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映画と車が紡ぐ世界chapter134

スターウォーズ フォルクスワーゲン パサートCC B6系 2008年式
Star Wars VW PassatCC B6 2008


自称ミレニアムファルコン号
(一般的な名称ではVWパサート)の助手席に座ってくれる
レイア姫とは まだ出逢っていない
 
後部座席を改造したスペースでぐっすり眠っている 
チューバッカとの二人旅
ホワイト&ブラックのダルメシアンだが
ご飯を催促するときの 遠吠えだけは 
森林惑星キャッシーク出身のウーキー族そのものだった
 
Whooooooooooooooooooooooooo

・・・今日も元気にお目覚めのようだ
 
今年で8年目を迎える 僕らの旅は 
毎年ゴールデンウィークの10日間を使って 
本州をぐるり一周するドライブ旅行
目的は ハンソロのように
かっこよく 宇宙空間の運び屋稼業・・・というわけでもなく
交通法規に則り のんびり気ままな
気分転換ドライブを満喫することにあった

3年前までは 
ピカピカの助手席に 座ってくれる お姫様との出会いを 期待していた
しかし 今では 
そんな甘い恋のハプニングよりも
ひたすら 未確認生物との遭遇を夢見ていた 
つまるところ 
世間で言う中二病は 悪化の一途を辿っていた 

北緯31度線を越え 周囲が熱帯の植生になっていることに気付く
駐車場のガジュマルの大木は 
ここが惑星エンドアの入り口のように見えた 
ここでファルコン号とは しばしお別れ
僕とチューバッカは 帝国軍基地のようなトンネルに入った 
ここは本土最南端 佐多岬・・・ 
イウォークたちが現れそうな 原生林にフォースを感じていると
突然チューバッカが走り出した 

「おっ・・・おい 待てよ!」

1km近く歩いてきた僕に 
もはや走る気力はない・・・白い点となった相棒の後を 
ゆっくり歩きながら追った

「まぶしい!」
森林が裂け 空が開けた
どこまでも遠く続く海に どしりと構える 佐多岬灯台
この灯りが 日本の開国を照らした・・・
ぐわりと 揺らいだ視線に 黒船が見えた その時・・・ 
 
「チューバッカ?!」

背後から 女性の声
慌てて 僕が振り向くと 
毎日通うコンビニのレジ係の女の子が 立っていた
 
「やっぱり!! チューバッカじゃない!」
 
カノジョに 相棒の名前を教えた記憶は 無かった・・・
ただ お腹を空かせた コイツが
コンビニの前で 遠吠えを上げたとき
「こらっ! チューバッカ! 帝国軍に見つかるぞ!」・・・って 
言ったような・・・
 
「なんで君が・・・」

「どうしてあなたが・・・」
 僕たちの声が 重なった
 
Pu!!!!!!!
 そして・・・ 互いに 吹き出した
 
ゴールデンウィーク中の佐多岬には 
北海道をはじめ全国から 人々が集まってくる
そんな場所だから 偶然の出逢いもあるだろう
 
「May the Force be with you」

僕は ほんのり甘いストーリーを予感して
そっと空に向かって呟いた・・・ 

彼は きっとそういうだろうと思った 
私は 彼のことが 好きだった

いつも ふわふわしていて 
空想の中を生きているような 不思議な人
子供たちや お年寄りに レジの順番を譲り続ける
やさしい彼を 私は5年間見続けてきた 
そして・・・
チューバッカは 彼の優しさの分だけ 外での待ち時間が長くなる 
そんな彼に 
私は何度か ウィンクで 訴えたことがあった
しかし・・・
彼が気付くことはなく 外で待つチューバッカだけが
理解したかのように 遠吠えを上げた
どんなに待っても 彼は気付かないだろう・・・
 
だから・・・
 
ゴールデンウィーク前
彼が いつものようにお店に来た時・・・
破裂しそうな鼓動を抑えて 私は春風のように さらりと聞いた

「ゴールデンウィーク お出かけですか・・・」
 
完璧な Ωゼロの質問に 
彼は 空想の中に半分浸りながら ふわりと自動的に答えた

「多分 みどりの日には 九州最南端にいるかな・・・」
 
5月4日・・・ 
今年の私は ほんの少しだけ 冒険してみようと思った
そこで 彼に出逢えれば・・・ !

その時 彼は きっと こう言うだろう
 
『フォースの下にあらんことを』と・・・

♪ Star Wars - May The Force Be With You ♪


5月4日 USAでは May the Force be with you"を"May 4th"にかけて
スターウォーズの日と言われています












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