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野晒しブルペン不定期観測②

お久しぶりです。
スワローズは開幕して1ヶ月が経過し、今はGWの連戦中。まだまだ上位との差が詰まっている状況ですが、同率5位と4月は若干苦しい月となってしまいました。その中で、ここまでの中継ぎ陣について振り返りたいなと思います。

概観

ヤクルトの救援防御率は2.97で5位です。と言っても不調な選手も多く、「よく5位、2点台で収まったな」というくらい中継ぎのやりくりは厳しかったように思います。

ネガティブな要素としてはなんと言っても開幕時に想定していた勝ちパターンが全く機能しなかったこと。さらには期待されていた移籍組の宮川、嘉弥真の不調も誤算でした。逆にポジティブな要素としては、エスパーダや長谷川の奮闘が挙げられるでしょう。

選手個々の雑感

5月2日時点でのデータ(https://nf3.sakura.ne.jp/2023/Central/S/p/69_stat.htm より)

木澤尚文

ここまでで一番登板しています。開幕戦で勝ち投手になっていいスタートを切ると、4月上旬は失点があったものの、4月11日から現在まで7試合連続無失点中。勝ちパターンの一角になっています。なんと言っても昨年.269だった対左打者の被打率が.176と1割近く低くなっており、対右の火消しから脱却しつつあるのかもしれません。

大西広樹
木澤に同じく12登板。木澤同様毎年毎年頭が下がります。7試合連続無失点は甲子園での不運なヒットにより止まってしまいましたが、それでもさまざまな場面で投げて防御率2点台、神宮では5試合無失点は立派でしょう。甲子園では失点したものの勝ちパターンでの登板もあり、今後も重要な場面で投げるかもしれません。不安な点を挙げるならば、対左打者の被打率が昨年から良化している(.283→.200)一方で、対右打者(.236→.379)が大幅に悪化しているところでしょうか。

エスパーダ

さてお次はパダちゃんです。おいどんカップに参加していたとも考えられないので初であっただろう鹿児島のマウンドでは失点したものの、失点はその岡本のホームランのみ。ほぼ完璧なピッチングで勝ちパターン入りを掴みました!被打率は.158、イニングあたりどれだけランナーを出したかを示すwhipも0.97という成績を残しています。奪三振率が若干低い(3.97)とは思うので、今後向上したらより勝ちパターンとして望ましいのではないでしょうか。

清水昇

勤続疲労もあるのでしょうか、広島戦では2試合連続負け投手になるなど、あまりにもらしくないピッチングが続いており、一時期は抑えを担った時期もありましたが、不調が続き結果4月26日に抹消。球種別の被打率でも全ての数値が悪化していますし、対左打者の被打率は昨シーズンの.214から.375に大幅に悪化。ファームで課題と向き合って万全な状態で戻ってくることを期待したいところです。

星知弥

昨年比で被打率など大幅に変化したところは見られない感じですが、これは昨シーズン良くなった部分を継続できているとポジティブに捉えていきましょう。昨シーズン課題だった連投時に関してはまだ一度しか連投がないのでまだわからないですが。4月30日に丸に被弾して6試合連続無失点は途切れましたが、ぜひこの防御率をキープ、さらなる良化を目指していってほしいところです。

星知弥

石山泰稚

ここまで防御率1.04と好調で3年ぶりに抑えとしてセーブをあげました。この調子なら通算100セーブも可能性があるかも?なので期待していきたいところでしょう。
投球内容ではワンシームの割合が増えている(昨季6.3%→今季35.4%)のが特徴でしょう。この球種は.333と打たれている一方でスライダー(.239 →.111)ストレート(.284→.143)の被打率が大幅に良化しています。コンビネーションの問題とかもあるんでしょうか。すいませんそこまでは詳しくわからないので詳しい人に聞いてください。
不安定なブルペン陣の中でベテランの存在は大きいはず。次の登板は節目の節目の500登板、ぜひ慣れ親しんだ神宮の9回のマウンドで見たいものです。

山本大貴

昨シーズン終盤からの好調を継続、昨年.239だった対左打者の被打率が.176に向上しただけでなく、.282だった対右打者被打率が.167まで向上、左のワンポイントだけでなく、5月1日の巨人戦のように1イニングを任される機会も増えるかもしれません。

嘉弥真新也・宮川哲

移籍して即戦力として大きな期待がかけられており、オープン戦でも登板機会を重ねていたのですが、なかなか厳しい船出となってしまいました。嘉弥真はスライダーの被打率が.571、ストレートは10割(嘘だろ)、宮川はストレートが.700と打ち込まれており、ファームでの修正や新しいコーチとの出会いによる進化に期待したいところです。

宮川哲(OP戦)

長谷川宙輝

ポジティブな収穫の1つでしょう。ファームで1点台の成績を残していた中で、4月21日に昇格し、早速その日に3回2/3を1失点のロングリリーフをこなすと、その後は左のワンポイントとして3試合連続無失点。左のワンポイントの座を掴みつつあります。そして4月30日巨人戦では、なんと3年ぶり(2021年チーム初勝利の試合以来)の勝ち投手に。手術による長期離脱などもあった中で、長く応援してきたファンにとってはたまらない瞬間だったのではないでしょうか。「久保さんと成田さんが戦力外になって、何で僕が残っているんだということをしっかり感じながら取り組みたいです(2023/12/01 サンケイスポーツ)」というオフのコメントにあった通り、かなり強い覚悟を持って臨んでいる今シーズン、復活、ではなく新しい長谷川宙輝に期待したいところです。

丸山翔大

一度先発都合により登板なしでの抹消を経験しながら、ファームで3試合連続無失点での成績を残し再昇格。キャンプから好調だったという噂通り、ここまで一軍でも3試合連続無失点を続けています。4イニングという少ないサンプルながら5奪三振とイニング数を上回る奪三振を記録しているところがポジティブなところでしょうか。すでにヤクルトの育成投手では徳山武陽に続く2番目の登板数になっているだけに、今後も登板を重ね、赤羽岩田と共に育成の星になっていってほしいところです。

戸田にて、昨シーズンはまだ3桁だったなぁと思いながら

田口麗斗

心配ですね!キャンプ途中離脱でなんとか開幕には間に合ったものの、ストレートも平均140キロと本来の姿とは程遠く開幕2日目に抹消されました。ズルズル登板を重ねず再調整となったのも、本来の姿で戻ってきてほしいという監督の期待からのはず。ファームでは徐々に登板を重ねており、4月30日には145キロを記録。優勝のためには欠かせないピースなだけに、焦らず万全な姿神宮に戻ってくるのが待たれるところです。

今野龍太

中継ぎ陣の不調を受けて4月末に一軍に昇格。ファームではいい試合と悪い試合がはっきりしているのが、不安要素ではありますが、昨シーズン平均142キロだったストレートは150キロを超えることも多く、復活を期待していきたいところです。

運用面

勝ちパターン

開幕時は嘉弥真→清水→田口という勝ちパターンでスタートしまのではないかと考えられます(開幕戦の起用法や監督のコメントなどから推察)が、5月頭にはなんと三人とも防御率が9点台を超えてファームにいるという状況。いやしんどかったですね。追いつかれる試合や逆転される試合も多く、チームが波に乗り切れない一因であったと思います。
嘉弥真と田口が早々に勝ちパターンを離れると、石山が勝ちパターンに、そして清水が抑えになりました。しかし、清水の不調もあり、4月19日の横浜戦からは石山泰稚が3年ぶりに抑えに定着。起用法を見る限りでは、現状木澤、大西、エスパーダを流動的に接戦の勝ち試合(や同点の試合)では起用しているようにみられます。7回木澤、8回エスパーダ、9回石山なんでしょうか。今後試合数を重ねるにつれて、新・勝ちパターンが固まっていくのか、まだ流動的なままなのかは注目すべき点でしょう。ファームで登板を重ねている田口や、リフレッシュ中?の清水の万全な状態での復帰も待たれるところです。

左キラー

開幕からいた山本に加え長谷川がこのポジションを射止めつつあります。今後は不調でファーム降格した嘉弥真や、ファーム開幕から中継ぎ登板が続く山下が現状このポジションを争う形になるのでしょうか。ただ嘉弥真は不調で落ちたばかり、山下は怪我明けで慎重にファームでの登板が続くと思われるため、よほど不調でない限りはしばらく山本長谷川がこのポジションを担うのではないでしょうか。

ロングリリーフなど

大西や木澤が勝ちパターンになったことから、ロングリリーフや対右の火消しといった役割は今野、丸山、星あたりがになっています。このポジションは僅差で負けている試合など「拾えたら大きい試合」の勝敗を左右する重要な役割。特に打線が強力なスワローズだからこそ、彼らが頑張れば逆転勝ちが増えて勢いがついていくはずです。彼らのより一層の活躍はもちろんですが、宮川・尾仲といった中堅組や、柴田の台頭(期待してるんですが…)、そしてファームで中継ぎ登板のある沼田や金久保といったあたりもここの争いに加わってきて層を厚くしてほしいところです。(ケガが癒えたら近藤にも帰ってきてほしいですね)

その他

連投はここまで6連戦が少なかったことや、4月末の連戦はHQSが3試合あったことなどもあってか、清水と星の2回が最多。あとは木澤、石山、山本、嘉弥真、長谷川が1度ずつとなっています。当然3連投はなしと、ここまで苦しい中でヘルシーには運用できているのではないでしょうか。5月中盤からは6連戦が続くため、先発陣のさらなる奮闘にも期待して、ヘルシーな運用を続けていきたいところです。

まとめ

開幕から1ヶ月、正直本当に苦しい1ヶ月だったと思います。しかし巨人をビジターで3タテ、2戦目は7〜9回の一点差を守り抜く試合だったように、ようやく中継ぎにも光が見えてきました(はず)。好調な打線や頑張っている先発陣を考えれば、中継ぎが頑張れば浮上していけるはず。ぜひ5月からは今いるメンバーの一層の奮闘や、ファームからの突き上げも加えて中継ぎ陣の「ヤり返せ」に期待していきたいところです。



参考サイト

データ

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