2017 February, Part 2_Firenze-1

1985年以来のフィレンツェです。
もちろん目的はブルネレスキですが、まずはこの際フィレンツェに泊まるのならポンテ・ヴェッキオが見えるところにしようと思いました。

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早速、対岸に渡って初めてみるサン・スピリトを見に行きます。
ファサードを付ける前にブルネレスキが亡くなったのかとか、そんな風に物語を想像してしまうような何もないファサードと対比的にブルネレスキらしい明解な幾何学が支配する内部空間。

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建築の壁が厚さを持つゆえに、それに内部の幾何学が明瞭であればこそ、外観に出現する奇妙な開口部。
いわゆる「サン・スピリト問題」。
ファサードを含めて外部が仕上げられていない故に露呈する幾何学を建築に導入するときの矛盾。

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孤児養育院はファサードだけの建築なので幾何学の矛盾は左右両端に普通は気付かないような形でしか見えてこないのですが、サン・スピリトはファサードだけでなく側面も見えてくるため、幾何学と建築との形式的不一致がはっきりと見えてきます。ブルネレスキがこの建築の外部を仕上げていたならどう折り合いを付けただろうと考えてしまいます。

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もう夕方だったので、ポンテ・ヴェッキオの方に戻ります。

ここで夕食に入ったレストランで頼んだワインのテイスティング・メニューがトスカーナと私との関係を劇的に変えます。

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そこで何種類かテイスティングしたワイン、それもトスカーナのワインとしてはメインでもない白、ベルメンティーノという葡萄の白ワインを好きになってしまいます。

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早速その後でスーパーマーケットでさっき飲んだワインの値段を確認したらその安さにびっくり。

なんどもカリフォルニア・ナパに通っているうちに、ナパ、ソノマのスパークリング・ワインが好きになり、趣味で個人輸入でもやってみようかと考えてナパのワイナリーを訪ねたこともあったのですが、自分自身を建築家へと導いてくれたフィレンツェ、そのトスカーナを訪ねるきっかけの一つとして、トスカーナ・ワインの輸入なんてやってみようか、と夢を見始めたのはそのスーパーマーケットで値段を見た時でした。
ここでようやくナパとトスカーナが繋がります。白ワイン繋がりという、極めて個人的な理由なのですが、どちらの場所もそこを訪れるきっかけをつくってくれたのは建築であり、都市空間、それも自分がずっと都市空間分析の鍵にしている「テーマパーク」という概念だったのです。

これでナパとトスカーナ、それにマイアミが繋がってくるのですが、如何でしょうか?

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でも、そんな夢みたいな話は早々に忘れて、建築家に戻ります。

気持ちいい酔い心地のまま、お店が閉まりつつある夜のポンテ・ヴェッキオを渡りながらホテルに戻ったのですが、そのお店のファサードの開閉システム、人間1人でお店のファサードをセキュリティのために木製建具で閉じるやり方に感動します。

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フォサードの無いサン・スピリト、ポンテ・ヴェッキオのファサード開閉機構、その向こうにサンタマリア・デル・フィオーレの夜景を見ながら、都市空間とは何か、都市の建築と街路空間との関係に何が提案できるか、といったことを考えながらホテルに戻りました。

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つづく


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