僕に1+1はもったいない【小説】
原作・山城航
著・ナカタニエイト
「1+1」に答えなどない。
あの日、そう答えていれば、何かが変わっていたのだろうか。
否、そんなことはないだろう。ばかげた妄想の類だ。まだそんなことを思っていたのかと自分を戒め、筆を置く。
答えをくれた息子は、「なんちゃら戦隊うんちゃらカイザー」の人形の背を掴み、自由に空を泳がせている。「ブーン」と口に出しながら病室の中を駆け回るが、個室なので大目に見ていただきたい。
それにしても、人間が空を飛ぶ時の擬音として「ブーン」が正しいのだろうかな