見出し画像

最近の研究によって、ワールブルク効果(がん細胞がミトコンドリア以外の経路を使ってエネルギーを産生する現象)は

ラルフ・ウォルドー・エマーソンは書きました。「人は葛藤するために作られたのであって、休むために作られたのではない。人の力は行動にある。ゴールではなく過度期にいる人が偉大なのだ」(中略)教育。教育を受けたほうが、後の頭の働きが活発になります。言い換えれば、より長く、より幸福に生きられます。ここで言う教育とは、ハーバード大学へ行くことではありません。生涯を通して、目的意識を持って学ぶこと、読書をたくさんすることです(中略)死ぬまでずっと、語彙力は落ちずに伸びていく(中略)晩年に恵まれる最大の強みは知恵であり、学習と思考から生み出す世界観によって、他者を豊かにできる(中略)ほぼすべての哲学の流派において、プライドは人を徹底的に腐敗させる凶悪な罪とされています。仏教では、プライドを意味する言葉として、慢という言葉が使われます。これは、自分を高く見て他者を軽視することで結局己を苦しめることになる「慢心」を意味するサンスクリット語に由来(中略)プライドはこっそりと、良いものの中に忍び込んでいます(中略)プライドは善行にさえも潜み、善行を台無しにしようとする(中略)ライナス・ポーリングを見てみましょう。ポーリングは、史上で唯一、まったく異なる分野で2つのノーベル賞を獲得(中略)貪欲だったポーリングは、その後、擬似科学的な概念を広め、一時的に流行させました。たとえば「鎌状赤血球症などの特定の遺伝子疾患を持つ人は、結婚相手になるかもしれない人たちにそのことを警告するために、目立つ刺青を入れるべきだ」という信念のもと、優生学を推進しました。また、それ以上に有名な話として、「ビタミンを摂取すれば、がんをはじめとする多くの病気は治り、寿命も大幅に延びる」という自説に大変なこだわりを見せ、「分子矯正精神医学」と銘打って、精神疾患に対するビタミン大量療法を推進(中略)ビタミンCを大量に摂取すれば風邪を予防できるという話を聞いたことがある人もいるでしょう。この説は、ポーリングが1970年に発表(中略)チェコの修道士グレゴール・メンデル(修道名)がダーウィンの研究活動の継続に必要なものを発見しました。それが「遺伝の法則」です。あいにく、メンデルの研究結果はドイツの無名の学術誌で発表されたため、ダーウィンがそれを見にすることはありませんでした───仮に目にしても、ダーウィンの数学力や言語力では、内容を理解できたはずもありません

天才を育てる人はギバーになる傾向がある。彼らは自分の「知力を使って」、ほかの人びとの「知性や能力を増幅して、ひらめきを引き起こし、アイデアを生み出し、問題を解決させる」(中略)インマンはトンプソンに語っている。「はじめて理解できたときの、生徒の顔の表情を見るのが大好きなんだ。学習してきたことが実を結ぶのを見るのが、すごい快感なんだよ」

ポーリングは優秀な化学者だったが、彼が提唱したビタミンC摂取法はインチキ療法だった↓

量子力学者のヴォルフガング・パウリはかつて、ある学生の論文を読んでこう言ったとされる。「あまりにひどすぎて、まちがってすらいない」。ポーリングもよく科学会議で、大胆かつ型破りな説をこともなげに打ち出し、それに触発された科学者たちが活発な議論を交わした。彼の提唱する仮説やモデルはときにあまり甚だしくまちがっていたために、もはやひどいものですらなかった。ポーリングの同僚たちは、彼が突拍子もない説を提唱しても、驚かなくなった。ポーリングのモデルに含まれる矛盾を分析することによって、要するに、彼の説の何がまちがっているのか、なぜそれが正しくないのかを検証することによって、彼らはいつのまにか、真のメカニズム、真実を解明していたのだ。

なぜがん細胞は、酸素を使わない(中略)答えの一部は次の事実にあるかもしれない。エネルギーを産生するために酸素依存性の反応を使うと、毒性の副産物ができる。その副産物には、DNAを変異させる化学物質も含まれており、その変異によって、分裂を止める細胞内装置が活性化される可能性がある(中略)がん細胞は「与えられた状況下でベストをつくす」ように進化した可能性がある。エネルギー効率を犠牲にするかわりに、自分にとって有害な副産物を寄せつけないようにしたのだ。だが、これは仮説のひとつにすぎず、がん細胞が嫌気性呼吸を好む理由について、これとはちがう説を唱える研究者もいる(中略)最近の研究によって、ワールブルク効果(がん細胞がミトコンドリア以外の経路を使ってエネルギーを産生する現象)は、生体内と比較して、研究室(がん細胞を培養する際に私たちがつくり出している人工的な状況)でより顕著に観察されている可能性が示された。研究室でがん細胞を培養する際、私たちはたいてい、培養液に糖を大量に加えるため、がん細胞の代謝がミトコンドリア以外の経路に傾くのではないかというのが彼らの主張だ。ワールブルク効果は確かに実在する。研究室ではなく人体で増殖するある種の「実際の」がんも、エネルギー産生の主要経路として、ミトコンドリア以外の経路を使っている。だが、私たちはその効果の程度を過大評価している可能性があるのだ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?