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ユーロ2020決勝 テレビ観戦記録 監督の采配が明暗を分けた。マンチーニ、ただのイケメンではなかった。キエッリーニの涙にもらい泣き。

 ユーロ2020決勝。サッカーの聖地、ロンドン・ウェンブリースタジアム。この前、100%といったけれど、9万人収容75%で6万人の観客で行われました。


 デビッド・ベッカムとトム・クルーズ、ウィンブルドンの決勝にもスーツをビシッときめて観戦していたのだが、ウェンブリーでも、すぐ隣で観戦していました。ビシッとキメキメで。

 貴賓席ではウィリアム王子とキャサリン妃、そしてジョージ王子、ちっちゃいけどサッカー大ファンだそうで、マジ応援モードで見ていました。
 イタリアからも「入国したのは1000人だけ」と報じられていましたが、いやー、イタリアサポ、1万人くらいいたぽい。


 まあしかし、イングランド、圧倒的ホーム、これがアドバンテージかというと、ここのところ、フランスも前回ユーロ決勝、ホームで負けているし、どちらかというと、プレッシャーになるんでは、という予測もあったわけです。


 が、始まって2分、右サイド・トリッピアーから左サイドのルーク・ショーへ、見事なロングパス、イタリア自慢のセンターバックは、真ん中に走りこんできたケイン、スターリングらに引っ張られ、ルークショーがフリー。とはいえ、ショートバウンドしたところをハーフボレーで、全く浮かせず、弾丸のようなシュートをニアサイドに突き刺した。びっくりした。絶叫しました。あんなすごいハーフボレー。


 そもそもが総合力でイングランドがやや優勢、とみられた上に、早い時間で先制。


 また、チェルシーでもCL制覇に貢献したイタリアのボランチ、ジョルジーニョを、ケイン、スターリング、マウントの前線3人で抑え込むことで、イタリアの攻めを機能させないという戦術も見事にはまった。加えてジョルニーニョは前半22分くらいに、膝を痛めて、その後もプレーは続けたが、いつものように走行距離が出なかった。それもあって、イタリアの攻めが全く機能しない。キエーザジュニアが時折、一人奮闘する程度。


 もうひとつ、どうしても書いておかないといけないのが、この試合の主審、オランダのサンデル・ファン・ルーケルさん。WOWOWの実況・柄沢さん情報では、世界でいちばんリッチな審判だそうで、大手スーパーマーケットのオーナー社長で年収16億円、というのが関係するのかどうかはわからないが、この試合にあたって「ころころ転がるスターリングと、ポストプレーでちょっと後ろからつつかれたくらいで転がるケイン、あれはファールの笛は吹かないよ」という基準でやると、決めていた模様。準決勝のスターリングのPK、あれは自分なら取らない、スターリングのダイブは取らないと決めていたのだと思う。


 これを取る審判だったら、イングランドのチャンスは倍以上増えたと思うし、PKもあったかもしれない。しかし、かなりひどいファールを受けても、なかなか取ってもらえないスターリングは、不満、ストレスが溜まっていったと思う。


 審判が、そういう意味ではややイタリア有利基準だったにも関わらず、前半は、イタリアは本当に機能不全だった。


 中盤の、イングランド「ライス&フィリップス」と、イタリアの「バレッラ&ベラッティ」の出来に大きな差があったと思う。


 ハーフタイムに、マンチーニ監督がどういう指示を出すか。選手交代の手を打つかが注目された。


 マンチーニって、現役時代から「セリエA一番のイケメン、伊達男」っていうイメージしかなくて、監督として、どんな?と思っていたのだが、ここから、本当に見事でした。


 54分、機能していなかった攻撃的MFバレッラ、FWインモービレを交代。クリスタンテとベラルディを投入。これでイタリアの攻撃が活性化。何度もいい形が作れるようになる。キエーザも左にポジションチェンジし、中にドリブルしながら、何度も強烈なシュートを打つ。61分のシュートは、あわや、入りそう。GKピッグフォードのファインセーブで命拾い。しかし流れははっきりイタリアに傾いた。


 65分、キエーザのロングシュート気味のクロスをマグワイアがヘッドで逃れてコーナーキック。


 ベラルディの左足のコーナーキックをニアでクリスタンテがすらし、ゴール前混戦、ディフェンダーの要のベテラン、キエッリーニがつぶれたところにベラッティがヘッドで詰めて、最後、もうひとりのベテラン、ディフェンスの要、ボヌッチが押し込んだ。泥臭い、執念のゴール。特にディフェンスの二人。あと、マンチーニが交替で入れた二人が、きちんと絡んでいる。


 イングランド監督サウスゲートは動かない。1点を守りろうという意識で消極的になって押し込まれている、このあたり、もうすこし早く動いてもよかったのでは。悔やまれるところ。


 点を取られて投入したのがサカ。アーセナルの19歳フォワード。たしかに準決勝ではいい動きはした、決勝PKにつながる右サイドの崩しはサカからスターリングだったか。今、押し込められている状態をサカで打開するのは違うなあ。中盤構成がイタリア有利になったんだと思うのだが。


 この辺から、さすがの主審も流せないような、露骨なファールが両チームに増えてくる。


 そうこうするうち残り10分。80分で、イタリアの今日の攻撃中心、キエーザが足首故障。いやな予感。85分に交代。すごく嫌な予感。流れがイングランドに行きそう。


 このままロスタイムも過ぎて延長突入。


 96分、イングランドコーナーからのはねかえりをフィリップス、ロングシュート。あわやというところ。逸れていった。
 103分、エメルソンがサイドを突破し、ゴール前に鋭いクロス、飛び込んだペロッティに、わずかに合わず。


 一進一退が続く。


 延長後半、両者、体力がきつくなり、ややオープンな展開、どちらも危ないシーンが続く。


 イングランドは119分、ここで若手二人、ラシュフォードとサンチョを投入。結局ピッチに入れたのは120分。
 さきほどのサカ、ラシュフォード、サンチョ、いずれもひどく若い黒人選手なのである。これが、試合後、様々、議論を呼ぶことになる。サカ19歳アーセナル、ラシュフォード23歳マンU、サンチョ21歳、ドルトムントから来期マンUの7番、カントナからベッカムからクリスチャーノロナウドがつけた、マンUの7番を背負う21歳。


 120分になる時間での投入。つまり、PKを蹴らそうという交替なのである。


 そしてこのまま1-1で延長も終了。PK戦に突入。


 ゴール位置と先攻後攻を決めるコイントス、キエッリーニの顔に、準決勝のとき、スペインのジョルディアルバをおちょくったときのような余裕はない。ケインと真剣に向き合っている。


 キーパー、イングランドはピッククフォード27歳。イタリアのキーパーはドンナルンマ。もっと若い。23歳。しかも、いまミランに再契約してもらえず、失業中である。


 1人目、イタリアは途中交代で入ったフォワードベラルディ。イングランドはケイン。二人とも落ちいて決める。


 イタリア二人目も後半から入ったフォワード、ペロッティ。ピックフォードが見事なセーブ。止めた。途中投入選手のPKは「疲れていないからいい」「試合に入れていないからダメ」両面がある。


 イングランド二人目はセンターバック、ベテランのマグワイア、落ち着いた素晴らしいキック。


 イングランドが2-1でリード。


 問題はここから。イタリアは二人途中交代の選手とはいう、後半50分過ぎに投入されているから、かれこれ一時間プレーしている。ゲームの緊張感に入っている。


 イングランドの三人目はラシュフォード。120に投入されて、1分くらいしかプレーしていない。決勝戦の緊張感に入れていない。ラシュフォードは助走でフェイントをいれようとぎこちなくなり、左ポストに当てて外した。


 三人目終わって2-2、イングランドは後攻で、プレッシャーがよりきつくかかる。


 イタリア四人目はこれも途中出場のベルナルデスキ。キエーザと交替で入った選手。なんと、意図してど真ん中に蹴って決めた。


 イングランド四人目はサンチョ。21歳。やはり1分しかプレーしていない。右に蹴って、読まれて、見事に止められてしまった。


 四人目終わってイタリア3-2イングランド。


 次、五人目、先攻イタリアが決めれば優勝。キッカーはジョルジーニョ。PK職人と呼ばれている。スペインとのPK戦でも5人目、冷静にゆるいボールで決めている。世界中の人がジョルジーニョが決めてイタリア優勝だろうと思った。


 しかし、左隅を狙ったキックを、ピックフォードがびったり読んで、止めたーー。頭を抱えるジョルジーニョ。ガッツポーズのピックフォード。流れが変わったか。


 ここでイングランド5人目はサカ。途中投入、ややプレー時間は長いとはいう、19歳。このプレッシャーがかかる5人目を、19歳に蹴らすのは、酷くないか。ベテラン、いくらでもいるのに。


 サカ、泣きそうな顔だったもん。蹴る前から。右サイド狙ったのだろうけれど、コースも甘く、楽々止められてしまった。もう、すぐ泣きだしちゃった、サカ。かわいそう。


 サウスゲート、PKの人選順序、違うだろう。アーセナルとマンチェスターユナイテッドの将来有望な若手を、この経験で潰してしまうじゃあないか、という批判など、いろいろ批判が渦巻いているようだ。


 ロイヤルファミリー、ジョージ王子、ちっちゃい。まじで悲しそう、泣きそうになってる。かわいい。かわいそう。


 ベッカム、自分のワールドカップ、初めの、「愚か者」と言われた、退場敗退を思い出したかな。悲しそうに、ポケットに手を突っ込んで立ち尽くしている。ベッカムは若い時のつらい経験から立ち直って世界のスーパースターに成長したのである。


 キエッリーニが、嬉しそう。PK外したペロッティが、キーパー、ドンナルンマに抱き着くというか、後ろからおんぶしにいく。助かったーありがとー。という感じ。


 キエッリーニとボヌッチという二人のベテランディフェンダーが、新しいチームを底でとっしり支えた、いいチームでした。


 表彰式、メダルをかけてもらうところでキエッリーニが泣いている。のを見て、僕ももらい泣き。


 関係者なだれ込んできての、カップを掲げての、紙吹雪の中での記念撮影、イタリアチーム関係者、全員幸せそうでした。


 イングランドの若手三人、サカ、ラシュフォード、サンチョ、ここから立ち直って、ワールドカップや次のユーロを取ってほしいなあ。きつい経験だと思うけれど。


 イングランド、イタリア、それに新生スペイン、いいチームでした。ベルギーはデブライネが怪我すると、チーム力が落ちちゃうのが残念。フランスは戦力だけ見れば世界一だが、内紛で崩壊した感じでした。デンマークは旋風を起こしたし、チェコ、ウクライナ、クロアチアはいいチームでした。
 ドイツは今回の敗退で、監督も後退し、がらっと違うチームになるでしょう。
 ヨーロッパのサッカーは、南米とは全然違うというのが、コパアメリカと同時期開催で、はっきり見えるのも面白かったなあ。
 コロナのせいで一年遅れたので、次のワールドカップとの時間があまりない。今回のチーム、成績から、各国どう対応変化していくのか。興味は尽きません。


 サッカーって本当に面白い。

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