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ちょ〜グニャグニャ

ネクライトーキーにハマっている。しかしながら、昔ネクライトーキーをYouTubeで何曲か聴いてあんま入ってこなかったの覚えてるんよな。

それが今となっては、ボーカルの女の子のいたずらっぽく無邪気で、か弱くもたくましく、明るくも寂しくというような、相反するイメージを絶妙なバランスで組み立てたような素敵な歌声と、遊びこごろの詰まった音楽性がズシリと胸に刺さるのは何故だろうか。

思うに、何事も自分にとって喰らうタイミングというのがあるのだと思う。場合によっては熱狂しすぎて高熱を帯びたガラス細工みたく価値観とか考え方がぐにゃりと変わってしまうほどにね。

ただこれがまたタイミングが微妙で、例えば小さい頃忍たま乱太郎ばっか見てる子供はつまるところ忍たま乱太郎に喰らっているんだろうけど、大人になるとやはり他にも楽しいものを見つけたり既に他で喰らっていたりして忍たま乱太郎で喰らう確率は下がるだろう。
そういう年齢に比例して下がる場合や、その時期の気分とか、考え方、何か許容できる範囲が広がったり、その時持っている物とまるで逆のものだからこそ喰らったりと、どこに喰らうものがあるかわからない。

大学生のとき友達に面白い漫画はないかと聞いたところ、おやすみプンプンを勧めてもらった。友達曰く「自分は中学(高校だったかも)のときに読んで自分の中の何かが歪んだ感覚がある」とのことだったので読んでみた。
普通に面白くてズバババっと読み終わったのだけれど、正直に言ってそのときは何か歪んだなという感覚までは湧き起こらなかった。
しかしながら確かにこれを中高生のときに読んだら何か歪んでいたかもしれない、とも思った。その子にとっての“歪む”タイミングでこの漫画に出会えた友達がなんだかちょっと羨ましいとも思った。

あと、この前何人かで映画の話になった際、小さいときにみたウルトラマンの個性的な怪獣の造形を見るのが好きで、今でもエイリアンとか、プレデターとかそういうモンスターの造形が光る映画が大好きだって人がいて、その人は結構ファッションもイケてて趣味は旧車とバイクいじりといういかにもメインストリートを肩で風切って闊歩しているようなタイプの人なんだけど、そんな彼の“好き”のルーツが小さい頃に見た特撮にあって、それを今でも覚えているというのがなんだかすごく素敵というか、尊ぶべき事象に思えた。

そういうなんかタイミングとか、小さい頃にみたあれにずっと、みたいなのってあるよな、と思い始めてから時折、ああこれって違うタイミングで出会ってたらもっと熱狂してたのかな、歪まされてたのかな、と思うことが多くなった。

自分にとっての歪まされたコンテンツ。熱狂したものは数えきれないほどあるけれど、その中でもなんか、自分の中の何かが変わった、何かが歪まされたな、とまで思う物を考えてみたら、大きく3つほど思いついた。

まず一つはヤッターマンだと思う。やっぱ最初は小さい頃のそれになりがちよな。平成に復活したものがあってそれも好きだったし、世代的にはそっちが相応なんだけれども、僕は小学校か幼稚園くらいのとき朝早くにやってる再放送を毎朝食い入って観ていた。
思えばあれは僕よりもっと前の世代の子供達が週に一度観ていたもので、それを僕はたまたまやっていた再放送で毎朝観てどハマりしていたのだからある種運命的な巡り合わせと言えるかもしれない。
とにかく敵役の作るメカのデザインを見るのが好きだった。悪役の掛け合いも魅力的だった。毎回個性的な敵方が出てくる、というフォーマットの作品が好きになった。
その後も

・星のカービィ(デデデが魔獣をデリバリーする)
・ゲゲゲの鬼太郎(色んな妖怪と戦う)
・プリキュア(敵が色んなモチーフのモンスターを使役する)
・スティッチ(色んな試作品が出てくる)

なんかを見ていたし、大人になってから見始めた海外ドラマでも

クリミナルマインド(色んなシリアルキラーを追う)
ブラックリスト(個性的な犯罪者と対決する)

など、フォーマット的には結局ずっと変わらない。つまりはずっとずっと執着しているのだ。
あと、主人公よりも悪役の方が好きになることが圧倒的に多いのも元はと言えばそこがルーツなんだと思う。

その次はあれかな、やっぱデッドライジングだと思う。覚えているのは、元々なんかグラセフで暴れる系の動画を見ていたら2のブランドンのムービーに行き当たって、なんだこれ、グロいけどゾンビもいるしなんだこの世界、てかゾンビゲームなのに人間とめっちゃ戦ってるしなんなんだこれはって。
そこからそのゲームについて色々調べていくうちにドンドンとのめり込んでいった。落ちてるものは銃やバットからデッキブラシまで武器になるというゲーム性もさることながら、その世界観に頭の全部を書き換えられてしまったかのように魅了されていた。

ゾンビゲームでありながらボスは基本的にゾンビ化していない生身の人間達であること。理性のタガが外れて悪事を働くものもいれば、ゾンビアウトブレイクによってもたらされた悲惨なトラウマで精神が壊れてしまったために元は善良だった人が狂気に駆られて襲いかかってくる場合もある。

ゾンビアウトブレイク自体はいわば広範囲に及ぶ不可避の大惨事という舞台装置で、ほんの少し前まで普通に街や、ショッピングモールで各々ありふれた日常を過ごしていた人々が、ゾンビの出現によって瞬く間に非日常に突き落とされて、生き残った多種多様な立場の人々が、各々の運命が複雑に絡み合って紡がれる狂気的なドラマに巻き込まれていく。
社会性というある種の枷が崩壊した場所で欲望や本性、精神的な弱さが剝き出しにされる。
そんな世界観にただでさえ多感な時期の僕はもうまさしく狂ったようにのめり込んでいたし、色んな意味で歪まされたと思う。

ボス戦のムービーは何度も見返したし、プレイヤーもなければサントラにも手が届かなかったのでガラケーの拙い録音機能でガッタガタの音質になってる戦闘BGMを聴いて満足していた。

このゲームに登場するボスは倒すと多くが自業自得的な悲惨な死を遂げるのだけど、物語の展開としてどちらかというと切なかったりやるせない展開を好んだり、普通の日常がほんの少し運命の歯車が狂ったが故に全く別の悲劇に繋がる的な展開が好きなのはこのゲームから来ているのかもしれないなと思う。

最後は、だいぶ最近なんだけど海外ドラマのベターコールソウルだと思う。これはかなり、だいぶ揺らいだかな。
厳密にはブレイキングバッドというドラマのスピンオフで、本編ありきというか、そこも含めてって感じなんだけど。

実はこれ、初めて海外ドラマを2周したんよね。最初1人で見て、とにかくとんでもない衝撃を受けた。そこから1年くらいずーっとなんか、余韻というか、燃え尽きじゃないけど、ぽわーって感じになってたんよね。すごかったけど上手く言語化できないというか、ただとんでもない衝撃のどでかい痕跡みたいなのは確かに僕の内面にあって、虚無感とも違うんですけどなんか、なんかどでかいものを撃ち込まれた感覚があったんですよね。だからすごかった、としかその時は言えなくて。

そこから僕のそのとにかくすごかったという至極ボンヤリした感想を頼りに見てみると言ってくれた友達がいて、僕も細かいところを思い出そうと2周目みたんですよね。
そうするとやっぱ2周目ってすごいものでだいぶ解像度が上がって、ある程度言語化できそうな雰囲気が出てきて、見ていくうちに海外ドラマでこれが現状一番好きだなって確信もできたんですよね。ちなみに一緒にみてくれた友達も1周目の僕と同じ感じになってて嬉しかった。

ネタバレもあるので上2つみたく簡単にこういうところが…とか説明はできないんだけど、その友達と感想を言い合ってるとき自分が好きになった部分をなんとか言葉を尽くして言い表そうとしていた中でふと口を突いてでたのが、“緻密なカオス”という感想だった。
自分でも割としっくりきて、なるべく端的に、ネタバレもないように表すならその一言に尽きるかなと思う。

その世界観もさることながら、映像作品としての完成度だ。考え調整し計算し尽くされた映像表現の数々に何か一つ次元の違うものを見せられたという感覚が強かった。
見直せば見直すほどわかるのだが、あらゆる描写に意図があって、ああこれってどういう意味なんだろうと思う、或いは思わされる場面は真剣に考えたり見直せば絶対に答えがあるというか、なんかそういう物語の行間についてつい考えてしまう僕らのキモさを受け容れてくれるというか、深く考えずとももちろん楽しめるし、深く考えてみた人にはまた別の風味をちゃんと用意してくれている演出的な姿勢に感服せざるを得ない。

ああ映像作品って、物を作るってこんなにも楽しそうなんだと思わされると同時に、それらの演出に裏打ちされる世界観と圧巻のストーリーにもう今後これを超える歪みをどこかで受けられるのだろうかと不安になる程に自己を揺るがされている。

これら3つに関して僕は当時のタイミングで出会えて良かったなと思う。まあ結果論だけどそれらが今の僕の楽しいを形成しているのだから、出会えて良かったとしか言いようがない。

もちろん、タイミングを逃したと思っているものもまたもっと歳を取ったタイミングで良さが染み出してきてのめり込むかもしれないし、もっともっと思いもよらぬところにある物に、思いもよらぬ出会い方をするかもしれない。

まあこっちとしてはただ待っているか、自分から積極的に未知のものに触れていくくらいしかできないので、せめてこの手から溢れないように余さず味わっていきたいですね。

ネクライトーキーMV「ちょうぐにゃぐにゃ」/ NECRY TALKIE - Super GunyaGunya https://youtu.be/PNF97Zi--mo?si=HTT7xiOG2SIDxzuu @YouTubeより

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