ひと昔前、弟が失踪した話③

https://note.com/washihana/n/nd284a6357247

『忘れかけてた遠い記憶 風がかき乱すように 流れ去る透明のあなたの夢を見ていた』
BLUE TEARS   JUDY AND MARY

弟と連絡が取れず  遠い東京に思いを寄せる中、
俺と弟の記憶の中にある  音楽を通じて 共感し合った曲が駆けめぐる  
お互いに まだ "恋愛"に関して 話ができていない時に この唄の歌詞っていいよね、なんて話をしていた記憶がある  JUDY AND MARY の曲って実は切ないよね なんて、話をしていたっけ

『青い涙』 って 何を表しているんだろうか? という議論になり 何故か  恋愛の相談もしたこともない俺たち男兄弟は まだ経験もしていない浅はかな足らない知識を開けっぴろげにして この唄の歌詞を推察した  

青さ  青     青春たらしめる まだまだ経験の浅いと思われる若者の恋愛の装飾たる色を表す言葉である  この BLUE TEARS の歌詞から 察するに
禁断の恋 を表しているのでは  と考察した
『口にはだせない 恋をしているね...』
これが決定打だ
 なんて力を込めて力説していたのを覚えている

その時はまだ お互いが こと "恋愛"に関して
沢山のウソは あの人をいつか壊して  しまうことになるなんて想像だにしていなかったことだろう

最期の夜が迎えることになることは明白でそれすらも信じて疑わない 愚かさや虚無感も知らないのに だ。
そばかす を吟じるくらいでちょうど良い温度感の兄弟だったのに

話を戻そう
東京の家族  とも言っていいくらいの人物から連絡が入り  俺は東京に行くことに決めた

突然、身に覚えのない人から連絡が入った時は  弟のことを 心配してるように見えた 関係者 つまり 加害者側では?
などと思ったのだが  詳しく話を聞くと弟が飲みに行くお店のマスターで 東京では家族のようにお付き合いしてくれていた方だった

Baby クラシックなBlue 涙があふれちゃう

あふれるまではしないけど 弟を案ずる気持ちと行動力には 信じざるを得なかった

青さゆえに  行動をした 弟を 包括するような優しき男だった  すべてを知るわけではないのだが
マスターのお店で俺の話をしてくれたりして
いつか兄弟でマスターのお店に飲みに行くこと を弟は楽しみにしてくれていた との話をマスターから聞いた

そして、何故 弟が 行方をくらましたのか、マスターの話を聴くと 弟が懇意にしている女性の姿が浮かび上がったのだ

女性の名前はYUKIという

つづく

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