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社会問題とメンタルヘルス

本日は「社会問題とメンタルヘルス」というテーマで、今どんな問題が臨床では増えているのか、どういう社会問題が背景にあるからこういうことが臨床で増えているのか、ということをお話しします。


◾️生物×心理×社会モデル

難しい言葉を使うと、「生物×心理×社会モデル」と言うんですけど、精神疾患というのはもともと持っている遺伝子、生物学的な問題から病気になるわけじゃないよ、ということですね。

本人の心理的な問題や心理葛藤もあるだろうし、そもそも背景にある社会的な問題、家族の問題、会社の問題、もうちょっと大きい社会全体の問題、そういうものを加味して精神疾患を発症するよ、ということなんです。

これを生物×心理×社会モデルと言うんですが、これは他の病気とは違うんです。

例えば、胃がんだったら生まれつきなりやすい人もいますが、井戸水を飲んでいて、その地域にピロリ菌がいて、ピロリ菌がお腹の中にあったから胃がんになったということであれば、社会モデルっぽいと言えばぽいし、タバコもよく宣伝されていて、タバコを吸っていた、周りの人もタバコ吸ってるので肺がんになっちゃったというと、肺がんになりやすい人がタバコとか。

そういうことであればちょっと関係するけど、精神医療ほど心理社会的な影響は受けないというのが身体疾患の特徴であり、精神科の場合は、生物学的な問題だけじゃなくて、やは心理・社会の問題も解決していかなければいけないよ、ということになります。

病気はどうやって発症するかというと、何かトラブルがあって、ストレスが溜まって、ストレスに強い人、弱い人がいますよね、体質にもよるんだけれど、どんな体質の人でも、頑丈な人であってもストレスが溜まり過ぎたら病気になります。

身体がもともと弱い人、病気になりやすい人だと小さなストレスでも病気になってしまう。

何か原因があってストレスや体質の問題、ある体質に対してストレスが多すぎると、病気になってしまう。

病気のなり方も色々あります。

うつ病を発症することもあれば、統合失調症や双極性障害を発症することもあるし、逆にうつにならずに依存症に逃げていく、自分を逃がしちゃう、そこを逃げ道にしてしまって、アルコール依存、ギャンブル依存みたいなことになることも珍しくないです。

こういう感じで精神科をやっている、と。

◾️精神科の治療

精神科の治療というのは、じゃあどうしたらいいのかというと、例えば病気の症状に対しての薬物治療だったり、行動療法だったりします。

基本的にはうつだったら薬を使いましょう、ストレスが溜まっているので休んだ方がいいですね、休息が必要ですよ、と。

もともとどうしてこのトラブルが起きているのかを解決ないし回避していくということが大事です。

パワハラがあるんだったらパワハラの問題を解決する、転職する。

長時間残業が続いていて心身の疲労状態が続きうつになってしまったのなら、残業そのものをどうするか考えるということになります。

でもここのトラブルは一個だけじゃなくて、たくさん色々な問題を抱えてたりしますよね。

例えば、長時間残業した結果、夫婦仲が悪くなって離婚の危機である。

そして夫婦の仲が悪いから子どももストレスを感じて不登校気味だ、と。

不登校だから夫婦の喧嘩も増えている。

もともと自分にも奥さんにも虐待の影響があったとか。そういうことを考えていくと、たくさんの問題が絡み合っているのがわかるんですけど、でもこのトラブルを一個一個解決していくということが治療となっていきます。

今うつだからこの薬を出した、これでOK、というわけではなくて、やはりここのトラブルを一緒に考えていくというのも精神科の治療ということになります。

精神療法というと話を聞くとか認知行動療法をすればいいということに思われがちですが、まずはここですから。

ただなかなか簡単には解決できないわけです。

夫婦の問題があるから話を聞いていって整理ができた後に、でもなかなか決心がつかないということになれば、認知行動療法を使って問題解決能力を高めていこう、とか。

そもそも認知の歪みがあるから夫婦の問題が多いのであれば、じゃあまず夫婦の問題のことは置いておいて、あなたはネガティブ思考、白黒思考を変えていきましょう、ということになるんですけど。

でもやはり何が今問題かをきちんと把握することが大事だし、そもそもこっちから(トラブル解決/回避)ですよね、と思います。

何か歪んでるから病気になった、患者さんは過度に自己卑下して、治療者は過度に自分の学んできたことを重視しすぎて、患者さんを弱いステレオタイプなもの、教科書に載ってるような弱者に落とし込めて、それをパッケージで治療してしまいたいという潜在的な欲望というか無意識の欲望があったりするんですけども、いや、そうじゃなくて、やはりちゃんとその人その人の問題をしっかり考える。

だけど、その人の問題かと思いきや、実は社会の問題だったということも結構あります。

長いね。
この社会の問題を考えたいなと思って、今日は動画に撮ってるんですけど。

◾️臨床に関わる社会問題

僕はよく言いますけど、社会というのがあったときに、社会というのは歴史とか文化の影響を受けるわけです。

歴史の影響を受けて今の社会があって、今後社会というのは新しい技術、今だとITやAIですけど、新しい技術に引っ張られる形で社会の構造というのは変化していくんです。

そういう歴史観を僕は持ってます。

現代的な、まあわりとメジャーな歴史観ですけど。
社会の影響を会社は受けて、社会の影響を家庭も受ける。
ここの会社の影響と家族の影響を個人というのは受ける。

自分たちは、自分で物事を考えているようで、僕らは何も自分で考えてなくて、意外とこういう影響の下に何か成り立っていることがあります。

あと生物学的、体質的な影響も僕らは受けいて今の自分という形があるんですけど。この社会問題を今日は一緒に考えていけたらなと思います。

じゃあ臨床に出てくる社会問題って無限にありそうじゃないですか?
無限にありそうなんだけれど、もちろん無限にはなくて。

例えば社会問題として簡単にまとめてみると、SNSというものが持っている妬み、そういうものと、お金というものが持っている資本主義というものの、この二つの両輪が現代を動かしているという風に思っています。

お金を重視するからだんだん格差が生まれてきています。

格差の影響で貧困も増えている。

貧困が増えているからうつが増えている。

そういうことがありますね。

いわゆる僕らみたいなエッセンシャルシャルワーカーの多忙の問題というのがあります。貧困で多忙がある。

多忙だから子どもの教育、育児に時間を割けない。
育児が負担だ。

育児が負担だからこそ、いじめの問題が出たり、少子化の問題が出たり。
逆に子どもに世話をさせるヤングケアラーの問題がありますよね。

お金をいっぱい稼いで欲しいという社会の圧力によって核家族化が進んでいるので、それだけじゃないんですけどね、核家族の問題があるからヤングケアラーとか育児の問題も起きてる。

あとは、ここも格差から関係するんですけど、Bull Shit Job(つまらない仕事)、エッセンシャルワーカーは忙しいけどやりがいがあるじゃないか、医師や看護師はやりがいがあるじゃないか、だけど普通のホワイトワーカー、大企業の事務の仕事、管理職はすごくつまらないことさせられてるんじゃないかというみたいな意見もありますよね。

例えば金融とかめちゃくちゃ賢い人たちが集まって戦ってるんですけど、それって何のためにあるの?という感じで。

それって誰かの役に立ってるのか?とつまらなく感じる。

つまらないからこそ、逆にお金を稼ぎたい、SNSで人気になりたい、という風になってるんじゃないかみたいな意見もあります。つまらないからこそ苦しくなってしまう、うつになってしまうというのもあります。

あとは、こういう社会全体の変化として、女性の社会進出の問題もあって、今までは女性をある種迫害してきた部分もあるわけで、女性の社会進出があったよ、と。

女性が社会進出をする上で核家族になっていく、女性が社会進出しやすいですから、これが共働きになっていく。

お金を稼ぐために共働きになって、共働きだから育児にエネルギーが割けない。
育児にエネルギーが割けないからまたいじめが起きる、親子問題が起きちゃう。

ここにお金が絡むから性産業の問題があったり。
そしてそこに近いところに性的な虐待の問題も起きちゃう。
これは最近見えてきたものです。
可視化されてきたというか。

この競争(SNSとお金を稼ぐ)が激しいがゆえに、育児とも似てますけど、今度は引きこもりの問題もあったり。

激しいがゆえに、最近は発達障害の問題が注目されている。
仕事が過熱化していく中で働けない人が出てきている。

SNSの、これも気付かれていなかったLGBTQの問題とか。このSNSの影響で安楽死の問題など過熱してると言えば過熱してるんですけど、悪い過熱の仕方もあるだろうし、誹謗中傷の問題もあるし。

でもこの誹謗中傷は格差の影響もあるし。
このSNSとお金はAIによってさらに加速するというのがあるな、と。

ここら辺の話というのは臨床でもよく出てきて、こういうものが背景にあるからうつが増えてる、他の病気が増えてるということがあります。

SNSとお金の羨ましいという感情があるが故に、美容整形をしたい。
美容整形をしたいがお金がないから性産業に行く。
性産業の方に行くからそのうち病んじゃう。
稼がなければとか。

ある種の攻撃性や暴力性というものが夫婦仲を悪化させる、性的虐待の問題を生んでる、性的加害の問題を生んでいる。

女性が社会進出する上で、こういうものが妨げになってる、というか。

普通に彼らの権利を認めていこうという歴史の解放だったものが、お金に絡むことによって、社会に出てもらう、女性の自由を獲得するのだったら、どうせなら働いてもらおうよみたいな形で、働いてくれたらいいよねみたいな形で、今まで女性を犠牲にすることで育児の問題が隠れてたというか。

ある種押し付けられていたものが、というのもある、と。
少子化が起きているからこそお金がまたなくなる。稼げなくなる。
こういうのはよく臨床のテーマです。

だから「SNSとお金」と「女性の人生」ですね。女性ないし、LGBTQもそうですけど、今まで見えてこなかった人たちの人生の問題、発達障害もしかり。

ここのぐるぐる回す問題、格差、何のために生きるのか。

こういうことでこじらせると、物質的な幸せではなくて精神的な幸せを追いかけるべきなんだけど、SNSとお金のサイクルがあまりにも強すぎて、物質的なところに行ってしまう。

そういう中でこういう問題が出てきたりして、この教育というもの、育児、教育、何のために生きるのか、というところがすごくないがしろにされているということが今起きている。

それで自分が巻き込まれてしまう、自分が悩んでしまうということもあれば、それに悩んだ人が結局その攻撃性を自分に向けるのではなくて、他者に向けることによって、他者である誰かが傷つく。

傷ついた人が精神科に来るパターンもあるということです。

難しいですね。今日はそんなにまとまった話はしないですけど、だらだらとしゃべっちゃいました。

全体を見るということはとても大事なので、定期的に僕はこうやって色々頭の中を整理したりしてますけど、整理しきれてないですけど、でもこういう視点も大事なので皆さんと共有しました。

ということで、今回、社会問題とメンタルヘルス、というテーマでお話ししました。

️◾️本日の宿題

今日の宿題は、どういう社会問題がこれから起きるのか、今起きているのか、ということを話してもらうと面白いかなと思います。

格差の問題も全部結局繋がっているんですよね。

本当にそういうのがわかれば面白いかなと思いますし、色々なニュースにも興味が持てると思います。

https://youtu.be/0lLEuyRydFk?si=1YX8qmB_ivHA6nJd

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