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<はじめての手帳スケッチ>その9.線描の実戦練習:紙の持ち方・ペンの動かし方

はじめに

 以前の記事、その6.およびその7.では、A4の練習用紙を使って、それぞれ直線、曲線、真円の線描練習、および丸い果物(ミカン)、細長い野菜(キュウリ)の線描練習について説明しました。

 ここでは、実際に手帳サイズからB5程度の大きさの、小さい紙を使った線描の方法を説明します。
 なおこの記事の前提は、机の上に紙を置いて描く場合ではなく、座る、立つ、どちらにせよ、手で持ちながら線描する場合についての説明です。街歩きスケッチではチャンスが来たらすぐに線描を始めなければなりません。このようなときの場面を想定した実践練習です。

紙の持ち方・ペンの動かし方

座る姿勢と立つ姿勢

 座る場合は、脚のももの上に、手帳を持った手の前腕を置くので、脚のももが机替わりになって安定に固定することができます。

 一方、立位の場合は机替わりの部分がないので、何らかの形で紙をしっかりと固定しなければなりません。

 しかも、小さい紙使ってペンで線描するためには、F4以上の普通サイズの水彩紙に比べ、そのサイズならではの工夫が要ります。

 以下、小さいサイズの手帳やスケッチブックを立って描くために固定する方法を説明します。

紙の持ち方

 この項では立って描く場合のみを説明します。
 下図に、真上から見たマイブック(文庫本サイズ)、手帳(B6サイズ)とB5サイズのスケッチブックの持ち方を示します(左利きの方は、右手に手帳を持つように想像してください)。

  図では、手帳と手(指)しか描いていませんが、下の方に、脚があると考えてください。

 なお、戸外でスケッチする場合は、足を心持ち開いて立つとよいでしょう。腰から下を安定させて、風が吹いて身体や手帳がぐらついたり、何か動く対象物を描くときに、いつでも対応可能にしておきます。

マイブックの持ち方(立位の場合)
Note Book(B6 PLAIN)の持ち方(立位の場合)
Sketch Book(B5水彩画用)の持ち方


 大事なことは、個々の紙の持ち方ではなく、紙をしっかり固定してペンの動きをスムーズにすることです。

 具体的には、ペンを持つ手の手刀部を紙に付け、肩から手首までの腕を動かして、滑らす動きがスムーズにできるように紙を支える(固定する)ことが最重要です。その際、指はペンを保持するだけで動かしません。

 紙のサイズが小さいので、文字を書くように指を動かして描きたくなりますが、どうかこらえてください。(ただし細かい模様や細部を描く場合は手を固定して指だけを動かして描くことは構いません)

 輪郭線を描く時は、手帳サイズと云えども数センチから10センチ程度の線を引くことがほとんどですから、腕全体を動かして滑らすように描く必要があるのです。

 上の図の要点を下にまとめます。(右手でペンを持つ場合)

  1. マイブックの持ち方:左脇を締めて、描きたいページを指で挟んで固持する。左脇を締めて紙面が動かないようにする。

  2. B6のNOTEBOOKもマイブックの場合と基本的には同じ。

  3. B5サイズでは、親指以外の指で、紙の端を掴みながら、別の端をお腹につけて、紙面を固定する。

 上の図で紹介した持ち方は、私が試行錯誤して採用した持ち方ですから、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。

 もしうまくいかないときは、この持ち方から出発して、ペンを持つ手をすべらすように動ける持ち方を工夫し、自分に合った持ち方を見つけてください。

ペンの動かし方

 ようやく、姿勢が決まりました。それでは、立位の姿勢でペンをどのように動かして線描するかについて説明します。

 毎回強調しているのですが、立っている姿勢でも、基本は字を書くときの持ち方動かし方ではなく、肩から手首までの腕を動かし、手首から先の指はペンを保持するだけにします。

 サイズ小さいマイブックでのペンの持ち方動かし方を下の図で説明します。

まず、見開き両ページに線描する場合です。

見開き2頁に描く場合

 小さいサイズでも、字を書く時のようにペンを指で押し付けて動かすのではなく、指はあくまでペンを保持するだけにします。線を引く時は、紙面に手刀部をつけ、手首から先の形は変えずに、手首から上の腕全体を動かして、手刀部を滑らすようにします。すると、ペンからインクが自然に出て、滑らした軌跡が紙面上に線として残ります。

 その線はなめらかで、その結果軽やかでのびのびとした印象になります。

 また、滑らす間に指で保持したペンを紙に上から少し押したり、浮かしたりすると、線幅が広くあるいは細くなり、線に肥痩を付けることができます。

 注意したいのは、左のページから右ページへ滑らしていくと、右ページ右端では手刀部が紙面をはずれて空中に飛び出てしまうことです。

 この時は、左脇を強く締め、手帳を持つ指に力をいれて紙面をしっかり固定して、紙面から手刀部が外れても、手首から上の腕に力をいれて滑らす動作を続けることが重要です。

 手刀部が空中に出たからといって、慌てて指を使おうとしないでください。

 以上の、見開き2頁にスケッチする場合の説明は、片面にスケッチする場合も全く同じです。下にその図を示します。

右片側1ページに描く場合

最後に

 以上、小さいサイズの紙の持ち方とペンの動かし方の基本について説明しました。
 次回以降、スケッチ(線描)の具体例を用いて実践練習を説明します。

 

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