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はぐれ者として生きる

長いものには巻かれろ、と言います。けれども生まれつき天の邪鬼の私にはそれができません。動物の群れの中でいうと「はぐれ×〇」といわれるような行動をずっとしてきました。

大学生のときには祖父が卒業後、公務員になるように説得に来るという話を伝え聞いて、怖れていました(結局、来なかったのですが)。その後、地元ではそこそこ大きな会社に就職したものの、仕事より研究が魅力的なものに思えて、大学院に入りなおすことを選びました。サラリーマンも、大きな組織の中で与えられた職務を果たす意味では公務員と同じである、というのは後になって気づきました。

大学院を終えても研究職にはつけず、アルバイトで暮らしていました。生活の不安が出て来て、小さな社団法人で働きました。ときには納得できない仕事があったりしましたが、その職場は割と性に合っていたような気がします。

ちょうどそのとき大学院時代の先輩から海外での仕事を紹介されます。今、行かなければ自分は今後、海外で仕事することもないだろうと、給料などの条件は悪かったのですが、その誘いを受けてM国へと行きました。途中M国からU国へ移りましたが、結局、この関係の仕事は10年以上続きました。

この仕事が長く続いたのは、あまり海外勤務のない組織の中での、海外拠点勤務という、「はぐれ職員」として働けたのが大きいと思っています。もし国内のその組織で働いていれば、大きな組織でしたので、嫌気がさしてしまい数年で辞めたんじゃないかなと想像します。

ただ、そんな自由な仕事でも大きな組織に属しているのには変わりませんし、また、自分のいた国は日本と経済的な結び付きが弱く、基本的に政府間のODAによる結び付きでしたので、自分は民間で非正規職員という立場であっても、仕事が公的な色合いをまとうことが多く、そんな状況がしだいにつらくなっていきました。コロナ禍の中で考え、最終的には米軍のアフガニスタン撤退時の混乱を見て、組織から抜けること、簡単に言えば、仕事を辞めることを決心しました。

結局、私は、大きな組織の傘で保障されたところにいるかぎり、不満を持ってしまう人間なんだと思います。それで今は、フリーランスというか、自営業というか、そういった働き方に挑戦してみたいです。いきなり転身はむずかしいでしょうから、試行錯誤が続きますが、「はぐれ社会人」として生きていくことができればいいですね。

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