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自称インディーズスポーツライターの当方がつらつらと記した文章をひたすら載せていくマガジンです
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#ラグビーワールドカップ

【ラグビーW杯】描き終えた絵と、真っ白なキャンバス 19.10.20 日本対南アフリカ戦

【ラグビーW杯】描き終えた絵と、真っ白なキャンバス 19.10.20 日本対南アフリカ戦

グループリーグ戦を4連勝で突破し、「ティア1」としてのデビュー戦を迎える日本代表。この1か月間でチームは大きな自信を手にし、応援してくれる人々も大いに増えた。まさに追い風の中にある。
対するは「スプリングボクス」の愛称で知られる南アフリカ代表。4年前は「ブライトンの奇跡」における引き立て役になってしまっただけに、リベンジに燃えている相手である。

南アフリカがどう日本を倒すか。その意図は明確だった

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【ラグビーW杯】「普通の勝利」が最大の喜び 19.09.20 日本対ロシア戦

【ラグビーW杯】「普通の勝利」が最大の喜び 19.09.20 日本対ロシア戦

ラグビーW杯の試合で普通に勝つ。
残念ながら、かつての日本代表はそれすら全く届かない時代というのもあった。
今日のロシア戦は良いところも、悪いところもでた試合だった。でも、普通に勝てた。ようやく、この地点にたどり着いた。そのことこそが、日本ラグビー史において大きな一歩なのではないだろうか。

自国開催のワールドカップ。日本代表はビックリするほどガチガチな試合の入りだった。相手のパントキックを見失い

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【ラグビーW杯】準備はスタジアムに入る前 19.09.21  フランス対アルゼンチン戦 その①

【ラグビーW杯】準備はスタジアムに入る前 19.09.21  フランス対アルゼンチン戦 その①

明大前から高尾山口行きの電車に乗った時、ようやく僕はラグビーW杯っぽい光景に出逢ったと思った。土曜日昼の時間帯なのに、満員電車。乗客個々人も大きいからこそ、余計そう思うのだろうか。

小さな飛田給駅で下車し、ゆっくり進む行列にうんざりしながら前へ。ようやく外に出たとき、僕はこの光景にビックリした。フランスとアルゼンチンのファンが大量にたむろし、歌い、叫びながら酒を飲む。
ラグビー雑誌に載る写真やテ

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【ラグビーW杯】キックは大胆かつ慎重に 19.09.21 フランス対アルゼンチン その②

【ラグビーW杯】キックは大胆かつ慎重に 19.09.21 フランス対アルゼンチン その②

視界にピッチと座席が入る瞬間、スポーツファンをやっていて、一番興奮するときである。特に、初めて行くスタジアムの新鮮さというのは、いつまでも忘れがたいものがある。
東京スタジアムはラグビーはもちろん、サッカーでも何度も足を運んでいる場所だ。

ただ、今日は初めてこの場所に来たかのような感覚に襲われた。
明らかに空気が違う。観客数の多さはもちろん、飛び交う歓声や、人々からほとばしる熱気が「普段のスポー

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【ラグビーW杯】雨風舞うけど、視界良好? 19.09.22 アイルランド対スコットランド

【ラグビーW杯】雨風舞うけど、視界良好? 19.09.22 アイルランド対スコットランド

昨日の試合である程度、ワールドカップの雰囲気を掴むことができた。これは僕にとって大きなアドバンテージだった。この日は友人を連れて観戦に出かけるだけに、あれこれパニックにならなくて済みそうである。

まず、飲食は試合前に済ませることにした。新横浜駅近くのデイリーヤマザキでハイネケンと日本代表チップスを購入し、それらをつまみながらブラブラと歩くことにした。もうひとつ駅前の某コンビニを見たのだが、ハイネ

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【ラグビーW杯】痛快! 19.09.28 日本対アイルランド

【ラグビーW杯】痛快! 19.09.28 日本対アイルランド

4年前とは違う感慨を抱いている。
あの南アフリカ戦はまさか! という「驚愕」と、勝てなかった過去を想った「涙」が、心を覆っていた。

でも、今日の試合は違う。大男2人が血相を変えて福岡を追いかける姿を見た瞬間、僕は思わず笑ってしまった。おいおい、こんなことがあるのかよ、と。
それくらい、この試合のジャパンの出来栄えは素晴らしかった。

 ◆

23日のアイルランド対スコットランドを観たとき、アイル

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【ラグビーW杯】最後は、男と男の真剣勝負 19.10.05 日本対サモア戦

【ラグビーW杯】最後は、男と男の真剣勝負 19.10.05 日本対サモア戦

長くラグビーを観てきたが、人生で一番緊張する試合観戦だった。
長く観てきたからこそ、サモアのパワー、そして火事場の底力は充分知っている。
だが、長く観てきたからこそ、僕はラグビー日本代表が強くなるプロセスを知っている。
だから、悔いなく応援しなければならない!

   ◆

横浜から東岡崎までの高速バスの旅は、渋滞もあって予定より1時間以上オーバーしてしまった。少し急ぎ足でホテルにチェックインし、

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【ラグビーW杯】見た事がない景色を、見に行こう! 19.10.13 日本対スコットランド戦

【ラグビーW杯】見た事がない景色を、見に行こう! 19.10.13 日本対スコットランド戦

「日本代表にティア1になるための資格はあるのか?」
今回のラグビーW杯の争点はここにあると考えていた。
非常に難しいチャレンジだと思っていたが、ここまでの歩みは順調そのもの。アイルランドに一泡吹かせ、ロシア・サモアからはボーナスポイントをゲット。グループリーグの首位に立つことに成功した。

そんな最終戦の相手はスコットランド。前回のワールドカップでは日本側が「中3日」の日程を強いられた(※相手はこ

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【ラグビーW杯】台風前夜 19.10.11 オーストラリア対グルジア戦

【ラグビーW杯】台風前夜 19.10.11 オーストラリア対グルジア戦

2019年10月11日・午前10時ごろ、横浜市の天気は「曇り」だった。
この日から遅めの夏休み、もといラグビーワールドカップ休暇を頂き、2カ所ほどスタジアムをめぐる旅をする算段だった。その口火を切るのが、エコパスタジアムで行われるオーストラリア対ジョージア戦である。
僕はその時、同じ試合を観に行くB氏の車に同乗し、静岡県袋井市を目指すのだった(※当方はペーパードライバーです。念のため)。

本来で

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今夜はラグビーで眠りたい

今夜はラグビーで眠りたい

ラグビーの試合前日の夜は、あまり眠れない。

と言っても、これは約10年前の話だ。当時、僕は母校のC大学ラグビー部の取材に、広報紙の記者として足を運んでいた。
C大学は弱いチームだった。入替戦への恐怖と大学選手権進出の淡い期待を併せ持つ、不思議なチーム。故に、1つの勝利で得られる喜びは果てしなく大きく、1つの敗北で得てしまう不安もまた、果てしなく大きい。
だから、試合前は常にナーバスだった。授業中

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山中亮平に重ねる希望

山中亮平に重ねる希望

その選手を初めて見たのは、2007年の早明戦だった。
復調気配があった明大ラグビー部が、コテンパンにやられている。その状況に追いやったのが、背番号10を背負った1年生選手だった。
確かに、高校時代からその才能の凄さは叫ばれていた。とは言え、早速その実力をいかんなく発揮できるだなんて……。
以来、早大ラグビー部の試合を観に行くたびに、彼の活躍を楽しみにしていた。パスやランはセンスの塊であり、そしてオ

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【スーパーラグビー】2019.2.23 サンウルブズ対ワラターズ戦の個人的雑感

【スーパーラグビー】2019.2.23 サンウルブズ対ワラターズ戦の個人的雑感

スーパーラグビー4年目のシーズンを迎えたサンウルブズ。シンガポールでの開幕戦はシャークスに完敗を喫しただけに、日本での今季初戦となるこの試合は現状のメンバーで「どこまで立て直せるか」が見どころだった。

そのサンウルブズは前半から好プレーを見せる。特に印象に残ったのは「スクラム」の安定と「相手をライン際に追いやるディフェンス」の2点だった。前者は今節スタメンに入ったベテラン・山下が大きかった。結局

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【ゲームレビュー】18.11.17 ラグビー日本代表対イングランド戦の個人的雑感

【ゲームレビュー】18.11.17 ラグビー日本代表対イングランド戦の個人的雑感

さて、イングランド戦の試合雑感です。

「前半大健闘、後半完敗」という、あまりにもはっきりとしたコントラストだっただけに、ファンの悔しさもひとしおだったと思います。僕もしかりですが。ただ、先のオールブラックス戦と同じく、イングランドも80分間手を抜かず、そして日本代表をナメることなくぶつかってくれたことが、最大の成果であり日本代表の現在地だと考えます。

また、課題として挙げられていたラインアウト

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