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Listen to Me!!

今の会社に通い始めてからしばらくして、自分が朝通勤で使う電車に中学の時の英語の先生が乗っていることに気付いた。
降りる駅を見るにもう別の中学に転任?しているようだが、当時は20代後半か30代初期という見た目だったのに対し、髪色と髪型も少し変わってどことなく壮年の貫禄が出てきたような感じだった。
確か在籍中に結婚もしていたので父親としての風格も出てきたのだろうか、まあ別に話しかけるほどの仲ではなかったのでただ見ているだけだった。

先生について思い出すこと。
「リッスントゥミー!」が口癖というか、語尾だった。

部活の顧問でもあったのだが、何かしらのイタズラをして集団で怒られているとき、その中で最もイタズラっ子だった奴が別方向を向いた先生に膝かっくんのジェスチャーをするも産毛が接触して気付かれ、1人だけ僕らの死角に引きずり込まれてもう殺すような勢いで怒られているのを見て爆笑したこと。

英語の授業では洋楽を流してその歌詞から英文法について説明する手法をとっていたこと。

クラスの授業態度が悪かった際に「もうじゃあ今日はこれ(洋楽流すやつ)やりません、できませんこんな雰囲気じゃ」と言い出して、誰か口に出したわけじゃないがなんとなく「この洋楽流すやつって生徒へのご褒美だと思っていたのか」みたいな空気になっていたこと。

多分みんな先生のマスターベーションだと思っていたし、僕も先生が必死に秘部を扱き上げる音がラジカセから流れてくる時間だと思っていたので意表を突かれた。まあ確かに聴いてるだけなので楽だったが。

ふと先生に目をやるとウォークマン的な機械で何か音楽を聴いているようだった。
英語教師でありながらあえて落語を聴くことをカルチャーセックスと称して実践している僕の知らない一面があったのかもしれないが、普通に考えて恐らく洋楽を聴いているのだろう。

そのとき何故か寒気が走った。理由がわからなくて自分の気持ちを分解してみると、つまるところ僕は、先生が10年近く経った今でも授業で洋楽を流すやつをやっている可能性に気付いて、その狂気的な不変ぶりを想像の段階で嫌悪したのだ。

おじさんおばさんなのに子供言葉とか、なんかそういうのと同じカテゴリでキモいなと思ってしまった。
授業で洋楽を流す行為の是非ではなくて、長い時間を経てもそこに一切の変化が生まれていないのがなんか、何もなかったのかな今までずっと、その習慣についてこれまでもこれからも考えることはなくて、ただそれを機械的に繰り返していくのかなって、何の確証もないのにドン引きしてしまった。

ずっと変わらないって物によってはキモいよなって話。

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