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小学校教員読書録2『ケーキの切れない非行少年たち』

小学校教員をしています、わしづかみです。自分が読んだ本の記録をしています。小学校教員の立場からの感想も書きます。よかったら参考にしてくださいね。

1 この本を読みました!

著者:宮口 幸治
困っている子どもたちの支援を行う「コグトレ研究会」を主催する児童精神科医で、現在は立命館大学産業社会学部の教授をされているようです。

出版社 ‏ : ‎新潮社 (2019/7/13)

本書の目次

第1章 「反省以前」の子どもたち
第2章 「僕はやさしい人間です」と答える殺人少年
第3章 非行少年に共通する特徴
第4章 気づかれない子どもたち
第5章 忘れられた人々
第6章 褒める教育だけでは問題は解決しない
第7章 ではどうすれば?1日5分で日本を変える


2 こんなことについて考えました!

話題になった本作。読まれた方も多いかと思います。本書を読んで、考えられたことは、主に次の2点です。

① 発達障害と少年犯罪の関係性について
② 子どもたちを加害者にしないために、学校教育はどうあるべきか


それでは、①について説明します。

本書の著者である宮口氏は、10年以上少年院に勤めた中で、暴行・傷害、さらには殺人事件まで起こしてしまった少年たちと関わってきました。その中で、気付いた少年たちの共通点を次のように語っています。

見る力、聞く力、見えないものを想像する力がとても弱く、そのせいで勉強が苦手というだけでなく、話を聞き間違えたり、周りの状況が読めなくて対人関係で失敗したり、イジメに遭ったりしていたのです。そして、それが非行の原因になっていることを知ったのです。
・・・支援がうまくいかず、どうにも手に負えなくなった子どもたちが、最終的に行き着くところが少年院だったのです。子どもが少年院に行くということはある意味、”教育の敗北”でもあるのです。

小学校教員をしている私は、正直、胸を衝かれた気持ちになりました。

 読み書き計算の苦手な子
 見通しをもったり計画を立てたりできない子
 見る力の弱さから、すぐに相手に睨まれていると感じる子
 聞く力の弱さから、すぐに悪口を言われていると感じる子
 自分自身を適切に評価できず、自身がありすぎたり、無さすぎたりする子
 身体の使い方が不器用な子・・・

宮口氏が語る非行少年たちの特徴は、小学校教員として過ごす日々の中で、幾度となく目にしてきたものでした。これまで受け持ってきたたくさんの子ども達の顔が脳裏に浮かんできます。

十分な支援をしてあげられなかった子もいました。
理不尽に叱りつけてしまった子もいました。
情けない限りです。

教育に携わる自分たちの役割と責任の大きさを改めて突き付けられたように思います。


次に、②について説明します。

宮口氏は、現在の学校教育の在り方に様々な視点から問題提起をしています。(詳しくは本書にて。)

褒める教育で本当に改善するのか。
・・・そもそも「自尊感情が低い」ことは問題なのか、ということです。
つまり、今の学校教育には系統だった社会面への教育というものが全くないのです。
私的にはWISCは「ザル検査」だと思っています。

「え!?それもだめなの?いやいや、学校も頑張っているんですよ。そんなに言わんといて下さいよ。宮口さん。」と言いたくなるところではありますが・・・、

私個人としては、私たち教員は、宮口氏の問題提起を一度受け止めて議論していく必要があるのかなと思っています。

子どもたちを救うためなら、プライドなんて全部捨てて、どんな意見にも一度耳を傾けられる教員でありたいものです。


第7章では、宮口氏から学校教育への提案も書かれています。

朝の会の5分でできる認知機能強化トレーニングである「コグトレ」の紹介もあります。自分もやってみます。

教育関係者ならば、ぜひ、ご一読を!


3 メモ(自分が気になった用語や初めて知った言葉、関連事項などです。)

BADS
思索の深さ
形の恒常性
コグトレ・・・「点つなぎ」「最初とポン」「同じ絵はどれ?」「心で回転」「記号さがし」「感情のペットボトル」




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