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【ラグビー・トップリーグ】2021.04.04 リコー対NEC戦の個人的雑感

秩父宮ラグビー場に行くというのも、もはや昨年2月のサンウルブズ対チーフス戦以来になっていたとは……。1年以上この地に足を踏み入れないだなんて、信じられない。そんな信じられないことが起き続けているのが、2020年代の特徴ではあるが。

そんな日のラグビー観戦はリコー対NECというゲームである。どちらもスコアの上では惜しいゲームが続いており、あと一歩噛み合えばもう少し順位は上でもおかしくないチームどおしである。
さて、これまでもリコーは贔屓チームとして応援しており、定点観測の対象である。ただ、今日のスタメンを観て驚いた。バックスのメンバーは例年以上に入れ替わっており、しかもほとんどカタカナのプレーヤーである。もちろん、帰化選手や特別枠を有効に組み合わせているだけであり、ルール上は何ら問題はない。ある意味では、相当開き直った起用法とも言えよう。これがどのような結果に結びつくのかも、気になるところである。

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そんな試合は37-15でリコーの圧勝に終わった。本稿はゲームで垣間見れた両チームの特徴と課題について、それぞれ振り返るかたちで筆を進めたいと思う。

若干疑いの目でリコーのラグビーを追いかけてみたのだが、実際の印象は大いに異なるものだった。ただただ単純に、面白いのである。

とにかく、攻撃のテンポが素晴らしい。よく走り、よく繋ぎ、よく加点する。スピーディーかつリスキーなパスが何本も成功していた。
国籍はオーストラリア、インド、日本、トンガ、フィジー、ニュージーランドと異なるのに、彼らのしたいプレーやトライまでのスタイルはきっちり共有されている。これもひとえに、バックスに同じキャラクターのプレーヤーを集めたからこそできる芸当である。よく考えたら、リコーはもともとセブンズに強いチーム。このような展開ラグビーを埋め込むには相応しい文化もあったのだろう。

一方で課題があるとするならば、やはり集中力を欠いた時間が出てきているという点か。NTTドコモ戦やキヤノン戦など、印象に残る逆転負けもある。その出来栄えが素晴らしい分、落差もより大きく感じてしまう。
故に、今のラグビーは魅力的で面白い一方、やはりどこかにディフェンスに長けた「落ち着いた選手」も配置する必要があるのではないか。中堅チームから抜け出すためには、もっと勝利の部分で冷静にならないといけない。

最後にもう1名、印象に残った選手を挙げたいと思う。
フォワード陣もハンドリングやランのスキルに長けたプレーヤーが多かったが、その中でもフッカーの武井の動きはピカイチだった。なにより、体格の小ささを感じさせない、当たり負けしないフィジカルには舌を巻いた。この魅力を磨き続けていけば、日本代表入りも夢ではないだろう。

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ポジティブな側面が多かったリコーに対し、NECのラグビーには疑問が残るものだった。
決して個々人のスキルが低いわけではない。マリティノ・ネマニは破壊力があるし、タッキーは明るい。ただ、上手いプレーを見せても印象に残る訳ではないし、かといってチームとして戦略立てて戦えている訳ではない。色々な意味で、中途半端な状態なのである。


NECのラグビーが魅力的なときとは、どういう時だったか?
真っ先に思いつくのは、ネマニ・ナドロがデビューした2011年シーズン。今までの日本人が対峙したことがないパワーとスピードでトライを量産。まさに衝撃的なシーズンだった。ただ、それは個人のパワーだけで成し遂げられたのではない。その周囲にはニリ・ラトゥ、土佐といった働き者のフォワードや安定感に長けたフルバックの大東など、「職人気質」のプレーヤーが多かったのも印象に残っている。

そういう意味では、今のNECに足りないのは「職人」なのかもしれない。この日のスタメンにも、復活を目指すベテランと、これからの成長を目指す若手が混ざっている。彼らが「NECらしさ」を身につけることができるかが、今後のキーになるだろう

どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)