医学部を目指す人へ

この半年、医学部の入試はだいぶごたごたしており、収束の兆しもありません。

医学部に入学して、もう卒業しようとする私ですら、心穏やかに勉学に励むことが難しいほどです。

私自身、6年前の入試で、あと1点で某大学を落ちています(得点開示で確認済み)。報道を見るたび、今の居場所や、やってきたことに不満はないけど、どこか割り切れない気分になるのも事実です

医学部入試で行われてきた不正は医療界では周知の事実でした。中に入ってしまえば、そのいびつな構造に気づくことは容易いですが、一般に公開されている情報だけでは少々難しいかもしれません。特に現役生は明らかになる様々な差別に戸惑いを隠せなかったのではないかと思います。

そんな中でも医師になりたいと医学部を目指してくれている人を、私は頼もしく感じています。

そんな人たちに、私が掛けたい言葉は、不正はある前提で、それを凌駕する点数を取りなさい、ということです。今年事件が発覚して、他の大学まで不正是正の対策が取れたか、というとそんなことはないはずです。悲しいかな、まだ今年は影響が残ることでしょう。過去の合格者を入学させるために、今年の定員が減らされるというのも一つの余波です。そんな中で受験生ができることというのは、確実に点数を取ること、これしかありません。これが現実的に一番可能で、自分の可能性を広げる唯一の方法です。これまでの女子医学生はそうやって自分たちの可能性を広げてきました。今年はそれが全員に課せられた、と思ってください。

私の医学部での同級生女子は、色んな意味で強くてしなやかです。悲しいことですが、歪んだ世界の中で彼女たちができることは「強くなること」しかなかったのだと思います。

今年不適切入試が指摘され、公開された大学はまだいいのかもしれません。裏でグレーな行い(不正には当たらない、と言われるのでしょうが)が囁かれている大学はまだあり、そこが正義で裁かれるか、少なくともその行いを今後自主規制していくのかはわかりません。来年度以降の入学者状況で判断していくしかありません(それでも、同窓生の子弟が優遇されているか、など一部のファクターは外からはわからないままだと思います)

そして、春になってこんな状況の中入学してきた学生は、本当に優秀なはずです。バックグラウンドに関係なく、お互いに学び合う関係を作ってください。卒業後まで、協力しあえる素晴らしい学年を作ってください。

あなたたちの先輩の多くは、不正が行われていることを薄々感じながらも、どうにもできなかった世代です。無理やり納得し、過ごしてきました。怒らなきゃいけない、ということに気づいていなかったのです。

この事件の根底には、医師の働き方問題までつながっています。一朝一夕に解決するものではありませんが、今の医学生たちは、先輩方とともに、この問題に取り組んでいきたいと思っています。その一翼を、今の受験生たちが将来の医師となって、担ってくれる日を楽しみにしています。

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