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見せましょう、スワローズの底力を〜2022日本シリーズ展望 リリーフ編〜

前編はこちらから!お先にこちらをどうぞ!

いっちさんが書かれたオリックス編はこちらから!合わせて必ずお読みください!

今季の振り返り

昨季との比較(20登板以上抜粋)
Whip:1投球回あたり何人のランナーを出したか
坂本は22年7月末にロッテ移籍

今季のスワローズの中継ぎ陣の大きな特徴は「量」が揃っていることだ。昨季に比べても個々の登板数が減り、20登板以上した選手が増えていることがそれを証明している。リーグワーストの先発防御率、先発投球回でありながらも、3連投はレギュラーシーズンでは2回のみ登板数トップ10には1人も入らず、リーグ3位の中継ぎ防御率3.08を記録したのは、髙津監督を中心とした首脳陣の見事な運用に加えて、その運用に応えられるスタッフが揃っていることが挙げられるだろう。

勝ちパターンは昨季と同様「8回清水→9回マクガフ」を基本的に固定した。今野がコロナ罹患で出遅れた7回に関しては、春先は石山、初夏は今野、交流戦明けは梅野、そして8月中盤からは再び石山に戻すというように調子のいい選手を入れ替えた。対左は一年を通じて田口が、7月からは久保もそこに加わった。そこに木澤や大西、時期によっては大下、コール、星、坂本といった面々もブルペンで奮闘した。惜しくも離脱してしまったが、4月の春先に奮闘した大下が苦しい役回りを担ってくれたことはここに記しておきたい。

→運用については(多分読まれているかと思いますが)シュバルべさんの記事が詳しいのでそちらをお読みください!!


リーグ最多の逆転勝利34回、リーグ最少の逆転負け21回という数字はこの中継ぎ陣の貢献度が小さくないはずだ。接戦が続くと予想される今年の日本シリーズにおいても、勝利へと導く重要な役割を果たすことが期待される。
日本シリーズでは勝ちパターンは「石山→清水→マクガフ」の3人で、対左要員として田口と久保、中盤のジョーカーとして木澤といった面々が主なメンバーとして想定される。それ以外のメンバー入りした面々を加えて紹介していこう。

勝ちパターン編

抑え:マクガフ

実は松岡洋右の大学の超後輩(オレゴン大学)

昨年の日本シリーズでは谷あり山ありの波瀾万丈な投球だったマクガフ。周囲から「ブルペン兄貴」と呼ばれる男は来日4年目の今季も髙津監督の絶大な信頼を受けフル回転、リーグ2位の38Sを挙げた。京セラというと昨シーズンの悪夢が思い起こされるが、今季は4試合0失点、大きな問題はなさそうだ。唯一心配なのは間隔の問題。普通の投手とは違い、失点した7試合のうち、6試合が2日以上間隔を空けての登板試合であり、CSの初戦でも失点していることからも、特にシリーズ初登板が今季もポイントになるかもしれない。

8回:清水昇

師匠と慕うは石山泰稚、試合後はいつも一緒にいます笑

燕の誇る最強のセットアッパー。打球直撃やコロナの影響で、3年連続の最優秀中継ぎ投手こそ残したものの、防御率は昨シーズンの2.39から大きく改善され1.16、Whipも1.08から0.79にこちらも大幅に改善、そして昨シーズン12本だった被本塁打に至っては4月に中日石川に打たれた1本のみ、と内容は昨シーズンよりも圧倒的なもので今季も8回を見事に務め上げました。特に昨季の本塁打の全てを打たれ、被打率が.271もあった対右打者の被打率が.145に改善したことや、昨シーズンはアウトの4割近かった三振が今季は3割強に減り、その分「打たせてとる」アウトが増えたのは、当人のスタイルへの変化と長岡の加入などによる守備力向上が功を奏したといえるでしょう。ただ絶賛する文章になってしまったが、それだけ清水の今季は圧倒的であった。是非最後まで駆け抜けてほしい。

7回:石山泰稚

肌の白さもすごい。顔面蒼白の方が調子がいいとか…

昨季7回を務めた今野龍太がコロナ罹患などで出遅れたことなどから、石山、今野、梅野雄吾の3人で回していた7回のポジション。8月下旬に梅野が不調で離脱して以降、8月以降16試合で自責1という成績を残した石山泰稚が務めている。CSも含め、後半戦の失点は天候の悪い日であり、マウンド状況に左右される部分があるかもしれない。9イニングでいくつ四球を出すかというBB/9は昨年比で1.64から3.50に悪化しており(よりフォアボールを出すようになっている)、9イニングあたりいくつ三振をとれるかというK/9も10.47から8.75に悪化している(より三振が取れなくなっている)。しかし、それを補うのがゴロアウトの増加で、26.3%から33.3%に増加している。これは長岡の台頭により守備がより強固になったという可能性がるのではないか。また6本あった被本塁打も0となり、これはよりゴロを打たせる狙いになった結果ではないかという想像もできる。昨年の日本シリーズでも3戦目で勝利に導く好投があったが、経験はチーム随一。今年も青ざめた顔で抑えることが期待できるだろう。

左キラー

左:田口 右:久保

田口麗斗

勝利試合後のパフォーマンスもお馴染みに

加入2年目にしてもう欠かせない存在となった田口。左の中継ぎ投手がいなかったことから、昨年終盤と同様ブルペンでのスタートとなった。左キラーとして難しい場面での起用が続く中、6月まで自責なしという凄まじい活躍を見せ、チームの躍進に貢献した。夏場にはコロナ罹患もあり、調子を崩したが、9月には復活、10試合自責0でシーズンを終えた。短いイニングに専念したことで球速がアップし、昨年は140キロ台前半だったストレートがコンスタントに140キロ代後半をマーク、最速では151キロも記録した。勝利試合後のパフォーマンスに加えて活躍した選手を讃えるツイートは癖のある構文を生み出し続ける公式より公式と言われるほど。シリーズでも4度の勝利ツイートに期待したい。

久保拓眞

スカイツリーより東京タワー派らしい
(筆者が戸田で購入した久保タオルの袋にあった直筆サインより)

4月頭に一軍昇格するも2試合連続で失点し二軍落ちとかなり厳しい状況にあった中、7月にスワローズを襲ったコロナ禍で昇格するとそこから7試合連続無失点の好救援を見せ、スワローズブルペン陣に足りなかった貴重な左ピッチャーとして優勝へのジョーカー的役割を担った。この活躍は木澤に投球時の意識をLINEで聞いた際に「真ん中に投げている」といわれたことで吹っ切れたことが逆に制球力が増したことが一因としてある。対左の被打率は.140を誇り、近本や中野といった左の好打者が並ぶ阪神には11試合無失点と無類の強さを誇り、9月9日の広島戦では、念願のプロ初勝利もあげた。左が並ぶオリックス上位打線を封じて「今年は僕も一緒に日本一になりたいです!(初勝利時のインスタより)」という思いを叶えてほしい。

「ミドルストッパー」

木澤尚文

普段は慶應ボーイらしい好青年感満載だが、
マウンドに上がると荒々しい

比較的得点が入りやすいとされ、試合が動きやすい6回など中盤に投入され、相手打線の勢いを止める役割を任されるこの「ミドルストッパー」。特に今年その役割を多く担ったのがこの20年ドラフト1位ルーキー木澤尚文だ。中継ぎながら9勝3敗という先発投手のような成績を残した木澤だが、勝利数が決してまぐれではないことは、相手打線を止め、吠え、チームに流れを呼んだ木澤の姿を一度でも見た人ならよくわかるだろう。昨年はコントロールに苦しみファームでも結果が残せなかった木澤の光となったのは「シュート」。150キロを超える球速は健在で、キャンプから取り組み、徐々に結果を出して開幕一軍を掴むと、先発早期降板時に試合を立て直す役割を確立。一年間ブルペンを支えた。日本シリーズでも中盤の勝負所で投入されることが予見される。

めでたく40人枠入したブルペンスタッフたち

大西広樹

母親に幼い頃擦られた名残でほっぺが赤い

パワーピッチャーな木澤とは少し異なり、150キロを超えるストレートにスライダー、シュート、フォークという多彩な球種で打者をゴロアウトに打ちとるのがこの大西。昨季中盤から台頭し、今季は自己最多の43試合に登板してブルペンに欠かせない戦力となった。しかし、コロナ罹患後に満足に調整できなかったことや、長いイニングを投げることもあったことで疲労が蓄積し、慣れない先発起用などもあったことから終盤は調子を崩してしまった。日本シリーズでもまずは敗戦処理的な起用が予想されるが、今季5.2回を無失点と相性も良く、母校の大商大シートもある(?)京セラでの奮起に期待したい。

今野龍太

同級生田口からは「リュウ」と呼ばれている

楽天を構想外になって19年オフにスワローズに加入したことでチャンスを掴み、昨シーズンは64登板、今季も50登板を果たした通称「岩出山の星」。投球の割合の6割以上を占めるのがストレート。決して常時150を超えるようなスピードはないものの、球質が特徴的なストレートを持つ。今季は開幕前にコロナに罹患して出遅れた。5月は12試合無失点という素晴らしい成績を残したが、中盤以降は不調で二軍落ちも経験、9月も防御率は3点台と不安定なシーズンを送った。大西と同様、試合の大勢が決まった場面での起用が予想されるが、来季にもつながるピッチングに期待したい。

小澤怜史

お兄さんはパナソニックの投手として活躍中(拓馬さん)

彼もまた今季のシンデレラボーイでありローテーションの救世主であろう。2015年夏の県大会2回戦で堀内謙伍(当時静岡高→楽天)を相手に静岡県内最速の草薙球場で152キロを計測し、ドラフト2位でソフトバンクに指名されるも、怪我に苦しんだ末戦力外通告を受け、昨季、スワローズの「014」のユニフォームに袖を通した。昨シーズン中盤にサイドスローに転向、今シーズンはファームで抑えの起用が続き、4月から6月中盤までの20試合でわずかソロホームランの1失点のみという驚異的な成績を残し見事6月26日に支配下登録を勝ち取った。急遽支配下登録されて送り出されたマウンドはノーアウト満塁(6/26 神宮巨人戦)。吉川尚輝を打ち取り、続く戸郷をスクイズ失敗に斬ってとり、4回2失点の好投で見事勝利に貢献すると、適性を見抜いた首脳陣が先発転向を指示。翌週にプロ初勝利を挙げ、その後も9月頭のコロナ罹患発覚までローテーションを守り、チームの苦しい台所事情を支えた。9月末にファームでは復帰、社会人との練習試合でも登板しているが、本調子には戻っておらず、今回のシリーズではリリーフでの待機が予想される。先発時は4回以降にスタミナ不足が露呈したが、短いイニングでのリリーフならばそうした不安要素も減るため、活躍が期待できるのではないだろうか。

アンドリュースアレス

来日未勝利ながら投げた試合はなんと全勝

今季新加入のアメリカ籍投手。昨季在籍していたアルバートスアレス(阪神→パドレスのロベルトスアレスの兄)とは別人なのでご注意を。左の先発強化を求めるチームに加入して5試合に先発したが、初回に弱いなど思うような結果は残せずファーム調整が続いた。それでも9月中旬からファームで10イニング無失点と結果を残して最終盤で昇格。最終戦で1イニングを三者凡退に抑えて見事CS以降のチーム帯同を勝ち取った。150キロ前後のストレートとスライダー、チェンジアップに加えてカーブを持ち玉としているが、いかんせん中継ぎでの登板がほぼなく、その真の実力は未知数と言っていいだろう。もしかすると日本シリーズで来日初勝利…なんて展開もあるかもしれない(遅)がどうだろうか。

高梨裕稔

昨オフにミラコスタでプロポーズしてめでたく結婚

今季は開幕からローテーションに入り、大崩れしないピッチングを続け、チームの躍進の立役者となった。6月23日の中日戦(バンテリン)では2017年以来となる移籍後初完封を達成するなど、6月終了時点で5勝(3敗)、防御率2.62と素晴らしい前半戦の出来であった。しかし、7月にコロナウイルスに罹患、復帰した8月には今季2戦投げ合って2敗だった阪神青柳投手との投げ合いに勝利するなど、苦しい時期のチームを支えた。しかし9月になると疲労が出てきたのかコントロールに苦しみ、髙津監督から「まずはストライクを投げなきゃいけないので。」(9/16中日戦後https://hochi.news/articles/20220916-OHT1T51222.html?page=1 )というようにストライクを入れろという厳しい言葉を何度も言われる始末。フェニックスリーグでも4回3失点(15日楽天戦)となかなか調子が上がらないため、日本シリーズでも起用されるかは不透明。間違いなく優勝の立役者の一人であり、日本シリーズでの登板試合は2戦2勝(2021 第6戦、2016 第4戦)とどちらも粘投を見せてくれただけに、今回も大舞台での奮起に期待したい。

これで40人枠に入った投手は全員、つまりここにいるメンバーで7試合を戦い抜くことになります。少しでもヤクルトの投手に(特にあまりお立ち台に登らないリリーフ陣に)興味を持ってもらえて、皆様が日本シリーズを楽しむ一助になったら幸いです!日本シリーズが彼らのピッチングでいい勝負に、そしてスワローズ勝利につながることを期待して締めたいと思います。ここまで読んでいただきありがとうございました!

オリックス編はこちらから!!
https://note.com/orikks/n/n0ab24a3dffc0


PS.(まあまあ投げてたのになぜか今年も40人枠に入れなかった)梅野雄吾もよろしくね!!!

🕶お気に入りのサングラス🕶
いっつもしてるよね


参考サイトや文献、先発編のデータもこちらから拝借しております!



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