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『人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造』熊代 亨 (著) いや、薄いんだけど新書なんだけど『サピエンス全史』と『ホモ・デウス』合わせたくらいの全人類ビッグヒストリー+未来予測提言の書です。
『人間はどこまで家畜か: 現代人の精神構造』 (ハヤカワ新書) 新書 – 2024/2/21 熊代 亨 (著)
普段ならここでAmazon内容紹介なのだが。この本、タイトルも副題も帯のコピーも、Amazon内容紹介も、どれも本の内容の凄さを全然、表していない。まあ、キャッチーで売れるにはこうだ、と編集者の人が決めたのかな。だから引用しません。なんか、現代の、自分探しの、生きにくさを感じている人向
『アブサロム、アブサロム!』ウィリアム フォークナー (著), 篠田 一士 (訳) アメリカという国の、その根底にある狂気について。資本主義の根っこにある狂気について。考えてしまった。
『アブサロム、アブサロム!』 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-9
Amazon内容紹介
本の帯・裏
ここから僕の感想
フォークナーを読むのは『野生の棕櫚』に次いで二冊目で、あちらの感想文で「アメリカでかすぎて人間がおかしくなる話」と書いたのだが。
この小説もアメリカという国が、なにか根本的に日本人には分からない狂気の上にできあがっていること、その分からなさのもとの狂気が濃密に
『新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突』 ダニエル・ヤーギン (著), 黒輪 篤嗣 (翻訳) ウクライナの戦争前に書かれているのだが、この本の内容を頭に入れて、各国の動きを考えると、見えてくることが全然違う。特に第4部 中東のところはすごい。必読。
『新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突』 2022/1/28
ダニエル・ヤーギン (著), 黒輪 篤嗣 (翻訳)
Amazon内容紹介ここから僕の感想 一年前、ウクライナの戦争が始まる直前に日本では翻訳、出版された、ので書かれたのはそれよりさらにちょっと前なのだが、いやー、これ、今回の戦争の背景含め、ものすごくクリアにしてくれるすごい本でした。
著者は学者的な研究者ではな
『帰りたい』カミーラ・シャムジー(著), 金原瑞人,安納令奈(訳) 現代イギリスを舞台にした対照的な二つのパキスタン系移民家族。イスラム国に参加した弟を救おうとする姉二人という貧しい家族。イスラムに背を向け内務大臣となった政治家とその甘ちゃん息子という金持ち家族。シェイクスピア悲劇のような読後感でした。
『帰りたい』カミーラ・シャムジー(著), 金原瑞人,安納令奈(訳) 2022/6/28
Amazon内容紹介から抜粋(本の帯要素)
ここから僕の感想 いや、もう、ほんとに各紙の書評通り。初めは現代の「身分違いの恋」の物語かと思って読んでいたら、それがもう、ギリシャ悲劇のように、あるいはシェークスピア悲劇のように、もうどうしようもない運命、どんどんとそれぞれの人物が、どうしようもない状況に追い詰
『ふたつの人生』 ウィリアム・トレヴァー(著),栩木伸明 (訳) 中篇ふたつを一冊の本にまとめたもの。最高の短篇小説家による中篇は、果たして最高か?いやあんまり面白かったので感想文書いたら盛大ネタバレになってしまいました。
ふたつの人生 (ウィリアム・トレヴァー・コレクション) 単行本 – 2017/10/25
ウィリアム・トレヴァー (著), 栩木伸明 (翻訳)
Amazon内容紹介
本の帯 裏から ウィリアム・トレヴァー・コレクション(全五巻)の紹介文
ここから僕の感想 というわけで、「世界最高の短篇作家の、その中篇小説」って、どうよ。この前読んだ短篇集『ラスト・ストーリーズ』はほんとによかったから。
『奥のほそ道』リチャード・フラナガン著 noteを始める前に、2018年12月19日に書いていた感想文をブログから転載。
『奥のほそ道』 単行本 – 2018/5/26
リチャード・フラナガン (著), 渡辺 佐智江 (翻訳)
Amazon内容紹介
ここから僕の感想
しむちょーん、読んだよー。本物の小説です。本物の文学です。としか、言いようがない。
こういうすごい小説は、Amazon内容紹介を読んでしまったとしても、まったくネタバレの心配がないのだよな。あらゆる細部が、あらゆる人物が、どのエピソードのひと
『ラスト・ストーリーズ』ウィリアム・トレヴァー (著),栩木伸明 (翻訳) 著者が2016年に88歳でなくなるまでの最後の10年間に書かれた10篇の短篇。それがいやもう全然老人ぽくない。ただただ完璧な作品たち。短篇なのにいつまでも終わらない(終わりたくないではない、終わらないのである)極上の読書体験でした。
ラスト・ストーリーズ 単行本 – 2020/8/9
ウィリアム・トレヴァー (著), 栩木伸明 (翻訳)
Amazon内容紹介
本の帯 表
本の帯 裏から、僕の大好きなアイルランドの小説家ジョン・バンヴィルの言葉
それに対し、本書解説の最後に引用されている、イギリスの小説家、ジュリアン・バーンズの言葉
ここから僕の感想 短篇の名手と言われる本はそれなりの数、読んできたと思うのだが、その中
「高校3年間を通して「羅生門」しか読まなくていいのか…灘中学の国語科教師が懸念する"文学離れのマズさ"」という記事を読んで考えた。文学、ことに小説を読むということは、どういう意味を持つのか。国語の学校教育で、どの程度の位置づけであるべきか。
昨日、ヤフーニュースを見ていたら、元記事はプレジデント・オンラインだが、こういう見出しの記事があった。
「高校3年間を通して「羅生門」しか読まなくていいのか…灘中学の国語科教師が懸念する"文学離れのマズさ"」
灘中学・高校李の井上志音先生に、教育情報サイト「リセマム」編集長加藤紀子氏がインタビューした記事。
論旨に完全同意なわけではない。のだが、昨日から、この記事に触発されて、「文
『世界と僕のあいだに』タナハシ・コーツ (著), 池田年穂 (翻訳) アメリカの国の根幹にある病理を、息子への手紙という形で、強く訴えかけた本。同じ著者の小説を読みあぐねて、手に取った。こちらのほうが分かりやすかった。
『世界と僕のあいだに』
タナハシ・コーツ (著), Ta-Nehisi Coates (著), 池田 年穂 (翻訳)
Amazon内容紹介ここから僕の感想 直前、感想文を書いた、同じ著者の小説『ウォーター・ダンサー』が、あまりに読み進まなかったために、ちょっと目先を変えようと、前に買って、ちょっとだけ読んで積読状態にあった本書を手に取り直してみた。というのが読んだ経緯。
そうしたらば、今
『ウォーターダンサー』タナハシ・コーツ(著)上岡伸雄(翻訳) なんでこんなに僕の心の中に抵抗感があり読み進むのがつらかったのだろう。その理由を考えた。ほぼ脱線だらけの感想文。
『ウォーターダンサー』 (新潮クレスト・ブックス) 2021/9/28
タナハシ・コーツ (著), Ta-Nehisi Coates (著), 上岡 伸雄 (翻訳)
https://amzn.to/4aQv4ub
Amazon内容紹介ここから僕の感想 正直「あんまり好きじゃあないなあ、読みにくいなあ」と思いながら読んでいたのである。なかなか進まなかった。アメリカの奴隷制を批判的に描く小説、と
『アナロジア AIの次に来るもの』 ジョージ・ダイソン(著)服部桂(監修)橋本大也(翻訳) 著者の個人史・家族史語りがそのまま「オッペンハイマー」や「三体」からIT革命につながるびっくり本でした。でもアナログの話は??でした。
『アナロジア AIの次に来るもの』 2023/5/20ジョージ・ダイソン (著), George Dyson (著), 服部 桂 (監修), 橋本 大也 (翻訳)
Amazon内容紹介
ここから僕の感想 僕にデヴィッド・グレーバーを教えてくれた広告業界きっての教養人、月村さんがFacebook投稿で紹介していた本。「かなり変わった本だけれど、原さんがどう読むか感想を聞きたい」というような形で薦
光る君へ (15)おごれる者たち 感想つれづれ 人違いの場合、するべきか、せざるべきか、それがシェークスピア的に問題なのである。
光る君へ (15)おごれる者たち 感想つれづれ
やはり、ここまでの主役が藤原兼家=段田安則であったことが、その不在で露わになったなあ。ドラマの筋がヘロヘロになってしまった。混沌とした回であった。
道隆=井浦新がまったく権力者の器でないこと丸出しになるし、道兼=玉置玲央は操り人形の操ってくれる人がいなくなってただの飲んだくれになるし。
この前、段田安則と玉置玲央は、今、リア王の舞台で共演
『光る君へ (14) 星落ちてなお』感想つれづれ。一部R18な深読みあります。
「光る君へ (14)星、落ちてなお」感想つれづれ。
吉高まひろの演技のキモは、姿勢と歩き方走り方にあるよな。道長に遭ってしまった後の背中をまるめてちょこちょこと歩く姿、かわいくてかわいそう。かわいいとかわいそうは同じ語源だからな。そもそもおかあさん殺されたのも、子役まひろが走ったせいって本人思っちゃってたり。道長に呼び出されても走るし。「光る君へ 走るまひろ」が原題である。ウソ。
段田安則
『オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集』~ (光文社古典新訳文庫) 自然主義の自然は、ほんとは「自然科学」のことで、ゾラの場合特に「遺伝学」にもとづいて、生物学的に決定されちゃう人間を描くものなんだそうだ。知らなかったな。
オリヴィエ・ベカイユの死/呪われた家~ゾラ傑作短篇集~ (光文社古典新訳文庫) Kindle版ゾラ (著), 國分 俊宏 (翻訳)
Amazon内容紹介本を読んだ経緯
ゾラについては「ゾラ=居酒屋=自然主義」くらいの受験用文学史知識しかなくて、全く読んだこともなかったし、興味も無かったのである。
話は大脱線するが、僕にとって「ゾラ」といえば、20年前くらいのサッカー、ロンドンの強豪チェルシ