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ナノスケールから宇宙空間へ。光通信で世界中の人を繋げるシニアエンジニア。

第21弾となる今回のメンバーインタビューに登場するのは、エンジニアの日野です。大手電器メーカーを定年まで勤め、今年9月にジョインした日野さんの光通信分野にかける思いをうかがいました。

大手メーカーで培った光ディスク開発の経験を活かして

-エンジニアとしてジョインされた日野さん。現在担っている領域を教えてください
現在は空間光通信技術の実用化を進めるために、弱い光を高精度でコントロールする技術開発に取り組んでいます。

-「光」にまつわる経験はどのように積んでこられたのでしょうか?
広島大学で物理学を専攻し、研究室では物性理論を扱っていました。高電圧をかけた液体中にあるDNAや高分子の状態をレーザー光を使って観測する実験などに取り組んでいました。
卒業後はPanasonicに就職しましたが、学生時代にレーザー光を扱っていたことがきっかけで光ディスク開発の部署に就くことになりました。

今となってはCDやDVDなど幅広く世界中の人に使っていただく製品になりましたが、入社当時、光ディスク製品はまだ開発途上の段階でした。記録再生の方式開発に始まり、多くの会社が集まっての規格標準化、商品を実現するための光学部品やLSIの開発を経て商品化まで、この中で技術開発の責任者も務めさせて頂き、要素開発からマネージメントまで多くの貴重な経験を積むことが出来ました。

-あのBlu-rayディスクをつくってこられたんですね!
ともに規格化を頑張ってくれたメーカーや開発チーム、みんなで頑張った成果だと思います。

-Panasonicに勤める中で、宇宙に関連した仕事をする機会はありましたか?
光ディスクの信頼性をアピールするために国際宇宙ステーションのきぼうから宇宙空間に光ディスクをさらす暴露実験をしたことがあります。2年ほど暴露した後、地球にスペースXで持ち帰ってもらいデータが読めたときは嬉しかったです。

アポロからのあこがれを胸に飛び込んだ宇宙スタートアップ

-大手メーカーでの製品開発に携わってこられた日野さんがワープスペースに出会ったきっかけを教えてください
光通信に挑戦しているスタートアップ企業があることは1年ほど前から知っていました。
昨年定年退職してから、かつて入社当時に経験したような、少ない人数で新しいことに挑戦する、わくわく感がある仕事をもう一度したいと思い、ワープスペースへ直接メールでコンタクトを取らせて頂き、9月1日からジョインさせてもらうことになりました。

-新たなチャレンジの原動力になったものとは、何だったのでしょうか?
かねてから技術者として世の中の役にたち、さらに自分自身がわくわくすること、どちらも両立できる仕事ができたらいいなとずっと思っていたんです。ワープスペースでの仕事は、世界を変える0から1のプロセスであり、その結果が世界に貢献できる点だった事が大きいと思います。加えて小学生の頃にアポロ11号の月面着陸を見て以来抱いていた宇宙への憧れもあって、宇宙業界での仕事に挑戦してみようと思い切ることができました。

実際働いてみると、若い人も熟練の人も対等に働けていて、すごくいい会社だなと思っています。

-ご家族の方からはどんな反応でしたか?
行っておいで、と前向きに背中を押してもらいました。今は私だけつくばに来ていますが、そのうち家族も呼んでつくばに移り住もうかと話しています。

技術は嘘をつかない

-Panasonicで扱ってきた光技術と、ワープスペースの光通信の関連性
光ディスクで用いる技術と光通信は、制御の方法や部品の点でよく似ていて、技術的に深いつながりがあります。これからは宇宙空間で光を送り出し、受け止め、信号処理をする一連の流れで精度を出していく訳ですが、光ディスクと比べてすごく長い距離で実現していかなければなりません。そのため日々CTO永田さんと、光通信は何をブレークスルーするともっと使いやすくなるのか、これから世界のために何ができるのかディスカッションをしています。

-チームマネジメントをされてきた経験から意識していることはありますか?
複数企業が連携する技術開発では最初は喧々諤々、それぞれの考えや要件をやりとりします。前職の経験からすると最初はなかなか相容れないこともありますが、そこから段々と折り合いをつけ、チームができあがっていきます。
やはり技術は嘘をつきませんし、お互い技術者同士、業界を良くしたいと思って仕事をしていると共感が集まります。良いものを作る視点に立って、それぞれの企業文化を理解しあいながら、一緒に苦労するというのが一番大事ですね。あとは飲み会です(笑)

-これから光通信分野で目指している姿はありますか?
光通信分野はまさに発展途上の領域で、高速大容量の通信をリアルタイムに宇宙空間で実現するために解決すべき課題、乗り越えるべきハードルが沢山あります。
それを一つ一つ解決し、光通信によって今まで繋げなかった人や地域から全世界の人を繋げること、多様な人たちがリアルタイムでつながる事で新しい価値観が生まれ、よりよい社会の実現につながればと考えています。

大事にしているCompass Of Behavior

-最後に、日野さんが大事にしたいCompassはなんでしょうか?
全部大事にしたいぐらいですが、一番大事なのは「Leap」ですね。
ともすると、気づかないうちに自分の思考に枠をはめてしまい、可能性を閉ざしてしまうことがあります。ワープスペースの光通信をLeapさせていくため、これからも自分で手を動かして新しい技術を開発し続けていきたいですね。


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