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画家・小木曽誠氏が「#リアタイ新聞」で描くマリノス逆転優勝までのストーリー「最後にシャーレを掲げる30人全員を描きたい」【無料記事】

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今年も順位表広告が登場!

横浜駅の地下2階南北連絡通路に巨大な「リアタイ新聞」が登場!(撮影:舩木渉)

 横浜F・マリノスは11月6日、リーグ優勝に向けてシーズン終盤戦に挑むチームを後押しするべく「YOKOHAMA F.MARINOS REAL TIMES」(通称「リアタイ新聞」)をお披露目した。

 この「リアタイ新聞」は過去にも話題を呼んだ順位表広告の最新作。2019年は手書き看板職人によるスローガンを試合ごとに更新していくアナログサイネージ、2022年は鉄道駅の案内表示などで知られる反転フラップ式表示装置を利用した「パタパタ順位表」を掲示し、チームはいずれのシーズンもリーグ優勝を成し遂げた。

 屋外での順位表広告の第3弾となる今回のモチーフは、スポーツニュースをタイムリーに伝える「新聞」だ。昨年のパタパタ順位表は本拠地・日産スタジアムに近いJR新横浜駅に展示されていたが、今回はホームタウンである横浜市における交通の要衝・横浜駅の地下2階南北連絡通路に掲示されている。

マリノスはなぜシーズン終盤に大型広告を企画するのか

 マリノスのマーケティング&コミュニケーション部で本企画に携わった川又聖也氏は、6日に行われたお披露目式で今回の順位表広告に込めた思いを語った。

「リアタイ新聞」の企画について説明する川又聖也氏(撮影:舩木渉)

「この大型交通広告をホームタウン横浜市の中心地の1つである横浜駅に設置することで、ファン・サポーターの方はもちろん、普段マリノスやサッカーに興味を持たない人たちにも優勝争いの熱を伝え、リーグ戦のホームゲーム残り2試合に向けて、より熱いサポートや応援をしていただきたい。皆さんの応援のパワーを日産スタジアムで戦うチームに送ってほしいという願いを込めています」

 リアタイ新聞の紙面は、リーグ戦の試合ごとに更新される。見出しや順位表、記事の内容も毎回最新のものに書き換えられるが、最も注目したいのは新聞における「写真」の部分だ。

 現在、横浜駅に掲示されているリアタイ新聞にはJ1第31節のアビスパ福岡戦を振り返る記事が掲載されている。その紙面の写真部分は、「絵画」になっているのである。

「リアタイ新聞」の目玉はライブペインティングの絵画

 アンデルソン・ロペスが決めたゴールシーンの絵画を手掛けたのは、奈良県出身で現在は佐賀県在住の画家・小木曽誠(おぎそ・まこと)氏である。

リアタイ新聞で絵画を担当するが画家の小木曽誠氏(撮影:舩木渉)

 同氏は6日の朝6時からリアタイ新聞の隣で100号サイズのキャンバスに絵を描き始め、ライブペインティングで巨大な1枚を完成させた。横162cm×縦130cmというサイズの絵画を約5時間で完成させるのは「初めて」の挑戦だったという。だが、工程のシミュレーションから完成まで「めちゃくちゃ楽しかった」と笑顔が溢れた。

「今回に関して言えば、(題材は)他人が撮った写真で、僕が実際に見たわけではない。それをそのまま写したところで、僕にとっては意味がない。それよりも躍動感を、ずっと動きながら描くなど身体的な動きでも表現して、スポーツや絵画をうまくリンクできないかなと考えていました」

 前日から下塗りと下書きを始め、お披露目当日の早朝から一気に仕上げる。写実的な絵画を得意とする小木曽氏は、その過程で「新聞」の顔にもなる1枚にどのような意図や想いを込めたのだろうか。

「僕、実はサッカーを観に行ったことがないんですよ」と明かした氏はこう語る。

「スポーツ自体は好きなんですが、スポーツ系(の絵画)は全く初めてでした。僕(の作品)は写実的というカテゴリに入るんですけど、打ち合わせの段階で『あまり写実的に描いてしまって、通る人が(絵画だと)気づかず「写真じゃん」と通り過ぎてしまうのはよくないな』と話していました。ちょっと距離を置いたところで見たら、サッカーのある場面だなとわかる、近くに寄ったら私自身の絵の具や身体的な動きがちゃんと伝わるようにできないかと。そこのバランスをすごく重視していましたね」

第1弾はアビスパ福岡戦でアンデルソン・ロペスが決めた先制点の場面(撮影:舩木渉)

 確かに今回のロペスがメインになった1枚を観てみると、写真が元になっているのはわかるが、人物や背景などを細部まで再現しているわけではない。遠くから見ると写真のようだが、近くで見れば見るほど絵画としての味わいや選手の躍動感が際立ってくる。

「最後に30人を全員描きたい」

 作者本人の出来栄え評価も「プロセスを考えて、こうなって欲しいなと思う絵になったかなと思って。100点満点でいうと、85点くらいまではいけた」と高い。だが、まだ伸びしろがある。

これから「リアタイ新聞」にはどんなストーリーが描かれていくのだろうか(撮影:舩木渉)

 小木曽氏は11月12日に日産スタジアムで行われるJ1第32節の横浜F・マリノス対セレッソ大阪を生観戦予定。そこでの体験や、マリノスが歩んでくこれからのストーリーによって85点から90点に、90点から100点にと徐々に自己評価も上がっていくはずだ。「リアタイ新聞」の中核となる絵は、最大で3回更新される予定となっている。

「(ライブペインティングでの連作は)全く初めてなので、自分でもどうなるかがわからないんです。実際にスタジアムで体感した雰囲気などがもう少し出てくるかもしれない。あと3回描いたら、ストーリーみたいなものができるかもしれない。そういうものも楽しみたいと思います」

 そう語った小木曽氏は「本当に頑張ってほしいです。この企画を最後まで完遂したい」と述べ、逆転でのリーグ優勝を目指すマリノスにエールを送った。

「僕は、最後にシャーレを掲げているシーンの30人を全員描きたいんです。そうすると徹夜になるとは思うんですけど、実現したいですね。美術とスポーツはすごくかけ離れているように思われがちですけど、絵を描くというのはサッカーの試合のように『どう完成するか』をイメージしながらの作業なので、スポーツにすごく似ているところがあります。そういったシンパシーを感じながら、最後までいって全員を描かせてほしいです」

これからの展開は?

小木曽誠氏のライブペインティングは「リアタイ新聞」の隣で開催予定!(撮影:舩木渉)

 リアタイ新聞の絵画を通してマリノスファミリーの一員となった小木曽氏のライブペインティングは、以下の日程で実施予定となっている。

ライブペインティング開催日程

J1第32節 セレッソ大阪戦後:11月13日(月)6時〜12時
J1第33節 アルビレックス新潟戦後:11月26日(日)6時〜12時
J1第34節 京都サンガF.C.戦後:12月4日(月)6時〜12時

 それぞれの試合後に描かれる絵の掲示期間は限られており、内容が入れ替わる度にリアタイ新聞全体の印象も大きく変わるはず。徐々に優勝に近づき、ついに成し遂げるまでのストーリーも含めて楽しむためにも、ぜひ複数回足を運んでみてほしい。

 リアタイ新聞は東急東横線・横浜駅の改札に向かう途中、B2階の南北連絡通路に掲示されている。

小木曽誠氏の公式X(旧ツイッター)アカウント

小木曽誠氏のYouTubeチャンネル