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選択は、手に入るあらゆる情報を加味して決めなければならない

睡眠薬を販売する製薬会社や、睡眠の質を測定する装置を製造する企業は、不眠を訴える人々がいなければ倒産の憂き目に遭う(中略)意識的にしろ、無意識的にしろ、患者を自分の専門分野に引き寄せようとする傾向は、他の医療の分野にも認められる(中略)一九九四年に世界保健機構が骨粗鬆症の新たな診断基準を発表したとき、その診断に該当する人の数が一夜にして倍になった。この新たな定義は、腎臓病の場合と同様な問題をもたらした。研究によれば、新たに骨粗鬆症と診断された患者のうち一七五人は、股関節の骨折を回避するためだけに三年間治療を受けることになったという(中略)結局彼らの大半は、腎不全も股関節の骨折も起こさなかった。彼らはその事実を予防プログラムのおかげと見なすかもしれない(中略)選択は、手に入るあらゆる情報を加味して決めなければならない

フォアフット走法は江戸時代では当たり前↓

ふくらはぎの筋肉は、脚にある静脈と、体中の廃棄物を運ぶ排水路の役目をしているリンパ系に、血液などの液体を滞留させないようにするポンプとして働く。

腰筋でストレス管理(中略)腹部の筋肉を制御する脳領域が、ストレスに関連する器官の経絡図のど真ん中を占めている(中略)コアマッスルのなかでも、つねに名前があがる筋肉が腰筋だ。脚を引き上げて前へ出す筋肉でもある。

股関節の中心の力みがうまく抜けるようにする(中略)この1、2ミリ浮かせるのが最難関と言えるかもしれませんが、この難しさは転子化を「さらにさらに」進めるための強力な足がかり(中略)軸とハムストリングや大腰筋が強化され、裏転子の形成が促される(中略)足裏の操作や、転子をさりげなく意識する(中略)進んだ段階に到達したとします。その状態で、右の踵と転子を結んだ直線をシャフトとした回軸運動を行います(中略)大転子周りのたくさんの組織(骨や筋肉)を巻きこみながら(中略)このプロセスは、徹底して行う必要があります(中略)これによって指先と股関節、立ち方、全身のあり方にまで深い連動が引き出されます(中略)軸が使えるようになると、軸が各腕脚と連動する(中略)抵抗に打ち克ちながら歩くと、いかにも仕事している、歩いているという実感があるだけでなく、いかにも筋肉を使っている感じも生まれます(中略)軸は、抵抗、仕事量を増大させるためにあるといっても過言ではありません(中略)軸ができているか、どれほど優れているか、あるいはトレーニングが上達しているかどうかは、歩き出すとき、歩いているときに、どれだけ重みを発生させられるかで決まります(中略)別の言い方をすれば、ドライブ軸とは、進行方向とは反対方向へ重みを発生させる軸だということです(中略)抵抗を感じながら切り進むことができなくてはなりません(中略)抵抗に打ち克つことによって鍛錬を進める(中略)抵抗成分が整理され、取捨選択され、大腿直筋に集約されてくる(中略)抵抗成分をいままでと同じか、さらに増すように努力しながら大腿直筋の筋収縮を減らしていかなくてはなりません。これは大変難しいことです(中略)軸、さらにこの先にフォアフット軸がある(中略)空中に潜在意識としての地面が形成される(中略)抵抗成分を大腿直筋に集めることが非常に重要な整理の仕方(中略)踵躍進はヒールストライクではない、まったくの別ものである(中略)踵躍進は、フォアフットと矛盾しないどころか、一人の人間の中に共存し得るものなのです(中略)踵躍進のほうが難しいとも言える(中略)そもそもフォアフット走法ができる足の速い選手で、踵躍進まで使えた人というのは類まれな天才だったと考えることができるでしょう。今なら大谷翔平がその代表です。

くるぶし荷重をすると楽に立てるのは、足首に「モーメント」が発生しないからです。モーメントとは「回転させる力」のこと(中略)くるぶし荷重であれば、こういったモーメントが発生しないので、常に足首がリラックスした状態で、バランスを取ることができます(中略)センターポジションとは何か、一言でいうなら「瞬間的にアクションを起こせるポジション」(中略)野球に例えると、どこにボールが跳んできてもパッと動いて受けられる、あの構えているときのイメージです。それは「瞬時に動ける」と同時に、「どこから押されてもバランスが崩れない」ポジションでもあります(中略)意識はくるぶし荷重でも、実際の荷重は足裏全体に分布する(中略)動きに合わせて重心を下げていき、センターポジションを常にキープする、ただそれだけです(中略)低くなった重心を、ニュートラルで高い位置に戻します(中略)重心を入れ替えますが、このとき自分の両足の間から重心が外れないようにします(中略)荷重している間は、足首の角度や内外旋が緩まないように止めている感覚はあります。でも、基本的には足首は固定するものではなく、あくまで動かすものであって、常に足首から動けるように楽に構える(中略)足首、膝、股関節、どれもリラックスした状態(中略)スクワットしてジャンプするくらいのつもりで、筋力を使って地面を押すようにストレッチングします。この動作によって重心を高い位置に戻す(中略)「関節の仕事」で大きなエネルギーを生み出し、それを運動エネルギーに変換する(中略)軸を動かせば、自然に重心が移動する(中略)どんどん大きくなる遠心力を感じながら、それに合わせて重心を下げていく(中略)常に垂直に自分の体の軸がある状態を保つ(中略)重要なのは切りかえ時(ブランコでいう前後の頂点付近)(中略)乗り換えはコンパクトにする(中略)「切りかえでの重心移動」はコンパクトにおこなう必要があるのに対して、「荷重中の重心移動」はより大きくなります(中略)切りかえ直後のほんの一瞬、内足のほうに体重が多く乗っている瞬間がある(中略)切かえで瞬間的に膝がガニ股のようになるときがある(中略)膝を、先に内側に倒している瞬間(中略)それはほんの一瞬(中略)この一瞬の内脚荷重は、基本ができた上ででの応用技術(中略)落とし込むような意識で、脚をねじ込んでいく(中略)始動で脚をねじる動きを使う

より深い脱力とは、股関節を中心にして脚をわずかに持ちあげるための筋肉を、腸腰筋、より正確には大腰筋へとシフトさせていくこと(中略)普通はどうしても大腿直筋や、大腿筋膜張筋、膝から下の前脛骨筋といった筋肉に過剰に頼って硬縮が生まれます(中略)脱力を深く、広く進めながら、わずかな筋力を、より体幹の中心である大腰筋主導に切り替えていけるかが山場です(中略)「水平面」という身体意識の能力が必要(中略)フォア・フット軸は、単なる足の使い方だけで成立するものではなく、身体意識としての「地芯」、重心線に沿った「センター、軸」そして「水平面」がなければ成立しません。「水平面」は「地芯」、「センター、軸」との三者関係の中でお互いに影響し合いながら成立するものだからです(中略)フォアフット軸の攻略は一筋縄でいくものではありません(中略)段取りができないとフォアフット軸が本物としては育っていきません。実際の歩法・走法の中でフォアフット軸を鍛えることとは難しさの意味がまったく異なるからです(中略)パイルカーペットの短い毛足を5本の足指と5つの指球(フォアフット)を使って、まずはしっかり掴みます。この目的は極めて明確で、股関節の中心をハッキリクッキリと転子化することです。しつこいようですが、よほど心を徹してその気にならないとできることではありません(中略)やさしく摑むのは至難の業(中略)しっかりやさしく摑んでいる5つの足指と指球をそのまま1、2ミリ浮かせます(中略)足踏みを行いながら床面から水平面を学び取ります。支持脚は膝をわずかに屈曲した状態(自然屈曲)で楽に伸ばし、操作脚は支持脚より少し深く膝を屈曲しつつ脚全体を股関節からまっすぐに引き上げる(中略)ここで大事なことは、足裏が床から離れても水平を保ち続けること(中略)とにかく至難の業なので、できるようになるまで何度もくり返してください(中略)1、2ミリ浮かせようとするだけで、多くの人は固まり出します(中略)全身のパーツをゆるめ解きほぐす専門的なトレーニングをしていない人には無理と思われることを要求しているとご理解ください。くり返しますが、それなくしてできる人がいれば、相当にセンス、才能のある人で、かなりのフォアフット軸をすでに身につけているかもしれないということです。

耳石器(※左右もしくは上下の動きの加速度を感知)は重力の影響を監視し、いま進んでいる方向が前方と後方のどちらかなのかや、上っているのか下っているのかを伝える役割↓

重心感知のメカニズム(中略)身体の動きを感知するのは、頭部にある前庭という平衡感覚を司るセンサー(中略)しかし、前庭は基本的に静止状態の傾きを感知するセンサーなので、スポーツや運動の場面では前提だけでは機能が足りない。そこで登場するのが三半規管だ。耳の奥にある三半規管は加速度を感じるセンサー(中略)別のセンサーは全身にある。一番大きなものは筋肉の中にある筋紡錘だ。筋紡錘は筋肉にかかる張力を感じる器官で、この筋紡錘によって全身の筋肉に今どういう力がかかっているかを感知(中略)筋紡錘からの張力情報(さらには足裏の皮膚感覚器からの情報)によって感じ取っている(中略)筋紡錘をセンサーとして有効に働かせるためには、一つの条件がある。それは、「できるだけ筋肉を脱力させる(中略)微妙な重心変化をとらえるためには、可能な限り脱力して立つということが必要不可欠(中略)脱力の概念とは、「立つ」を例にとると、「立つためのギリギリの筋出力で立つ(中略)「骨で立つ」とは重心を探し続けること(中略)潜在意識下で何度も何度も重心線感知が繰り返されることで、だんだん重心線どおりの意識が形成(中略)「センター」のラインはどこを通っているのか。それは背骨の前(中略)「センター」のラインは左右の大腰筋のまさに間(中略)「センター」は、体幹中央の胸椎、腰椎及び腸骨と大腿骨を結ぶ、左右の腸腰筋のちょうど間(中略)腸腰筋というのは大腰筋と腸骨筋の二種類の総称(中略)下半身の「センター」のラインは股の下(会陰)から腿の裏、それから膝の裏側を通っている。そして膝裏から脛骨(脛の太い方の骨)の下の内顆(内くるぶし)の真下の足裏に抜けていく(中略)「センター」が通れば足の裏側の筋肉の活動性が高まる(中略)「センター」がほぼ脛骨の直下にあれば、余計な力を使わずに「骨で立つ」ことができる(中略)足裏の少し内側に体重の中心がくることが大事(中略)「センター」が通ることで大腿四頭筋の脱力が進む(中略)腿の裏側に濃い意識が通っていないと、人間はどうしても大腿四頭筋を頼りにした立ち方になってしまうのだ。いわゆる重心が前にずれた「筋肉で立つ」という立ち方(中略)日本人は、残念ながらこの腓骨側で立っている方が非常に多く見受けられる(中略)腓骨の下は腓骨自体が終点で、その下につながっている骨はない。ということは足の外側に体重を載せている人は、頼れる骨がないということ(中略)弱い腓骨を筋肉で固めて補えば、体重は一応支えられるので、身体はそれでよしと判断し、脛骨をますます使わないようになってしまう(中略)いったん腓骨側に体重を載せるようになると、どんどん脛骨から体重が抜けていって、その分腓骨に体重が載る(中略)この悪循環が繰り返されて膝の関節、さらには股関節まで変形

少し専門的になるが、脚の筋肉が収縮して身体の重心が引き上げられると、位置エネルギーは運動エネルギーに変換される。重力を利用することによって、歩行に必要なエネルギーを六十五パーセント節約することができる。位置エネルギーから運動エネルギーへのこの変換は、振り子の原理と同じである。人間の歩行は、逆さまの振り子(メトロノームのような)の動き(中略)その人の気分や意図、さらには性格の特性までもが歩き方からわかる(中略)サイコパスはそれが非常に得意らしいのだ(中略)餌食になりやすそうな人を見分ける手がかりは「歩き方」(中略)膝蓋骨は、大腿四頭筋が伸縮する際にてこの役割(中略)膝が吸収する衝撃は体重の七倍以上(中略)加齢などによって緩衝材(※膝の軟骨)が劣化すると、軟骨は血液の供給を受けていないため自然に回復することは難しい ※引用者加筆.

歩行サイクル中に足裏の表面を重心が移動(中略)足の骨はすべて三次元の軸を持っている(中略)つま先が地面を離れるときの推進力を、アーチ機構を使って補う(中略)身体問題の多くは、ほとんどの人が「足を反転させて腰や脊柱を伸ばすことができない」せい(中略)反転とは歩行サイクルの最後の段階で、つま先が地面から離れるときに足が外側へ移動する動き(中略)ほとんどの人は正しく歩けておらず、生体力学的な問題の多くは、足からはじまるという。歩いている最中、身体の重心は足のさまざまな場所へ移動していく。まず、かかとが回外(後方外側が地面に付く)してから、アーチを利用するために回内し、それから再びつま先回外して地面を離れる

体の使い方に関する哲学は、人生の生き方に関する哲学と同じ(中略)ストライド(着地した踵と同じ側の踵が再び着地するまでの一サイクル)における、この「遊脚期(スイングフェーズ)」(中略)この振り子のような脚の動きは、遊脚期の最後に足が地面に接地すると反転する。この瞬間に、脚は足首を回転の中心とする「逆さ振り子」のようになる。いわば、脚のこの「立脚期(スタンフェーズ)」で竹馬になる(中略)立脚期の後半で、体が前下方に下降することにより、この位置エネルギーが運動エネルギーに変換される。これはいわば持ち上げた本を落とすようなものである。やがて振り子の動作をしていた反対側の脚が地面につくと、体の下降は止まり、新たなサイクルが始まる(中略)通常の歩行では、少なくとも片足は常に地面についているが、前に進むための鍵となるエネルギー原理は、脚を振り子のように使って位置エネルギーと運動エネルギーを交換(中略)脚は、地面についているときには、逆さまの振り子のように働き、立脚期の前半で位置エネルギーとして部分的に回収(中略)各スライドの大部分において地面に接地しているのは一本の脚だけ(中略)片足だけが地面に接地しているときでも、その筋肉が収縮して、骨盤や上半身が遊脚の方の側に倒れるのを防ぐのだ。この機能(「股関節外転」(中略)ダンサーは脚を竹馬のように使って歩くこともあるが、ほとんどの場合は、ランナーのように片足から片足へとジャンプ(中略)ランニングとは片方の脚からもう片方の脚へジャンプすること(中略)通常、フォアフット走法やミッドフット走法では、接地したときには衝撃のピーク(靴を履いていないと痛みを感じるような急激で大きな衝突力)が発生しない(中略)人間は、もともとフォアフット走法で走るように進化(中略)母趾球(足の裏の親指の付け根にあるふくらみ)で羽根のように軽く着地することにより(フォアフット走法)、踵で着地する際に通常引き起こされる衝撃のピークと、それによる衝撃波を回避


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