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スポーツ観戦との「再会」・その2【20.08.22 ヤクルトスワローズ対阪神タイガーズ@神宮球場】

外苑前駅に、新しい入口が1つ増えていた。
この駅はスポーツが開催されると、いつもスタジアム通りへと抜ける3番出口が混雑する。なので、それを避けて僕は1番出口から抜け出して、周辺のコンビニで買い物をしたのち、スタジアム通りの坂道を登るのが去年までの道のりだった。

そしたら、いつの間にか2番出口ができているではないか! いや、思い出した。これは工事中だった出口で、それが完成したということだ。
新しいものをみると、ついつい足を運んでみたくなる。さっそく階段を登ってみる。ウッドデッキ風の通路は綺麗で、かつ非常に広い。これならば多くの観客を捌くのも問題ないだろう。

外苑前駅や神宮球場の来訪は9ヵ月ぶり、ヤクルト戦ならば約11か月ぶりとなる。もう10年以上、野球やラグビーでこの駅にはお世話になっているので、ほぼ月に1度は訪ねていた。それが、2020年はぱったりと途絶えてしまったのだ。
久々の再開は、ときに驚きを僕たちに与えてくれることがある。それが、今日の場合は外苑前駅の2番出口だったのだ。

しばらく1番出口は使わなくてもいいな……
いや、1番出口を使わなくてもいい理由はもう1つある。今日の神宮球場には、最大でも5,000人の観客しか入場できない。なので、そもそも混雑することが無いのだから。

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今日の試合は観戦する場所にもこだわることにした。「Peachヒップバーシート」という、外野席最上段に設置された半立ち見席である。ヒップバーとはいえ、クッションはしっかりしており、さらにドリンクホルダーもある。「野球観戦は俯瞰が面白い」と毎度主張している身としては、外野席からの俯瞰というのもなかなか面白い新たな視点だった。

ただ、ひとつだけ気になることがあった。
それは、ヒップバーシートの目の前が、パーティーデッキエリアだったということだ。

https://www.yakult-swallows.co.jp/news/detail/22842

入場者数は5,000人に制限されているので、開放されている席とそうでないところはまちまちだった。ただ、僕はこのエリアが販売対象だということを現地で初めて知り、非常に驚いた。
なにより、僕の目の前のこの席で、酒盛りに興じているグループがいたことにもとても驚いた。
屋外であるとは言え、こんなあからさまに密となり、うるさいとは言わないまでも騒いでいる。慎重に、気を付けながら野球観戦を復活させ、最大限に楽しもうとしているのに、こういう振る舞いをされるのは見ていて不愉快だ……。

そういうことを考えつつも、僕はコロナ禍における判断の難しさを痛感していた。この状況というのは、「正解か不正解か」「善か悪か」の明確な二元論では捉えられない。むしろ、「濃淡」の世界と言うべきか。どの見方も、やり方も、正解であり、不正解である。だから、彼らがパーティーデッキで酒盛りをするのは、経済活動の面では正解である。不正解と断じて排除するのはよろしくないが……。

単純な不愉快さと、許すべきだという寛容さ。相反する煮え切らない思いを抱いたまま、僕は屋外のイベントで初めて、接触者確認アプリを起動させた。

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そんな感情もスワローズが頑張れば問題なし! と言いたいところだが、苦しむチーム状態を反映したかのような試合が続いた。
スワローズ先発のクックは投球のテンポが良いものの、威力の無いストレートが痛打されることが多かった。ようやく1軍でお披露目となったのだが……。4回6失点と良いところなし。またしても先発が試合をつくれないゲームを観させられる。
打線もタイガーズの先発・西の前に力なく凡打を重ねる。5回裏を終わって7-0。ビバップシートだと神宮の花火も半分しか見れず、この時点では大損続きだと言わざるを得なかった。
気分を変えよう。そうだ、グッズショップに行ってみよう。

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観客数は限られているけど、グッズショップはいつも通りの品ぞろえだった。
チケット収入に限度がある以上、こういうグッズ収入はチームのため、そして世のため、人のためになる。何か一つでも買って帰ろう……。

買いたいものに目星はつけていた。たびたび大型ビジョンに映っていた、紺色のフェイスタオル。それを買おうと考えていた。

https://shop.yakult-swallows.co.jp/products/9133

それは選手の「好きな言葉」が書かれているものだった。座右の銘からおふざけ系(!?)まで、色々なワードが並んでいる。
商品を眺めながら、タオルを買う基準を考えていた。好きな選手のタオルを買うのがベタな方法だ。ただ、今回は「最も自分の胸に響いた言葉が書かれたタオル」にすることとした。僕も書くとか本を作るといった、言葉を大事にする活動をしている。何か共鳴する言葉があるのではないか……。

色々と商品を漁った結果、僕は西浦直亨のタオルにした。無難な守備と、打率2割5分前後だが時に止まらなくなる打撃が持ち味のショート。スターとそうでないものの実力差が大きすぎるチームにおいて、貴重な「普通の選手」である。

そんな西浦の好きな言葉は、こういうものだった。

「今を生きる」

その響きと意味合いが、なぜか2020年の野球観戦において極めて大事なのでは? と僕は思ってしまった。それがこのグッズの購入理由である。

さて、スワローズは7回に村上、8回に青木がホームランを放ち2点差まで詰め寄るも、反撃及ばず7-5で敗れた。西浦は8回の打席に代打を送られてしまい、タオルは1回しか掲げることができなかった。少し寂しい。もとい、この「今を生きる」という言葉は球場だけでなく、常に僕の心の中で掲げておけば、ゲームをなかなか観れない寂しさを紛らわせるかもしれない

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