見出し画像

「どこに行きますか」と「どこへ行きますか」

 この違い、皆さんならどう説明されますか? 意味的には同じだから、どっち使ってもいいんじゃない?というお答えでも間違いではないですが、日本語の研究には向いていない方ということになります(笑)。
 本来、この2種の言い方には厳密な違いがあったのでしょう。まあ、日本語はだいたいそうです。「お」と「を」、「え」と「ゑ」、厳密な違いがあったから文字が2つあったわけです。それが時代とともに、慣用化や誤用が増えて、明確な違いがなくなった。
 「どこに」と聞く場合は明確な目的地を求めています。それに対して「どこへ」と聞く場合は、もうちょっと曖昧。”どっちの方向へ”くらい広い範囲で答えても応答が成立します。
 「どこに行くの?」「京都に行きます」
 「どこへ行くの?」「関西へ行きます」
 または、聞き手が、相手の行先に対してそれほど興味がないときには、「どちらに行かれます?」より「どちらへ行かれます?」のほうが柔らかくなります。短く言うと顕著ですね。「どちらに?」より「どちらへ?」のほうが質問のプレッシャー度は低い。
 従来は、このように厳密な違いがあったのですが、”どこに”のほうが言いやすいので、”どこに”のほうが語用として広く運用されたのだと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?