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労働組合は労働組合らしく、政党は政党らしく。

私が(一瞬だけ)社会人になったときちょうど参議院選挙があり、会社の労働組合から駆り出され、当時連合が支援していた候補の応援集会に行きました。京都の会社に勤めていて集会の場所は円山公園音楽堂だったと思います。集会自体の内容はまったく憶えていませんが、1989年に連合ができて、それまで定数2の京都選挙区は自民党と共産党の「指定席」と言われていた構図が大きく変わり、連合が支援した候補が当選するようになっていました。

こうした変化が自社さ政権ができたり民主党政権ができたりという一時期の政治の変化につながったのは確かでしょうが、でも振り返ってみると私が応援集会に駆り出された1995年から今に至るまで日本はほとんど成長せず賃金は下がり続け、私たちの世代はロストジェネレーションでまともな仕事をあてがわれず、本当に残念な国家運営だったなと思います。

連合ができるまでは労働組合はもっと労働組合らしくて、春になると鉄道会社がストライキをすることもあり、中学、高校は電車通学だった私は明日は学校に行けるのかなとニュースを見ていたりしました。今となってはストライキをするというとえらく大変なことのように思えますが、以前は労働者の権利としてちゃんと認められていて、そのことで労働者の要求が広く社会に視覚化される効果があったのではないでしょうか。それが連合になって、個々の労働組合の活動が見えにくくなったり、労働組合と政党の距離が近づきすぎたりしているように感じています。

また連合ができたのと直接関係はしないでしょうが、労働組合が正社員だけの組合であり続け、この間に増大した非正規雇用者の立場を労働組合が代弁してこなかったことがとても残念です。

そもそも労働組合というものが、マルクス主義的な、労働者と資本家の階級闘争という考え方をもとに作られていたと思いますが、連合ができた1989年は平成元年で、ソ連軍のアフガニスタンからの撤退、天安門事件、ベルリンの壁崩壊などの事件があった年であり、世界史の大転換がおきていた頃です。階級闘争的なものの見方が通用しなくなった時期に連合ができて、今に至るまで続いているというのはなんとも皮肉なことです。本当はこの30年以上のあいだに、世界史の大きな流れを反映する政党が日本に出てくるべきではなかったでしょうか。時代の流れを反映するならば、その主義の是非は議論があるとしても、緑の党のような環境政党であったり、反グローバリズムにのっとった左翼の政党、あるいは極右の民族主義政党などが国政に出て、野党の立場でそうした今の時代の主義主張を唱える必要があったのではないでしょうか。いつまでたっても階級闘争史観で、自民党か社会党(民主党)かみたいな古くさい議論をやっていては、日本はいつまでたっても世界史の流れに取り残されたままでしょう。政党も、労働組合はじめ既存の支持団体との関係を見直して、党の主義主張を時代に合わせていったほうがいいと思います。

自分自身は今、国民民主党のサポーターですが、国民民主党としては連合との関係は維持するにしても、今もそうしているように個々の産別(産業別労働組合)との関係のほうを重視するようにして対外的にもそういうことは明確と言ったほうがいいと思います。ただのサポーターですので内部事情は分かりませんが、国民民主党はおもに4つの産別から支持されています。電力総連(全国電力関連産業労働組合総連合)、電機連合(全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会)、UAゼンセン(全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟)、自動車総連(全日本自動車産業労働組合総連合会)です。前者2つが支持団体なので原発維持という立場にどうしてもなってしまいますが、それでも長期的に日本が原発をどうするかということについてはただ既得権益を維持するというだけでない議論ができる政党だと思いますので、そういう議論を重ねていくことで一部の人々の利害を代表する政党でなく、国民政党であるように活動していってほしいです。

世界史の大きな流れを反映するという点では、国民民主党は「改革中道」を標ぼうする政党ですので、分かりやすい極端な立場が示せず主義主張がどうしても分かりにくい政党なのですが、代表の玉木さんはじめ前原さんや大塚さんなど、世界の流れの中で日本を見ることができる論客の多い政党ですので、そういった意味では世界を見据えて政策を作っている数少ない政党だと思います。玉木さんの視点は欧米の視点に合わせすぎていて個人的には不満なのですが、今の日本としてはきわめてオーソドックスな立場だとは言えます。

上にも書いた通り、もっと極端な主義主張を唱える政党が出て来てもいいと思います。それが多数派になると困るかもしれませんが、野党にその時代を反映する政党があることで議論が生きたものとなり、国の政策が全体として時代の大きな流れにあったものになっていくのではないでしょうか。

今回はえらく大風呂敷をひろげてしまったような気がします。大変失礼いたしました。

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