関する施策のみとなります。

ロイヤリティの種類


CRMとして考えるロイヤリティ(リレーションシップバリューを通じて形成できるロイヤリティ)について、もう少し深堀していきたいと思います。

ロイヤリティは、「物性的施策・価値」と、「心理的施策・価値」の提供の仕方によって、4つのタイプに分類できます。


真のロイヤリティ:
物性的・心理的両面のアプローチによって形成が可能なロイヤリティで、最も強い繋がり方と言えます。

表面のロイヤル:
基本的に物性的施策のみを通じて得られるタイプのロイヤリティを指します。物性的施策とはいわゆるディスカウントやポイントなどの経済的便益の提供による繋ぎ止め施策ですが、金の切れ目が縁の切れ目というように、経済的便益や他ブランドより低下すると、離反が起こりやすくなります。
多くの小売事業者や航空会社・ガソリンスタンドなどが行っているCRMは、基本このタイプのロイヤリティ形成を生み出す施策になります。

気持ちのロイヤル:
心理的施策のみによるつながりです。気持ちはつながりますが、経済的便益がない分、ロイヤリティの強さにやや欠けます。

仕方のないロイヤル:
仕方のないロイヤルは、物性的・心理的いずれの価値提供がない状態でも得られるつながりのタイプです。
このタイプは、種類としては存在しますが、施策として目指すことはありません。

ちなみに仕方のないロイヤリティには以下のようなものがあります。参考程度に覚えていただければ良いと思います。


システム会社、MAツール会社が行うCRM


ここで、システム会社・MAツール会社が推進しているCRMについて補足したいと思います。
以下の事例は、シナジーマーケティングという会社が靴のヒラキ様向けに提供しているものです。

https://www.synergy-marketing.co.jp/showcase/hiraki/


この事例は簡単にいうと、DBに蓄積された顧客情報をもとに、顧客ごとに情報提供を行い、顧客反応率を高める仕組みというものです。

顧客に合った情報が提供されることで利便性が上がりリピート購買に繋がりやすくなると思いますが、この中には心理面にアプローチする施策は存在せず、表面のロイヤル形成という域を出ないかと思います。

心理的アプローチ施策


その一方で、これもCRM施策の1つです。

この施策の中でブランドは、愛車を思うオーナー(顧客)の気持ちに「バースデー」という一言で応えています。顧客にとっては、自分が大切にするものを同じように大切に考えてくれているというブランドの心配りをこの中から感じることができます。

昔から「心を攻めるが上策」という言葉がありますが、たった1枚の定期点検のお知らせでも、心を掴むことができるわけです。まさにホスピタリティの国ならではの施策かなぁとおもいます。

残念ながら、こうした施策はMAやシステム発想からでは出てきません。
ポイントPGMや会員向けセール、顧客セグメントメールなどの仕組み重視の物性的施策ももちろん重要ですが、それだけでなく、このような心理面にアプローチする施策を組み合わせることで、顧客との関係性はより強くなっていくはずです


ココロにアプローチするCRM施策事例


そのような事例は他にもいろいろありがますので、次回ご紹介していきたいと思います
お楽しみに!

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