無職の坊やから、長期休暇へ①

「ごめん、もうバンド辞める。」

2022年11月。俺はドラムスを3年務めていたmushoku no boyaというバンドから脱退を申し出、そのまま解散となってしまった。

脱退を決めた要因は何かひとつではないし、誰かひとりでもない。ただ、自分を含めたこの3人で音楽を続けることが、俺にはもう出来ない。と心が折れてしまったのだ。

結局ライブにまで辿り着けなかったし、目に見える活動は出来なかった。それでも自分なりの情熱を注いでいたのは確かだし、俺はmushoku no boyaが好きだった。

辞めたことに悔いは無いけど、喪失感は想像より大きい。しばらく胸が痛むような穴が空いたような、心に潰瘍が出来てしまった感覚が続く。解散数日後に友人と電話したとき、ついバンドへの想いが込み上げてしまい、俺は悔しい....と言いながら涙する始末であった。

それでもドラムは続けたかったし、俺は音楽をやりたかった。バンドマンという魅力と熱意ある人達がいる場所にいたかった。まだまだ終わらんよ、やれるだろやるよやるんだよ！！とキリリと切り替え涙を拭いたら、すぐさまバンド再就職先を探すことにした。

しかしながら気がつけば俺は33歳。mushoku no boyaを組んだのは30歳。それより前にバンドをしていたのが22歳。この空白の8年間はバンドシーンから離れて絵に没頭していた。
時折りコピバンやらはやっていたが、オリジナルとしてはライブハウスにもう12年、卯年から卯年になるまで立っていない。

うーむドラムは需要あるとはいえ、こりゃお声はかからないぞ...粛々と練習しながら天命をまとうぞ....。そう覚悟しながらも、本心ではあーなんか誰か良い話くれないかなぁ...どっかで俺の席用意してくんねぇかなぁ...。と他力本願で甘々な期待も抱き、野良っ子のドラムスとして放浪を開始する。

まずＳＮＳを駆使しドラマー募集しているバンドを探してみた。しかしこれがなかなか見つからず。見つかっても年齢制限が25歳までだったり、BOØWYのコピバンであったり多難であった。BOØWYはマリオネットくらいしか知らないから、俺は高橋まことになれん...こいつはアライにゃ無理な話である。

こりゃやっぱり実際にライブハウスに足を運んで、色々なバンドから「どこかでドラムの席空いてませんか？」聞いて回るに限る。ネットにない求人もあるだろうし、何より俺には足と口で稼ぐのが性に合う。そんなことを考えていた。

その頃ちょうどPOSSEというライブイベントに遊びに行く機会があった。解散してからまだ10日後のことである。

「POSSE」とはkumagusu、SPOILMAN、片岡フグリさん、藤原忠さんによる共催イベントで、日頃可愛がってもらってる方々に加え今年はThe Keeley、ダンカンバカヤロー！も出演するってことで、よーしPOSSE行きまっせ！と意気込んでいた。それは当日新宿ナインスパイスへ勢い余ってOPEN15分前に到着するといった意気込みぶりであった。

イベントが初まる。出る出るバンドおべっかなしに全てすばらしく、ステージの前で目と耳を爛々とさせながらライブを楽しんだ。そして転換中、喫煙所に出向きながら色々な方とお話をする。文句のつけようが無い満たされた時間だったが、心の奥底では俺も早くバンドやりたいなぁと、熱がさらに上がっていた。

そんななか、菊池さん（のりもの ex.逃亡くそタわけ.ダンカンバカヤロー！)と5年ぶりくらいに再会した。尊敬する方の1人で、それより何より俺は大好きな人だったので、いとこのお兄ちゃんに会った子どもみたいにキャッキャと話に花を咲かせた。

そこでふと「そいや俺先週解散しちゃったんすよ...どこかでドラム探してるバンドいないすかね？」と聞いてみた。

「そうだねぇ...あ！そういえばちょうど今ドラマーを探してるバンドがいたよ！」

.....な、なんだって！？（続）

【告知】

2023.04.04(火)
吉祥寺ワープpresents
「春の新生活応援GIG」
▶︎Fine,Great
▷the longvacations
▶︎SoMaTo
▷鈴木 隆人
▶︎Torches

OPEN 18:00 / START 18:30
ADV ¥2000 / DOOR ¥2500

（the longvacationsはトリの21:05-21:30）

チケット予約ご希望の方はアライかバンド、メンバーのTwitterDMまで！