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都市対抗野球へ、ようこそ!【2019.7.24編】

【筆者より注意】

こちらの記事は2019年の夏頃に執筆し、ブラッシュアップを試みるも投げ出し、3年間にもわたりほったらかしにしてきたものになります。
いやー、だってラグビーW杯とか楽しいことたくさんあったじゃん……(言い訳)

ところがまあ、2020年以降は都市対抗野球もイレギュラーな体制が続き、ようやく「東日本の夏の野球」が概ね戻ってきたわけです。嬉しいね。僕もこの年以降はドームに足を運べずだったので、久々に行こうと考えています(まずは19日か22日の第3試合)。

というわけで、第93回都市対抗野球対抗の開催と成功を祈って、こちらの熟成しすぎた下書きを表に出します。この夏も、都市対抗野球へ、ようこそ!

※2019年の都市対抗野球につきましては、拙著新作にもまとめておりますのでぜひ!

準決勝の第2試合は日立製作所対トヨタ自動車というカードになった。
2年ぶりの出場となった日立製作所はここまで全て2点差以内の勝利。先発投手で手堅くゲームを運び、後半戦は細かい継投で相手の勢いを断ち切る。特に、新人左腕の岡投手の活躍は光るものがある印象だ。
一方、トヨタ自動車は初戦で難敵の三菱日立パワーシステムズを破り、勢いに乗って準決勝まで辿り着いた。しぶとい打線でリードを奪い、セットアッパーの川尻とクローザーの佐竹の両名で試合を〆る。しかし、トーナメントの都合上、ここまで3連戦となっていること、そして前日は延長12回タイブレーク(試合終了が夜10時過ぎ!)まで試合をしていたこともあり、選手たちの疲労が心配された。特に、佐竹は9回から12回にかけて70球以上投げている。いくらタフネスとは言え、翌日の決勝戦を考えるとあまり無理をさせたくはないが……。

外野席まで応援団が詰めかけた日立。このチームを観るのは初めてだったが、応援団のテンションの高さは他のチームに無いものだった。声援、そしてブラスバンドの音量も大きい。曲のバリエーションも多岐に渡っており、「狙い撃ち」の演奏もトランペットが単独で前奏をしてからという力の入れようだった。飽きる要素が無いのが素晴らしい。

一方、昨日の疲れが残っているのか? 空席が目立つトヨタ。試合はそんな雰囲気と同じように……とはいかないのが、不思議なところである。
コントロールが定まらない日立の先発・高橋を攻め立てて、トヨタは1回と3回にそれぞれ2点ずつ加える。ロースコアに持ち込みたい日立としては、あまりにも痛い試合の入りになってしまった。
ただ、この日は日立の攻撃陣が好調だった。4回表は岡崎のツーランホームランなどで3点を加え、さらに5回表にも田中のタイムリーで同点に追いつく。
しかし、どちらの攻撃もランナーの暴走による憤死があった。積極的な走塁自体は良いことだが、追加点をさらに取れるチャンスをみすみす手放している印象も受けた。このままで良いのだろうか?

その悪い予感が的中してしまう。日立の2番手投手・猿川はトヨタ打線に追加点を与えない堅実なピッチングを続けていた。しかし6回裏、好調の多木にホームランを浴びてしまう。
この1点で再び日立は焦り始めた。毎回ランナーを出すも、トヨタ2番手の川尻に抑えられて得点を奪えない。前半の乱打戦とはうって変わって、テンポよくゲームは進んでいった。

迎えた9回裏。1点ビハインドで日立の攻撃が始まる。内野席の応援団は総立ちだった。演奏される曲目は通称「ユーロビート」。ミッキーマウスのマーチに色々なアレンジが加えられた1曲だ。僕はサビを聞くまで、これがミッキーマウスのマーチだとわからなかった。そして、突き抜けたテンションで奏でられるこの曲こそが、日立製作所野球部及び応援席を象徴していると思った。
点が入ることを信じて声をあげ続ける者たちがいる一方、マウンドの周辺だけ異様な静寂に包まれていた。そこにはトヨタの抑えの切り札・佐竹功年がいる。36歳の大ベテランは、前日の疲れなど無いかのように投球を開始した。
先頭バッターの濱元は三振、続くこの日2安打の中園はライトフライ。あっさりと2アウト。なんなんだこの危なげの無さは?

バッターボックスには代打の種子島が立っている。彼に対しても、佐竹は淡々と投げている。
改めて佐竹のピッチングを眺めてみて、ハッと気がついた。
佐竹は「ユーロビート」のテンポに合わせて投げていないか?
日立の応援席が盛り上がれば盛り上がるほど、佐竹の冷静さも冴えわたる。その関係性はちょうど正比例の状態にあると言ってもよいだろう。
このブレない強さこそ、佐竹の魅力であり、トヨタの強さなのである。そんなナイスピッチングを、僕はバルコニー席から見届けるのであった


どうもです。このサポートの力を僕の馬券術でウン倍にしてやるぜ(してやるとは言っていない)