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ゲーム音楽のweb展覧会「Ludo-Musica Ⅱ」がとても気に入ったので

2023/2/12追記:2023年も「Ludo-MusicaⅢ」が開催されています。2023/3/31までのようなので、この機を逃さず訪れてみることをお勧め致します。

ゲーム音楽展「Ludo-Musica II ゲームのための音楽/音楽のためのゲーム」が、webにて1月29日から2月28日まで開催されている。文化庁令和3年度メディア芸術連携基盤等整備推進事業らしい。

「Ludo-Musica Ⅱ」はwebで開催されているが、美術館で行われている展覧会のように、作品があり、その作品の解説や展示の意図を示すパネルがある、という格好になっている。音楽を鑑賞する環境を考えてみると、こういうのはリアルの展覧会よりwebベースの展覧会のほうがすぐれているようにも感じた。

展示は、ゲーム音楽黎明期の作品から始まり、重要な作品に触れつつ、ゲーム音楽がどのように進化してきたか、その歴史を垣間見ることが出来るようになっている。「国民が選んだゲーム音楽ベスト100!」みたいな、有名楽曲を紹介するタイプのものではなく、技術的な革新性や演出としての新しさ、素晴らしさみたいな軸に重きをおいて、作品と楽曲が選択されている(「無音」というのもある)。数音の電子音で構成された短い楽曲がループする時代から、音源がリッチになっていき、そしてインタラクティブに音楽を制御する時代へ。プレイヤーの体験にフィットした音楽を届けるため、様々な工夫と努力が重ねられてきたことが概観できる。

ゲームという、プレイによって「タイミング」や「尺」が変わってしまうメディアにおいて、プレイヤーが体験する「場面」や「感情」にぴったりの音楽をいかに生成するか。そこにこだわって、楽曲の展開をゲームプレイに応じて巧妙に制御してみせるタイトルがあるかと思えば、大胆にゲームのために作られたのではない既存曲を持ってきて、しかしこれ以上ないというタイミングで印象的に聞かせるようなタイトルもある。そういう演出の多様性みたいなものも、ゲームサウンドを楽しむ上で外せない鑑賞ポイントだろう。「あのゲームの、あそこでかかる音楽が・・・」そんな話をするのは、ゲームファンにとって幸せな瞬間のひとつだ。

アート鑑賞と同じように、こういった展覧会のようなイベントは、人に様々な目線(今回は耳だが)の存在を教えてくれる。楽しみ方を知っているかいないかで、日常接する様々なものや作品の見え方はずいぶん違ってくる。ゲームというメディアの特性を考えると、特に、インタラクティブに変化するタイプの音楽とサウンドをうまく組み合わせた演出の工夫、みたいなものを意識しているかどうかは、鑑賞眼(耳)的なものに結構影響があるように思う。その点で、「ゲームならではの音楽体験」に注目した「STAGE02」の展示は秀逸である。いや・・・テトリスがあんな洗練されたビデオドラッグみたいなオシャレなものになってるとは思いもしなかったよ。

決して、なんとなく気持ちよかった、あのゲームのあのシーンはよくわからないけど印象的だった、という事がダメなのではない。考察みたいなものに向かう動機は、そういう素朴な体験から生まれるものだろう。でも、よくわからない素晴らしい体験からスタートして、なぜそうなるのか、どういう点が素晴らしいのか、そういうことを言葉にする世界に足を踏み入れるのも楽しいことだよ、という事は言っておきたい。

動画も見せれるし、もともとデジタルなゲームみたいなものを展示するのにweb展覧会は良いね。音楽っていう一定の時間を消費するものを鑑賞しながらなので、自然と解説を読むだけの時間が確保されるのも良い仕組みだと思った。(動画は別窓かテキストを邪魔しないようにしてほしかったけど)

ぜひ続けていって欲しいな。

STAGE02のキュレーターをされた方のnote。すごい面白い。


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