パブロ(※ピカソ)はあるとき、ブラックの結婚相手を見つけようと決心した。ピカソがまず思い当たったのは、マックス・ジャコブの従兄弟でモンマルトルの居酒屋 「ル・ネアン」の主人の娘だった。友人の恐るべき企てに逆らえず、ブラックはされるがままになった。二人の「お見合い」が決まり、ピカソとマックスは古着屋で礼服を借り、ブラックをその居酒屋に連れていった。店の主人と紅くなった娘はすぐに彼らの礼儀正しさに好感を持った(中略)酒量が過ぎたのも手伝って、見合いは思わぬ展開になってしまった(中略)もちろんこの結婚は成立しなかったが、ピカソはそれにも懲りず、熱心にまたブラックに結婚相手を紹介した(中略)二人(※ブラックと女性)は一九一一年に付き合い始め、数ヶ月後にゲルマ袋小路で同居することになった。結婚したのは何年も後のことである。パブロは、アリス・プランセとドランとの恋愛にも無関係ではなかった(中略)無邪気なのは見かけだけのマリー・ローランサンをアポリネールに紹介したのもパブロだった(中略)ブラックの幾何学的機構を具体的かつ簡潔に、「立方体 (キューブ) 」と最初に言ったのは誰だろうか。ウーデによると、それはマックス・ジャコブである(中略)ピカソとブラックは、カーンヴァイラーの画廊でしか作品を発表しなかった(中略)つい忘れられがちなことであるが、ヴィニョン通りのこの画商が労を惜しむことなく、驚くべき情報収集、市場調査を行い、そして顧客を開拓したことによって、ピカソたちはそうした態度をとることができたのである。今日この画商が「すべて自然の成りゆきでした」と言い、そしてピカソの成功が「喜びと情熱における」彼自身の才能にのみ起因すると言ったとしても、それは完全には正しくない(中略)人と初めて接触するとき、そう簡単には気を許さないピカソが、当時まだ若いながらも抜け目のなかったカーンヴァイラーに早くから全面的な信頼を寄せたのである。彼は稀に見る誠実な友であり、大胆な目利きであり、思慮に富んだ商売人であった。ピカソが言ったという「カーンヴァイラーに商売のセンスがなかったら、僕たち今頃どうなっていただろうね」という言葉は、まさに的を射ている。※引用者加筆.